64.二回目の初夜
※以前執筆していた作品の81話を一部加筆修正等加えて再投稿しているものです。
「魔王に会いに行くというのも一つの手だと思うのよね。」
夕食を食べ終わり、昨日と同じように席に座って雑談を始め、古代竜語の解読や神話の遺跡の話になったところでルルが切り出した。
「魔王という者を俺たちは詳しく知らないが・・・信頼に足るような者なのか?」
すっかり体調は元通りになったのだが、魔王に会いに行くなんて話を聞かされたらまた体調が悪くなっていく気がする。
それはさておき、ルルの話では魔王と言っても、おとぎ話に出てくるような、世界征服だとか人間を滅ぼそうとしているとか、そうった存在ではなく単純に魔族の国の王であるため危険な人ではないらしい。
「魔族という種は粗暴な者が多いので敵対意思を見せたらすぐに攻撃してきますが、同時に細かな事を気にしない人も多いので一度信頼関係を築けば案外色々と協力して貰えます。」
問題は、この二人が魔族と信頼関係を築いてきたのかという点だ。ルルは問題ないと言っているのだが、以前ちらっと話をした時の事を考えれば迷惑しか掛けていないんじゃないかとも思える。
ただ、共に神話の遺跡に挑戦しようとしたことがあるとも言っていたしそこまで敵対してはいないのではないかとも思える。
魔族の国アモンはウアル連合国からはかなりの距離があるため、一度アガレス王国に戻って旅支度を整えておきたい。僕の部屋にもまだいくつか魔法具が置いてあり、長旅となるならいくつか手持ちに加えておきたい。
「それにグラっちのお母さんにも報告しなくちゃいけないもんね!色々と!」
その辺はノエル様に一応報告はしたし、改めてする必要はないんじゃないかとも思うが、これにはルルとリリムにちゃんと報告するべきだと怒られてしまった。
「あなたは王族なのだから、しっかり報告はしないとダメでしょ。それにもし国の方ですでに婚約者が決まっていたりしたら私は諦めないといけないのだから。」
「国を捨てるにせよなんにせよ、一度エレナと相談するべきかと。あなたは彼女の一人息子なのですから。」
「少年ほどの腕利き密偵はどの国探してもそうそういないからね。それを失う可能性を考えると、君が魔族の領域に行くのは賛成されないかもね。」
そう言われてしまうと、確かに今までの立場を無視した決断をしていることに不安を感じてしまう。あの家族たちが反対するとは思えないが、国はそんな単純な話でもない。今後どうするかを決めるためにも一度話をする必要があるだろう・・・あまり気はすすまないが・・・。
「随分とエレナに報告することを嫌がってるみたいだけど、理由があるのかしら?」
夜も遅くなりそれぞれの家に戻って休むことになったのだが、今日は最初からルルが僕の家の方へきている。
「嫌って訳じゃないけど・・・あの母だからね。面倒な絡みをしてくるのが目に見えている・・・。」
今まで、仕事の話しかしていない時ですら恋人はいないのかとか可愛い子を見つけてないのかとか、色々聞いてきたのだから、いざ恋人が出来て、しかもその相手がルルであると分かったら何日質問攻めで拘束されるかわかったもんじゃない。
「まあ、その辺は私も覚悟しているわ。国の細かなことまではわからないけれど、多少は好意的に受け入れてくれるでしょ。」
後の事はその時考えればいいと、楽観的な結論を付けてルルが浴室へと向かった。昨日の反省を活かして、今日は先に僕が入り後からルルが入る。
一人ベッドに座って待っているこの時間は何とも苦しいものがある。心臓はドキドキと高鳴りっぱなしだし、この後の展開を考えるだけで色々と我慢できなくなりそうだった。
結局、ルルが浴室から戻ってくるまで金縛りにでもあったかの如く微塵も動くことなく待ち続けていた。
「私は、どうしたらいいかイマイチわかってないから、グラの好きなようにして・・・。」
ベッドの上で待っていたグラに軽くキスをして隣に座る。これから事をするという割に私の心は随分と落ち着いている。不安がないわけではないが、それ以上に未知の環境への好奇心が勝っているのだろう。
「わかった。痛かったりしたらすぐいってね。」
彼のやさしさに小さく頷くと、ベッドに押し倒されキスをされる。昨日と同じように舌を絡ませ、今度は酸欠にならないうように細かく離れてはまた唇を重ねる。息が荒くなっていくのを必死に整えようとして、それでもまったく隠せていない彼がとても愛おしい。
彼の手が胸の輪郭をなぞるように触れてくる。ゆっくりと、柔らかさを楽しむように手が動く。少し強めに揉まれた時にピリっとくるものを感じ表情に出てしまったのか、痛みを感じたのかと確認されてしまう。
だがこの体は痛みを感じない。それは彼が優しく触れているからではなく、呪いのせいだろう。首を刎ねられても痛みを感じず多少の違和感を与えるだけなのだから、この程度は何も問題ない。
むしろ優しく触られてしまっているせいでもどかしさすら感じてしまう。リリムとしたときはもっと強くされていて、それに慣れてしまっているのか・・・だからといってもっと激しくとも言い辛い。いくら無知でもそんな発言をしてしまえば気分が萎えてしまうかもしれないということくらいは知っている。
「まあ、実はリリムから色々情報を得ていてね。ルルはこっちのほうがいいんだろう?」
ニヤリと笑った彼はいきなり下半身に右手を突っ込みいじりだす。順番にくると思っていたところに突然強く責められ、変な声が出てしまう。水の跳ねる音と、私の声と表情が、彼の責めを余計に加速させる。
結局、あっという間に昇天させられてしまい、腰を浮かせながらビクビクしている私に向かって"まずは一回"と呟いた彼に冷や汗と興奮が止まらなくなってしまった。
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