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時計仕掛けの転移恋歌  作者: Kanra
第五章 思いの積み重ね
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第37話 リオナとエレナ

 夜が明けると、リオナとエレナは、実験自動車「ルナ」で住まいであり、職場でもある、巴波川の畔の庄屋に向かう。


 その際、ルナに搭載されているAIL10000型コンピューターの充電を行う。


 走行中、発電用車輪を降ろし、車輪の回転で発電機を回して得た電力を蓄電池に溜める。本来、エンジンで発電機を回すのだが、この世界にやって来た際に内燃発電機が破壊され、非常発電機である発電用車輪で発電しなければならない。


 電力を喪失すれば、AILは機能停止に陥る。


 エレナは「ルナ」に搭載されている自動運転システムの復旧に成功したのだが、やはり電力不足で機能しなかった。


 リオナもまた、「ルナ」のAILの中にあるメモリーデータバンクを探ろうと考えていた。そして、庄屋に着き、エレナが先に「ルナ」を降りた時、「ルナ」のAILがリオナを呼び止めた。


「リオナさん。私のメモリーデータバンクを調べるのならば、昼時にまた来てください。後方のモニターを用いて、前の世界で起きた事件を説明します。」

「事件?」

「はい。」

「エレナは「ルナ」の実験中にアイルが事前にプログラムして、この世界にやって来たと聞いてますが。」

「なぜプログラムしたのか、それを教えます。」


 リオナは午前中の仕事を終えると、エレナが昼食に向かった隙に、再度、「ルナ」のAILに向き合う。


 AILはモニターを用いて、エレナの元居た世界で何が起きたかを説明する。

 ミサの暴挙に始まるエレナへの攻撃が、AILに波及。そして、自らとエレナを守るために、この世界へ転移させたのだ。だが、エレナは元の世界へ帰る方法を探ろうとしている。


「リオナさん。貴女はエレナを元の世界へ戻すべきと考えますか?」


 と、AIL。


 リオナは少し考えた。


「考え物ですね。しかし、私はエレナを思うと、心が重くなることがあるのです。」

「-。」

「この感情はなんなのでしょう。」


 AILは何も言えなかった。


 午後、エレナと合流したリオナは、庄屋にやって来た客人を見て「わっ!」と笑顔を浮かべた。


「そら!来てくれたんだ!」

「昼過ぎの汽車で筑波山からね。ほら!」


 そらと呼ばれた女性は、リオナに一升瓶を見せた。

 その瞬間、ホコネとウララが真っ青になり、エレナに、


「今夜は蔵に入ってて。」


 と、言い始めた。


「なぜ?」

「リオナとそらが呑むと、大変な事になるのよ。」


 ホコネが耳打ち。


「ところで、リオナの新しい助手さんは?」


 そらはキョロキョロと、庄屋を見回す。


「あっあぁエレナね。今、蔵じゃないかなぁ。アハハハハ。」


 ホコネがしどろもどろに答えながら、ウララが蔵へとエレナを押しやる。


 だが、その時、エレナはAILの端末を置き忘れてしまった。


 リオナはそれを拾い上げた。



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