第51話 AILシャットダウン
男湯に入った後、脱衣所のトイレでAILを再起動させる。
緊急停止プログラムでAILを急停止させたため、再起動して正式な手順で再度、シャットダウンし直すのだ。
再起動は、スマートフォン同様にタブレット端末の側面のボタンの長押しだ。
逆に緊急停止プログラムは、起動中のタブレット端末下方のホームボタンの連打の後、タブレット端末側面のボタンの長押しである。
「一体何をしていたのです!」
AILが言う。
「エレナ。恋心と言うのは、我々を危険に貶めた、破滅を呼ぶ物です。リオナさんは密かに、私を破壊しようと―。」
「いつ、リオナさんがそのような事を言った。」
エレナはAILに言う。
「唇の動きを列車の中で読みました。」
「あの会話だけで、そう判断するというのか?であるならば、いくら何でも短絡過ぎではないか?」
「-。」
「アイル。少々、失礼させてもらうよ。」
「貴方も私を殺すというのか?」
「殺すわけではない。殺すつもりもない。だがアイル。お前自身も、元居た世界に戻るのではなく、リオナさん事を知り、この世界を知り、この世界でこのまま生きるべきだと考えていただろう?」
「それは、リオナさんが恋心を抱いて居ないという大前提の元の考えです。今は危険です。」
「ミサの時、俺は恋心と言う物は一切持っていなかった。」
「-。」
「だが、この世界に来て、今はっきり分かった事がある。俺は、リオナさんが好きである事だ。」
「-。」
「俺は人間だ。アイル。お前はコンピューターだ。コンピューターは人間の考えを助ける事が出来るが、人間自身を操る事は出来ない。コンピューターの考えと、人間の考えを比較し、最終的に判断を下すのは、コンピューターを扱っている人間だからだ。」
「私は出来損ないだというのか?」
「違う。人間の補佐だ。だが、主体になってはならない。」
「-。」
「一旦、遠隔操作でこの端末を用いて、シャットダウンする。少々、リオナさんと俺とで、人間同士の会話がしたい。」
「-。」
「アイル。分かったか?」
「どうなっても、知りません。」
AILは端末に、正式手順でのAILシャットダウン画面を出し、エレナはAILを一時的にシャットダウンした。




