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66.消えた年月

※以前執筆していた作品の83話を一部加筆修正等加えて再投稿しているものです。

「一体これほどの期間どこで何をしていたのかは問いません。ですが・・・今のアガレス王国の現状をご存知でしょうか?」


サンタナ領の町で再開したフェロンに連れられ、民家の一室へと案内されて開口一番フェロンが尋ねてきた。


「現状も何も・・・まさかノエル様に何か・・・?」


数日前、自分たちと別れ国へと戻ったノエル様の身に何かが起こったのであれば、緊急案件として僕らと面識のあるフェロンが他領まで探しにきているのも頷ける。だが、フェロンが話す内容は想像以上に深刻で、理解し難い現実を突き付けてきた。


「あなた方がいなくなってから三か月後くらいでしょうか?バエル王国・シトリ教国・ウァレフォルの混血種たちの連合軍と、アガレス王国とで戦争が始まりました。現状アガレス王国は王都とスフラの町以外はほぼ陥落しています。・・・その様子だとやはりご存知なかったようですね・・・。」


「戦争だって!?それに三か月って・・・僕らはまだ・・・。」


「待ってグラ!・・・ねぇフェロン、私たちが初めて出会った時からどれくらい経っているかしら?」


ルルの質問の意図が一瞬判らなかったが、理解した瞬間に鳥肌が立ち寒気がした。そして、フェロンの口から発せられた回答によってそれは紛れもない現実だと認識し、眩暈までしてきた。


「出会ってから・・・?といいますと一年半くらいでしょうか?」


「これは・・・私たちが雪山を訪れてから戻るまで三日弱いましたから、およそ1日で半年の時間がずれたということでしょうか?」


今度は逆に、フェロンがこちらの認識を理解できていないようで困惑顔になっていたため、簡潔にだが僕らが体感してきたことを話す。認識のズレに関しては理解したようだが、それでも未だお互いに混乱状態にある。


だが、やるべきことは明白だ。アガレス王国に戻り戦う。僕一人で戦局を変えれるほどの力はないが、情報収集と部隊長級の将の暗殺くらいなら出来る。


ルルたちも、今回は出来る限り力を貸してくれるそうで、スフラの町まではシールが化身して運んでくれることになり、戦局を見てルルたちも参戦してくれるとのことだ。


「はやる気持ちはわかりますが、今は深夜ですので一晩お休みになってからのほうが良いかと思います。この民家はあなた方を捜索する際に拠点としてお借りしていましたので、どうぞご自由にお使いください。それと、何かあった際の連絡手段として、私の使い魔を一体差し上げます。」


そういって手のひらに乗る程度の小さな蛇を召喚し渡してきたが、蛇を懐に忍ばせることに若干の抵抗があったため、この蛇はシールが連れ歩くことになった。













フェロンがサンタナ領領主やウアル国王への報告のために向かった後、現状確認を行ってからベッドへと潜り込む。


アガレス王国の王都が陥落していないのであればまだ希望は十分ある。スフラが堕ちていないのはエリアスが守ってくれているからだろう。


だがそれ以外の場所は、いかに戦争巧者の将たちといえど、三国の同盟軍・・・まして一国はウァレフォルの民なのだから耐え切ることができなかったのだろう。


陛下を筆頭にアガレスには世界的に見ても有数の将が何人もいる。小国ながら戦争強国であると言われてきた国だが、それでも結局は数の暴力には逆らえない。


アガレス王国を囲う三国から同時に攻められてはさすがに厳しい。だがそれでも一年以上もの間耐え続けることができているのも事実だ。


守る場所が少なくなったがために、逆に戦いやすくなったのだろう。陛下や母上たちの無事を祈りつつ眠りについた。













「姉様、起きていますか?」


部屋の扉を叩く音とリリムの呼ぶ声に目を覚まし部屋の中へ招き入れる。話を聞けばどこまで手を貸し戦うのかを決めかねているとのことだ。


「私としては、リュフカの町は必ず救いだします。ですがそれ以外をどうするか悩んでいるのです。姉様はいかがしますか?」


砂糖の名産地でもあるリュフカの町をどうにかしたいというのは、とてもリリムらしいが、リュフカの町だけどうにかしたところでアガレス王都が滅びてしまえば意味がないだろう。


「そうね・・・私としては戦争の理由でも調べて、内容によってどこまで手をだすか決めようと思っているのよね。でも、少なくともアガレス王国の国内を取り戻すのには全面的に協力するつもりよ。愛する人と、一応愛弟子の祖国ですもの。」


たとえどれほどの軍隊であろうと、私たち二人がいれば話にならないだろう。驕りや慢心などではなくただ一つの事実として。


私たちは過去に国全体を上げて討伐部隊を向けられたことがあったが、今よりもっと質の高い兵士たちですら蹴散らしてきた。


「そう・・・ですね。エレナが愛弟子であるという点は反論したい気持ちしかありませんが、義理の兄の祖国ですからね。私も出来る限り頑張ります。」


まあ実際問題、私たちがそんなにも頑張って戦わなければいけない相手などそうそういるわけもないので、適当に空から魔法を撃ってみたり、片っ端から適当になぎ倒していくだけでも十分だとは思うけど、わざわざ水を差すこともないので黙っておく。













「干渉されたとすれば、転移で行ったときか戻ってくるとき・・・かな?ルル姉でも気づけないなんて・・・。」


幻想世界で出会った二人の竜神からは好意しか感じなかったし、何か隠している様子も・・・あの倉庫みたいな物意外は特になかった。


彼らが敵対しているとは考えにくいし、であるならば、何者かが魔法陣に干渉してきた可能性が高いだろう。


転移魔法陣の術式の中には時間指定する部分もある。ただ、通常は現時刻と変えることは難しいし、変えれたとして数秒程度のため、いきなり一年半も時間を飛ばすことは不可能だ。


だが、それはあくまで時間にだけ干渉した場合の話であって、ただ一年半飛ばすだけなら他にやりようもある。そして、その証拠を探すためにこっそり民家を抜け出し、一度砂漠付近まで戻ってきた。













そして到達と同時に、独断行動を後悔することになった。

いいねやレビュー・感想など頂けると非常に励みになります。


一言二言でも頂けるとありがたいので是非ともよろしくお願いいたします。


こちらのURLが元々の作品となっており、ある程度まで進んでいるので続きが気になる方はこちらもご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n2977fk/

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