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75.夜の相談事

※以前執筆していた作品の92話を一部加筆修正等加えて再投稿しているものです。

「シール様、少々お時間よろしいでしょうか?」


夜になって暫く時間が経っており、少しばかり辺りを見回った後、部屋に戻ってそろそろ寝ようかなと思っていた所でエレナさんに声を掛けられた。


「僕にようですか?あとは寝るだけなんで、そんなに長くならないなら大丈夫ですよ。」


実際の所、僕は竜鱗の民なので睡眠は2,3日取らなくても問題ないのだけれど、成長期に夜更かしばっかしてると身長が伸びないと聞いたことがあるので、しっかり寝ておきたい。


「あまり長く時間は取りません。立ち話もなんですから、私の部屋へご案内いたします。」


そういってエレナさんが歩き出したのでそのまま後ろについていく。美人な人妻に夜遅く自室へ誘われたとなれば色々思うところもあるが、この人は僕と同等かそれ以上の強さを持っている人だ。大丈夫だとは思うが万が一に備えて最低限の警戒はしておいたほうがいいかもしれない。


少なくとも、魔力回路が傷ついており制御が難しくなっている今では勝ち目はないだろう。


「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。ルル様たちが戦った場所へ調査兵を出したのですが、そのことで少し気になることがあったのでお尋ねしたいだけです。」


そういって、砦の一番奥であろう部屋へ案内され、椅子に座って出された紅茶を飲む。一口飲んだだけで気づいた。これはリリムがいつも飲んでいる紅茶だ。


「リリム様に少し茶葉を分けて頂いたんです。お返しに大量の甘味菓子を納めることになりましたけど・・・。」


紅茶の良し悪しというのはよくわからないけど、飲みなれているいつもの味と香りが安心感を与えてくれる。


「それで、聞きたいことっていうのは、熊のことですか?」


「いいえ、熊自体は私たちのほうが多く戦っていますし、大体のことはわかっています。転移魔法のことや鳥翼の術師のことも予測はついてます。問題はルル様とリリム様の出血に関してです。」


確かあの時、リリムは熊に体を貫かれてお腹から血を流したり吐血したりしていたし、ルル姉は戦斧を扱うのに必要な魔法を使って、その反動で体が傷ついていたんだと思う。


だけど、そこまで話してふと疑問に思うことがあった。首を刎ねられても問題ないとまで言っていた二人が、どうしてあそこまで傷ついてしまったのだろうか?


二人が傷つくところは初めて見たので何とも言えないが、今までの話を聞く限りだと血を流すようなことはなかったと思うし、実際何度か腕なんかが刎ね飛ばされている所は見たことあるけど、その時も出血はせずに光に包まれて元に戻っていた。


「そうなんです。ルル様とリリム様は血を流さない。それが呪いの力なのか別の魔法なのかはわかりませんが・・・。魔法の力だとすれば問題ないのですが、もし呪いの力だったとしたら・・・」


もしかしたら、魔法封じをされていると死んでしまうかもしれないということだろうか。余裕があればその辺も含めて色々検証実験をしたいところだけど、今はそんなことをする余裕も設備もない。


「ともかく、注意するに越したことはないですね。と言っても、あの二人を守る力なんて僕にはないんですけど・・・。」


せめて、天空都市の場所さえわかれば武器なんかも持ってこれるし、もう少しばかり戦力になるんだけどなぁ・・・。今度戻った時に場所が分かるように細工をしておこう。


「頼りにしていますわ。風の竜神様。それともう一つだけお伺いしたいのですが、風の祝福・・・神速の付与というのは通常魔法でも行えるものでしょうか?」


「出来ないこともないですけど、普通の魔法だとルル姉の魔力量とリリムの増力と掛け合わせて15秒くらいしか持たない程度ですよ?」


祝福は魔法であって魔法にあらず、竜神の称号を持つ者のみに与えられる特別な力。効果の再現こそ他の魔法でも出来るかもしれないけれど、祝福は無効化されず、効果時間も長い。魔力消費が大きいから多用は出来ないけれど、竜神の奥義みたいなものだ。


もっとも、長く生きている人は時々祝福の力を無理やり得ている場合もあるみたいだけど・・・。まああれはリリムが異常なだけかな?


あるいは竜神の試練に挑んだのかもしれない。初めて出会った頃には既に祝福を使えるようなことを言っていたから、その辺りは本人から聞かないと何とも言えない。


「でも、それがどうかしたんですか?エレナさん程なら出来るかもしれないですけどあまりお勧めはしないです。」


「いえ、自分で使うわけではないのですが・・・敵方に一人、神速の使い手がいるらしいので・・・。」


それは・・・どういうことだろう。話を聞くと時々、異常な速度で行動してくる敵がいるらしく、幸か不幸かそういった敵はエレナアさんかノエルさんがいる時にしか現れておらず、すぐに対処することが出来ているらしい。


「速度を活かした攻撃の破壊力はすさまじいので、普通の兵では対処しきれなかったでしょう。私たちですら、苦戦を強いられましたので。」


「速度を活かした攻撃・・・魔法を使ってきたりはしていないんですか?」


神速の効果は"行動速度の上昇"であって"物理速度の上昇"ではない。もちろん素早さも跳ね上がりはするけれど、どちらかと言えば思考速度の上昇や術式展開速度の上昇の恩恵が大きい。


だけど、エレナさんから返ってきた答えは否であった。ものすごい速度で突進してきたりが主な攻撃方法らしい。そしてもう一つ、電撃のようなものを纏っていたと教えてもらい確信を得る。


「それは雷の祝福ですね。効果は物理速度の上昇と雷撃付与。どちらかといえば弓矢とか投擲武器に付与してくるのが一般的だけど・・・。」


速度上昇系の祝福は三種類ある。魔法使いへの付与に向いている風の祝福。戦士や剣士などへの付与に向いている光の祝福による光身化。そして武器への付与に向いている雷の祝福。もしかしたら他にもあるかもしれないけれど、僕が知っているのはその三つだ。


「やっかいなのは雷の祝福による破壊力もだけど、それ以上に」


「雷の竜神が・・・敵方にいる・・・ということですよね・・・。」


エレナさんの言葉に頷き、二人で頭を抱えてしまう。この戦争、竜神が関わりすぎじゃないかな・・・?

いいねやレビュー・感想など頂けると非常に励みになります。


一言二言でも頂けるとありがたいので是非ともよろしくお願いいたします。


こちらのURLが元々の作品となっており、ある程度まで進んでいるので続きが気になる方はこちらもご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n2977fk/

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