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時計仕掛けの転移恋歌  作者: Kanra
第一章 事件への序曲
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第4話 AILの回答

 エレナは、なぜ殴られたのか理解できない。


 今日のミサに対するエレナの対応は、全て理にかなった物だった。

 少なくとも、エレナの中では。


(勝手に遅刻し、夕食もこちらに一任すると言いながらミサ主導、そして終電時刻を失念しておいてこれ?なぜだ?)


 と思いながら、エレナは帰宅し、AILのタブレット端末をAIL本体に接続する。そして、なぜ最後に殴られたのかをAILに問いかける。

 タブレット端末を通してAIL本体にも、今日のミサの一連の行動は伝わっているが、感情の起伏がほとんどないエレナにしては珍しく、何か言わなければ収まりが付かないような感覚に陥っていた。


 しかし、AILもまた、なぜ、エレナが殴られたのか理解できなかった。

 その上で、


「そもそも、連絡も無く遅刻したのはミサであった。ならば、「連絡をして欲しい」と言うのは理にかなった行動です。」


 と、エレナの一連の行動を最初から一つずつ解析していく。


「夕食に至っても、お祭りで混雑するチェーン店の回転寿司屋に行きたいと言うならば、「なんでも良い。エレナに一任する。」と言うのではなく、「混雑するかもしれないけど、私は寿司屋に行きたい。」と言えば良いのであって、「エレナに一任する」と言う行動を取るのは、まるで理にかなっておりません。理解できませんね。そして、最後、殴られた件ですが―。」


 珍しく、AILが言葉に詰まる。

 AILが言葉に詰まるのは、今までに無い、異常行動だ。

 エレナは首を傾げる。


「大丈夫か?」


 と言いながら、糸川教授に報告しようと、報告書を用意する。


「失礼。どうもお祭りの途中から、バグが出る。」

「糸川教授に報告する。どっかおかしいぞと。」

「心配には及びません。私は私のどこがおかしいのか、私自身で診断出来ます。今の間は、臨時診断を行っただけ。その際、バグが出た。A-13ユニットに異常がある様子だ。」


 A-13ユニットは、AILの倫理回路の一つだ。


「分かった。明日にでも交換しよう。」

「糸川教授に報告済です。自動送信メールでね。」


(逆だろ。自動送信メールで糸川教授に報告しましただろう。)


 と、エレナは思う。


「それで、本題に戻るが、なぜ殴られたのか?これについては、まったくもって理解不能です。理解不能な物を理解しようとして、A-13ユニットがおかしくなったのだろうが―。」


 また言葉に詰まる。


「そもそも、お祭りの夜。夢中になり過ぎるのは分かります。しかし、終電時刻を失念し、終電時刻を考慮せず遊び惚けるのは、当人の過失であり、同行している人に当たるのは無礼です。終電時刻を考慮しないのは当人の自己責任です。エレナはそれに対し、適切な対処法-。言うなら、まだ終電時刻に間に合う上、臨時列車の運行も伝えました。それに関しては、最も適切で最適な行動です。にも関わらず、エレナに対する暴力行為は、ミサの逆ギレ行動としか判断出来ません。故に、エレナ。エレナ自身の行動には、何ら問題点は無いです。」


 と、AILは結論付けた。


「分かった。」

「何も気にする必要はありません。」

「A-13ユニットに関しては、明日、糸川教授と交換する。その上で、何がどうぶっ壊れたか点検しよう。」

「よろしくお願いします。では、おやすみなさい。」


 エレナは風呂に入り、歯を磨いて、就寝した。




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