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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第一章 異世界
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11.私の本気を見せましょう

「オーガだ! 鎮火は中止、攻撃魔法の備えを!」

 ハンドンが叫ぶ。

 くそっ、本命はこっちだったか。不死者(アンデッド)はおそらくこちらの戦力を見るための囮だったのだろう。


 俺は攻撃魔法の用意をする。今度は何にしようか。

 オーガは体力が非常に高い。継続ダメージが与えられるものは……。

 よし、これだ。


 俺の手の先に、今度は深い緑色の球が出現する。

 風と闇の合成魔法、「煙霞」(俺命名)だ。

 これは、敵の周りの空気に闇魔力を含ませ、継続して毒ダメージを与える魔法。

 未だ使ったことはないが、行けるはずだ。


 そういえば、さっきは詠唱してなかったな。

 これは初級風魔法「旋風(ブリーズ)」と、初級闇魔法「シャドウエーテル」の合成。

 初級魔法同士だから、詠唱しなくても使える。

 だが、詠唱したほうが確実に効果は上がる。

「影なる風よ、我が(しもべ)となりて、我らに仇なす者を闇に染め上げよ……」

 深緑の球が、少し大きくなり、より黒い輝きを増す。

「『煙霞』っ!」

 ハンドンの合図に合わせ、俺は魔法を発動する。


 球から黒い霧が湧き出し、オーガに向かっていく。

 霧はオーガのもとへ着くと、周りに広がった。

 オーガの呻き声が聞こえる。

 そこへ、他の魔術師たちの攻撃が降り注ぐ。

 オーガ討伐も造作ないな。そう思ったが。


 オーガはこちらに向かって進みだした。

 何だと。まだ動けるのか。オーガは体力が高いと聞いたが、これほどとは。

「衛士たち、来るぞ、構えて! 剣士は、左右に回りこんで、指示を待つんだ。魔術師はもう大丈夫だ。あとは接近戦で倒す」

 ハンドンが指示を飛ばす。俺はそれに従った。


 オーガたちは、ついに衛士たちと相対した。

 オーガの剛腕が、衛士たちに容赦なく襲いかかる。

 衛士たちは、それに耐えつつ、剣でオーガの隙を突く。

 しかし、どう見てもこちらが不利だ。このままでは衛士たちがやられる。


 その瞬間、オーガの左右から、剣士たちが飛び出す。

 剣士たちは、オーガに渾身の斬撃を放った。

 オーガは一瞬怯むも、剣士たちにその拳を振るう。

 剣士は退き、再び斬りかかる。


 しばらくの間、剣士や衛士と、オーガの攻防が続いた。

 オーガたちは疲れ、体が傷だらけになっている。

 しかし、こちら側も被害は大きい。

 すでに数人がオーガに倒され、修道士たちのもとに運ばれていった。

 俺らには何もできない。ここで魔法を使っても、彼らが巻き添えになる。

 人間にダメージを与えない魔法があれば……。


 やってみるか。

 炎を纏わせた剣を風魔法で飛ばし、闇属性のエーテル操作で突き刺す。

 物理攻撃だから、周りの人たちに被害は及ばない。

 何となくの構想が浮かんでくる。

 まずは、剣を作らないと。


刀剣(ブレード・ジェ)生成(ネレーション )

 鋼魔法の一種。使うことはないと思っていたが、まさか役に立つとは。

 あっという間に、オーガと同数の剣が生成された。


 続いて魔力を剣に纏わせる。

 魔力を纏わせた剣は、輝きを放つ。

 地面に置いた状態で炎魔法を使うと危険だから、エーテル操作で浮かせる。

「テレキネシス」

 俺の手が上がるのと当時に、20本以上の剣が、一斉に宙に浮いた。

「魔属性付与、点火(イグニッション)

 剣が一斉に発火する。


 いつのまにか、俺の周りに人だかりができていた。

 今度こそ、ド平凡中学生脱却だ。そう思いながら、俺の作戦は最後の段階に入る。

 ここから100メートルほど離れた前線まで、一気に剣を飛ばし、突き刺す。

 そのためには風魔法が必要だ。

 しかし、旋風(ブリーズ)では威力が足りない。


「誰か、強めの風魔法が使える人いませんか」

 周りに呼びかける。すると1人が手を挙げ、こちらにやってきた。

「お呼びかな?神埼」

 井川だった。

 こいつは4大魔法が半分の経験値で習得できる。中級魔法くらい習得していてもおかしくない。

 そして、井川が火属性を選択していたことが幸運だった。


「風よ、この剣を、魔を打ち砕く神剣となせ……ウィンドバースト!」

 井川が唱えると、剣の後ろで空気が破裂し、炎を纏った剣は、オーガの方へと飛んでいく。

 剣がオーガの頭上に達した時、俺は掌を下げ、剣のベクトルを下に変える。


 剣は、オーガたちの頭を貫いた。

 炎がさらなるダメージを与える。

 俺の作戦は、完璧だった。

 まもなく、オークたちは息絶えた。



 その後、俺はハンドンに呼ばれた。

「ありがとう、カンザキ君。君のおかげで、何人の命が救われたことか」

「いえいえ、私はただ思いついただけです。井川くんがいなければ、できませんでしたよ」

 俺は謙遜する。こういう人って、控えめな方がいいものだ。

「もちろん、彼も素晴らしかった。しかし、君が思いつき、実行しなければできなかった作戦だ。君こそが一番の功労者だ」

「そう言って頂けるとは、光栄です」


 その後、戦った冒険者一人一人に、50000カランの報酬が渡された。

 俺は、追加で町からたくさん謝礼金をもらった。

 200000カラン。1人で稼いだ金額では最高額だ。

 何と合計130万カラン。今までの収入を上回っている。

 このお金は、今日の飯代と宿代を差し引いて、貯金箱にしまわれた。


 ん? この貯金箱たくさん入るな……。

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