表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
時計仕掛けの転移恋歌  作者: Kanra
第一章 事件への序曲
3/57

第2話 土曜日

 土曜日の朝。


 AILの電子音で起きたエレナ。

 今日は、糸川教授の研究室から糸川教授がやって来て、AILのデータを渡す。

 毎週土曜日、携帯しているAILのタブレット端末を通してAILが記録した人間同士の会話を元に、AILはその知性をアップデートさせるのだ。


 エレナからすれば、AILは人間と同じ、と言うより、人間以上に信頼関係を築くことが出来る存在である。

 家事をこなして、昼食の頃、糸川教授は研究チームのメンバーと共にやって来た。


「人間と話しやすいように元々プログラムされているとはいえな。」


 と、糸川教授は言う。


「糸川教授。人間と一緒に働き、人間と一緒に過ごし、刺激的な関係を持つことは楽しいです。」


 機械音声の無機質な声で、AILは答える。


「本心から言っているのです。アイルは。」


 エレナも答える。

 そのエレナもまた、機械音声のように無機質な喋り方である。


「ところでエレナ。」


 糸川教授が言う。


「普通自動車運転免許は取得出来たか?」

「はい。公安委員会指定教習所を経て、MT免許を取得しました。」

「それなら結構だ。来週、滑走路を使用した実験を行う。」

「実験?」

「ああ。AIL10000型コンピューターを搭載し、完全自立航行、電子制御装置を兼ね備えた次世代自動車の試作機のね。今夜には大学に着いているから、明日、大学キャンパス内道路で軽く走ってみると良い。」


 と、糸川教授は言う。


 アップデートが終わり、糸川教授の研究チームと共に、エレナは大学の学食で昼食を摂る。


「ところで、今日はお祭りに行くようだね。」


 と、糸川教授。


「はい。18時に彼女が駅に来るので、合流してお祭りに行きます。」

「そうか。まぁ、楽しみたまえ。」

「あまり楽しいとは思えません。騒音だらけでうんざりしそうです。」


 苦言を漏らすが表情は変わらない。

 これでは、AILがコンピューターなのか、エレナがコンピューターなのか分からなくなりそうだ。


「私としては、楽しみです。人間同士の会話がより活発に行われる場所に行き、そこで得たものを私の知性に活かせるなら、これほどまでに楽しみな物は無いでしょう。」


 と、AILは無機質な声で言った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