第38話 AILの講義
エレナは蔵から出て、「ルナ」の車内で、ウララが持ってきた握り飯を食べていた。
だが、その手元にAILのタブレット端末が無い。
「ごめんなさい。こんなところに押し込んでしまって。リオナは吞み過ぎると甘え癖があるのよ。」
と、ウララは言う。
エレナは巴波川の灯篭の灯りを見ていた。
「エレナ。リオナさんに伝えます。」
「ルナ」のAILが言う。
「言ってはダメよ!」
ウララが言うが、
「事実を捻じ曲げる事は困難です。私は情報を歪めたり、隠したりすることなく、正確に処理、伝達するように作られているのです。」
と、AILは言い、リオナの手元にあるタブレット端末のAILが「エレナ」は「ルナ」に居ると言った。
「知らないからね。」
と、ウララは溜め息交じりに言った。
リオナとそらが、実験自動車「ルナ」の元へとやって来た。
「ああ、これね!」
と、そらが「ルナ」を見て歓声を上げた。
「そうよ。実験自動車「ルナ」。これに搭載されているのが、この小さな端末機器の本体。そして、こちらが、横川エレナ。私の助手で、「ルナ」とこの端末機器「アイル」の管理人。」
リオナは微笑みながら言った。
「では、3人そろったところで、リオナさんのお部屋に行きましょう。そこで、私の講義を聞いていただきたいです。テーマは「重力レンズ効果について」です。」
AILが言う。
「重力レンズ効果?妙な内容を出すな。」
「エレナ。これは貴方に最も聞いて欲しい内容です。」
「-。どういう理由か知らないが、分かった。」
と、また、AILに従うエレナの様子に、またもリオナは首を傾げた。
そら。霧積そらは、リオナの学友で、筑波山観測所勤務の女性。
そんな彼女も交えて、リオナの住まいで、AILは重力レンズ効果の講義を始めた。
リオナ、そらは興味津々と言う反応。
だが、エレナはAILが何を言っているのかを理解して来た。
(要するに、あの大平山天文台の空間の歪みは、重力の強い物があって、それが重力レンズ効果を生んでいるだけだと言うのか。)
と、エレナは思った。




