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1年C組異世界冒険譚  作者: 神埼時雨(仮)
第一章 異世界
10/106

10.この世界もいろいろ大変です

 ギルドに出かけ、クエストをこなしまくり、金を貯めること2週間。

 貯金額は、300000カランの大台に乗った。

 今では、宿代も自分たちで調達できている。

 また、皆のレベルも上がり、中には2桁になった人もいる。

 俺はレベル7。まだ半人前だが、そこら辺のモンスターは、1人で倒せる。

 なんだかんだ言って、異世界での生活も軌道に乗ってきた。


 今日は、初めての討伐クエストを受ける予定だ。

 今までは、雑用みたいなことばかりやっていたが、ようやく冒険者っぽい仕事ができる。

 わくわくしながら、宿のドアを開ける。

 その瞬間──。


「魔王軍襲撃! 冒険者は直ちにギルドへ集まってください!」

 町中にある魔法連絡装置(ただのスピーカー)から声が響いてきた。

「魔王軍? 何で?」

「まあ、とりあえず行こうぜ。俺ら冒険者だしさ」


 ギルドへ向かうと、そこには数百人の冒険者たちが集合していた。

「えー、今回の魔王軍の構成は、亡霊(ゴースト)不死者(アンデッド)が中心で、規模は1000匹ほどと見られます」

「なるほど。我々も舐められたものだな」

 ギルドの人の説明に、冒険者たちはそう言った。

「え? 1000匹て、結構多い気がするんですけど……」

「いやいや、亡霊や不死者は弱い。あいつらは数が頼りだからな。強さは人間の数分の1くらいだろう」

 人間に換算すれば、数百人ということか。確かに、人口5万以上の都市を攻めるのには、少ないといえる。

「えー、魔王軍は、町の東側の平原から攻めてきています。皆さん、城壁の東門に集まってください」

 確かに、ギルドの人も、あまり緊張してはいないようだ。



 東門にて。

 目をこらして見れば、確かに人だかりがこちらへ向かってきている。

 正確には人ではないが……。


「よし、魔法でちゃちゃっとやっつけちゃいますか!」

 皆、初めて魔法が使えそうなので興奮しているようだ。

 クエストのすきま時間に、その辺の冒険者に頼んで魔法を教えてもらっていたのだ。

 スライムとか小さなモンスターはよく狩っていたから、経験値もある。

 町は、魔法を覚えるのに最適の環境である。


 この世界の魔法の仕組みもよくわかってきた。

 まずこれは他の職業にも言えることだが、「水」と「炎」の2大属性がある。

 冒険者は、どちらかを選び、自身の属性とする。

 水に分類されるのは、水、土、光、木。

 炎に分類されるのは、炎、風、闇、鋼。

 自身の属性に分類されるものしか、覚えることはできない。

 俺は炎を選択した。なんとなくかっこいいからだ。


 また、この世界の魔法は、組み合わせができる。

 魔法は、組み合わせて使うと、威力が上昇する。

 組み合わせによっては、上級魔法に匹敵する威力を出すこともある。

 うまく作れれば、上級魔法よりMPの消費を抑えつつ、高火力で敵を薙ぎ倒すことができる。


 さらには、魔力を直接体や武器に纏わせることもできる。

 魔力を纏わせると、身軽になったり、攻撃や防御が上昇するらしい。

 俺は魔法使いなので、あまり関係はないが……。


「みんな、もうすぐ敵が来るぞ。魔術師(ウィザード)たちは、魔法の用意を。衛士(プロテクター)たちも、警戒を忘れるなよ」

 町の防衛軍の隊長、ハンドンはテキパキと指示を出している。

 俺は、炎魔法と闇魔法の合成魔法、「不知火」(俺命名)の発動を準備する。

 この魔法、あのパーティーの魔法使い、レインが認めた強さだ。


 体が熱くなる。周りの空気に、魔力がとけだしている証拠だ。

 敵陣へと伸ばした手の先に、濃い赤の球が出現する。

 指示があればすぐにでも、黒い炎が不死者を殺す。


「攻撃!魔法を撃てー!」

 ハンドンの声とほぼ同時に、俺は叫んだ。

「『不知火』っ!」

 手の先の球から、黒い火の玉が次々に飛び出す。

 それらは拡散し、敵陣に突っ込んでいく。


 敵陣には、他にもさまざまな魔法攻撃が降り注いでいた。

 一瞬にして、草原は火の海と化した。

 見ても、もう生き物の影はない。

「撃退を確認! 水魔法で鎮火を!」

 俺は「不知火」を停止する。俺としては上出来だったと思う。

 その時──。


 ドスンと大きな地響きがした。

 地震か? そう思うが、すぐにそれは間違いと悟る。

 草原の向こう、水蒸気の霧を切り裂いて、巨大な鬼が数十頭現れたのだ。

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