VSミノタウロス
配信は匿名性ありというふうに変更させていただきした。これからもよろしくお願いします。
ミノタウロス、それは神話にも登場する伝説上の存在で牛の頭に筋肉質な人の体を持つ半牛半人の怪物だ。現代では危険度Bのモンスターに分類されており、自身の身長を超える程の大きな斧から放たれる強烈な一撃はベテランのタンク役ですら嫌がる程だ。初心者が運悪くエンカウントした日には大人しく今世を諦めるしかないだろう。そう普通の初心者
「フッ!」
先程までの戦闘と同じように一気に近付き首目掛けて刃を振るう。
ガキンッ!
がその攻撃をミノタウロスはハルバードで防ぎつつもう片方の手をこちらの顔面目掛け振り抜く。顔を少し横に逸らし拳を避けつつ1度後ろにひき、体勢を整える。
ミノタウロスとはパワー型のモンスターであり、動きはそこまで速くない。少なくとも動画で見たことのあったミノタウロス達はこの速さに対応できるモンスターではなかったはずだ。にも関わらず簡単に対応され反撃を受けた。それによくよく見れば通常のミノタウロスと色が違う。通常ミノタウロスは紫黒色だがあのミノタウロスはなんというか赤黒い。それにあのハルバードも動画上より一回りぐらい大きい気がする。という事はあれは
「変異種…か」
変異種、通常のモンスターより更に強くなったモンスターの事だ。危険度では1〜2段階以上上がると言われている。
ということは、だ。トロール(危険度D)からミノタウロス(危険度B)に変わりそのミノタウロスは変異種(危険度A~S)、さすがに運が悪すぎて泣きそうになる。危険度A~Sなんてソロで勝てる人間世界100人いるかいないかだ。それをソロのルーキーのそれも初日で遭遇するなんて前世でどれだけの業を背負ったんだろうか?い、いや!違うぞ!!基本罪になることなんかはしてなかったはずだ!
「っと。速いな。」
10m以上の距離を一瞬でつめたミノタウロスはこちら目掛け思い切りハルバードを振り下ろす。それ体を少し横にそらし避けながら、クレシオンをミノタウロスの丸太のような足に向け横薙ぎに振るう。
ギーン!!
けたたましい音ともに剣は弾かれ、ガラ空きになった体にミノタウロスが追撃を仕掛ける。それを何とか体をくねらせ避けもう一度距離をとる。
正直思ったより強い。一撃当たればお陀仏で動きは早く、体は鉄以上に硬い。特殊な何かがある訳では無いが身体スペックが馬鹿みたいに高い。普通に厄介だ。
だがそれ以上の問題が1つある。それはこの剣クレシオンが弱過ぎる!!正直ゴブリンを斬った時から思っていたが切れ味が悪すぎる!!あの龍を斬った時の切れ味ならミノタウロスの肉体や斧も豆腐みたいに斬れるはずなのだ。それにも関わらず斬るどころか弾かれる始末。さすがにおかしい!だがそのおかげで……
「っ!」
思考の方に少し気を取られているとその隙にミノタウロスが闘牛のように突進してくる。左に跳躍し突進を回避し、背を向けているミノタウロスにクレシオンでもう一度切りかかる。が、やはり弾かれ再び距離をとる。
「ハ、ハハハハハハハ!」
不意に部屋中に彼の笑い声が響き渡る。再度突っ込んでこようとしたミノタウロスが動きを止めこちらを怪訝そうな表情で視線を向ける。
もし配信を見ている人がいたら命の危機に瀕しておかしくなったように見えるのかもしれないな。でもそうじゃないんだ。ただただ嬉しかったんだ。わかっているとは思うが俺は戦いが好きだ。だからこそ前世であそこまで鍛えたわけだしな。ダンジョンに潜ったのもお金のためというのもあるが第1の理由は戦うためだ。だがダンジョン上の規約のため1.2年はまともに戦えないと思っていた。
