第四話 台頭する新興校!
かつて、
『大学駅伝界は、
箱根駅伝人気の上昇と共に、
伝統校や強豪校を打ち破るような
新興校も台頭する超戦国時代へと
変貌するだろう。』、と言われていた。
だが、この年は
早稲田学院大学、
駒ノ澤大学、
東洋文化大学、
これらの伝統校が、三強と呼ばれ、
それ以外の大学を寄せ付けないほどの
圧倒的な選手層を有していた。
しかし、
新興校は来たるべき箱根駅伝にむけ、
着々とチーム強化に努め、
虎視眈々と
ジャイアントキリングスを狙っていた。
そして、六月に行われた
全日本大学駅伝関東地区予選会の当日。
その「超戦国時代」の幕開けを
予感させるほど、熾烈な順位争いが
繰り広げられていた!
第四話 台頭する新興校!
全日本大学駅伝予選会の
城西拓翼大学の出場メンバーは、
次の通りになった。
第一組 蒼太 (二年)、石川 (二年)
第二組 家山 (四年)、諸星 (四年)
第三組 蓮太 (二年)、修太 (二年)
第四組 竹村 (四年)、郡司 (四年)
城西拓翼大学は、
第一組、第二組は順調な滑り出しを見せ、
本戦出場圏内の四位に躍り出た。
だが、戦前の予想とは裏腹に、
新興勢力である青葉大学と國學舎大学、
埼玉帝強大学が一位から三位を占め、
四位以下に圧倒的な差をつけていた。
一方、先手を取られたとはいえ、
常連校も黙っているわけがない。
第三、四組に強力な大砲を配置した
山梨国際大学、中英学院大学、
関東体育大学、東京農林大学などは、
まだまだ上位での本戦出場が
可能な戦力を有している。
また、新興校と常連校との間にいる
城西拓翼大学は、順位だけ見れば、
一見、他校よりも
優位なレースを展開していると
思われていたが
実際は、第四組が始まる前に、
すでに正念場を向かえていた。
なぜなら、
四位から十位までの大学については、
タイム差がほとんどなく、
仮に第三組でミスをすれば、
一気に本戦出場圏外となるほどの
大接戦となっていたからだ。
(ここが勝負どころだな!
できるだけトップに食らいつけ!
頼むぞ、蓮太!修太!)
チーム全員の願いを背負い、
レンとシュウのレースが
スタートした!