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時計仕掛けの転移恋歌  作者: Kanra
第四章 平行宇宙の虫喰い穴
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第32話 滑走路の穴


 糸川教授他、研究チームに物理学者ホームズ教授率いるチームも合流した。

 まず、滑走路に開いたと言う穴の現状調査を行うため、滑走路に向かう。

 それは、ほんの小さなゴルフボール程度の大きさの穴だった。

 それが、滑走路上に開いているように見える。


 しかし、LEDペンライトで穴の中を照らしてみるが、何も見えない。底が見えない程に深いのだろうか。


「虚数空間。という奴か。」


 糸川教授が言う。


「ああ。問題はこれがどういった性質を持っているかだが―。」

「ホームズ教授。「ルナ」はどこへ行ったと思われるか?」

「まずこの宇宙の過去では無いだろう。この宇宙の過去に行けば、どのような形で逃げおおせようにも確実に歴史に触れてしまう。簡単に言えば、ビルや家屋の柱のようなものだ。我々が居る時間をビルの最上階とし、「ルナ」がその下の階。つまり過去へ行き、そこでビルの柱。これを時間軸とするなら、その時間軸に触れた時点で、時間軸と言うビルの柱が折れる。折れた時点で、連鎖的に折られた階より上の階は一気に崩れ落ちる。当然、我々が居る最上階もな。」

「では、過去ではないと考えられると。」

「そうだよ糸川教授。行ったのは、異なる宇宙に存在するとされる、並行世界。つまり、異世界だ。しかし、この虚数空間もまた、厄介者だな。」


 ホームズ教授は苦虫を嚙み潰したように言う。


「その性質が分からぬ以上、我々がどう対処すればよいかも分からん。それによっては、覚悟しなければならん。」

「何を?」

「「ルナ」とエレナの救助のため、我々も、並行世界。つまり異世界へ行かねばならなくなるかもしれん。いや、異世界を蝕んだなら、その修復もせなければ、ならない。」

「なぜ?」

「並行世界が仮に、シーソーのようなバランスを保って、我々の宇宙と並んで存在していたなら、ルナのアイルとエレナの存在がそのバランスを崩し、それが、我々の宇宙と並行して存在する宇宙、どちらも破壊しかねないからだよ。」



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