当たり前だが強いモンスターとは基本危険度の高いモンスターのことだ。そして危険度の高いモンスターはランクの高いダンジョンに生息している。危険度の高いモンスターと戦うには探索者ランクを上げランクの高いダンジョンに潜らなければいけない。だが探索者ランクとはそんな簡単にあげれるものでは無いのだ。ランクを上げるには様々な基準と厳正な試験を突破する必要がある。それにランクを上げれば上げるほどそれはより厳しくなっていき、EからBに上げるには10年以上は掛かるとまで言われている。
もちろんそんなにゆっくり上げるつもりは無かったがそれでも数年は退屈だろうなと思っていた。そんな矢先運良く(?)ダンジョンのイレギュラーに遭遇したおかげで16年振りに全力で戦えるのだ。嬉しく、楽しくて仕方がない。
「今度はこっちの番だ!!」
地面を思い切り蹴りミノタウロスの元へと肉迫する。今日1の速さだがミノタウロスはそれに合わせハルバードを思い切りふるう。腕により魔力を集め腕力をさらに強化しクレシオンで近づいてくるハルバード打ち付ける。甲高い音がなり、ハルバードとクレシオンが打ち合った衝撃で風が舞う。拮抗状態の中クレシオンを手から放し、込めていた力のせいでミノタウロスは前方によろけた隙に申し訳程度に布が巻かれたミノタウロスの股間めがけ魔力でコーティングした拳を振り抜く。
「ブ、ブモォォォォォォ!?!?!?」
今日初めてのミノタウロスの絶叫が部屋中に響く。
が、そんなの関係ないとそのまま追撃をかけようともう片方の拳を振るうがミノタウロスは全力で後ろに跳躍し回避する。その隙に放したクレシオン拾い構える。
自分やって言うのもなんだがあれはやめておこう。同じ男としてヒュンとした。やったのは自分だが。
ミノタウロスの息が整うのを確認すると再度ミノタウロスとの距離を詰める。
息が整うまで待つ必要はなんてなかったがあれ程の敵と戦えるのが次は数年後かもしれないと考えるとこんなやり方でいいのかと少し躊躇ってしまった結果だ。
「ブモォォォォォ!!!」
近付いてくる俺に向かいミノタウロスは振り上げていたハルバード振り下ろす。が、その攻撃を刀身で受け流し、全力で強化した右腕でミノタウロスの体を殴りつける。が、ミノタウロスはびくともせずに地面に刺さったハルバードから手を離し横薙ぎ拳を振るう。近すぎたこともあり避けられず何とかクレシオンで防ぐが殴られた反動で横に吹っ飛ぶ。
「っつ」
クレシオンを地面に突き刺し吹き飛んでいくのを抑えつつ体勢を整えようとするがミノタウロスはその隙を逃さず一瞬でこちらまで跳躍しハルバードを体目掛けて振り下ろす。その攻撃を紙一重で避けつつ横に跳び距離をとりながら姿勢を戻し、突っ込んでくるミノタウロスのハルバートと打ち合う。突如ミノタウロスの振るっていたハルバードが吹き飛んだ。先程の自分と同じように打ち合う瞬間に手を離したのだろう。クレシオンを全力で振るっていた反動で姿勢を崩しその瞬間を見逃さずミノタウロスの拳が腹に直撃した。
「かはっ!!」
全身に衝撃が走る。痛みでうずくまって倒れたくなる衝動に駆られるがミノタウロスは既にこちらに向かって跳んできている。後ろに跳躍しながら体にムチを打ち何とか体勢を立て直す。
めっちゃ痛い!!ほんとに自分の体ながら貧弱すぎる!!それにまだ魔力が闘気に変化してない状態だと大して防御に使えないし、悲しくなるぐらい自分が弱い。どうする?現状だとかなりキツイ、と言うか危ない。もちろん、勝てないという訳では無い。
「ふぅ、どうしよっかな〜」
ならなんですぐ勝たないんだと思うかもしれないが理由は簡単、まだ終わらせたくないからだ。こんな敵次戦えるのはきっと数年後だ。もったいない、ほんっとうにもったいない!だが正直このままでは危ないのも事実、それに家族からも長いこと探索するなと言われるしな〜。うぅ…………一体どうしたら………
主人公の名前まだ出てないってマ?すみません。もうすぐ出てくるはず!です………。後闘気の説明はまた今度します。