最終話 新AIL起動
破壊したA‐13ユニットは、ルナから外し、大平山天文台の麓に現れた空間の歪みに放り込んだ。
すると、空間の歪みを震源に震度3程度の地震が発生し、同時に空間の歪みから猛烈な光が放たれた。
光と地震が収まった時、空間の歪みは消え、代わりに、タブレット端末が落ちていた。
リオナがそれを拾い上げる。
「これは―。」
「繋いでみましょう。」
エレナはタブレット端末を車載ノートパソコンに繋ぐ。
「これは―。アイルのプロテクトプログラムだ。」
大平山天文台から庄屋までの帰路。
リオナがルナを操縦し、エレナは助手席で、タブレット端末とノートパソコンを経由して、AILのプロテクトを行う。
「-。」
「どう?」
「これを用いて、アイルの再起動が出来そうです。この端末を自動航行装置のあったUSBポートに繋げば。ですが―。」
「何か問題が?」
「アイルは以前のように、人の言葉で喋る事が出来なくなります。また、演算能力も落ちます。それでも、この世界の電算機の数十倍以上の性能ではありますが―。」
ユニット群を破壊したAILの本体の代わりを、出現したタブレット端末が担えるというのだ。だが、大型コンピューターと違い、タブレット端末は演算力が落ちるという。
「それでも構わないでしょう。エレナには、私が居りますから。」
と、リオナは微笑んだ。
庄屋に戻った時、リオナは急に体調が悪くなった。
「まさか―。」
エレナはアイルが言っていたリオナの身体の不調を思い出し、直ちに病院へリオナを担いでいく。
後から、ホコネ・ウララ姉妹も駆け付けた。
そして、診察室から出て来た時、リオナは「フフフフッ」と微笑みを浮かべるいつもの姿だったのだが、
「お父さんになりますよ。エレナ。」
と、エレナに微笑みを浮かべる。
「えっ?」
「お腹に赤ちゃんが居るのよ。」
「-。」
エレナは固まった。
ホコネ・ウララ姉妹はその横で喚起に包まれた。
「今夜はお祝いよ!」
と。
そして、AILの再起動に向かうエレナは、再び目覚めたAILと会話をする。
喋ることが出来なくなったAILとの意思疎通は、キーボード入力と画面表示だ。
「リオナさんとの子供が出来た。」
「それはそれは。」
「女の子らしい。名前はもう、リオナさんと決めたんだ。」
「何という名前ですか?」
隣に、リオナがやって来て、リオナが名前を入力した。
「アイル。娘の名前は、アイル。貴方と同じ名前ですよ。」
と、リオナは微笑んだ。




