表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/101

55.飛ばされた場所は

※以前執筆していた作品の73話を一部加筆修正等加えて再投稿しているものです。

「ここは・・・どこだ・・・?どこの平原だ・・・?」


雪山の山頂で転移魔法陣を踏み飛ばされた先は、暖かな風が吹き、辺り一面緑が生い茂る平原だった。


「目覚めましたか。」


後ろから声を掛けられ振り返れば、リリムが姿勢良く立っており紅茶を啜っていた。確認したところ僕はリリムが目覚めてから30分ほど長く気を失っており、ルルとシールの居場所に関してはかなり遠くから気配を感じるとのことだった。


「僕らは確か同じ転移魔法で飛ばされたんだよね?二人だけ離れるってことがありえるのだろうか?」


これが四人別々に踏んだのであれば、途中で瞬時に魔法陣が書き換えられたりなどを疑うこともできるのだが、今ここにいるのがルルに担がれた僕と、シールを背負っていたリリムという時点で、よほどのことがない限りこの分かれ方をするとは到底思えない組み合わせだった。


リリムもその点は不思議に思っていたようだけど、考えるよりも行動して答えを知っている人を探す方が早いという結論に至ったらしい。


「あちらの方に集落のような場所がありました。少し距離がありますが、歩けますか?」


リリムが示す方を見たが何も見えず、遠視の魔法を使ってようやく民家のようなものが確認できた。かなりの距離があるような気もするが、立ち上がり確認したところ特に体が痛むこともなかったため、リリムと共に歩き出した。


だが、どうにも気まずい感じがする。ルルと恋仲になってまだ数日しかたっていないというのに、その妹と二人きりというのは中々複雑な心境だ。


やわらかな印象を受けたルルと違い、凛とした、かっこいい女性という雰囲気があるリリムは、ただ歩いているだけなのにも関わらず勇ましさと美しさを感じさせる。


「・・・グラさん、そんなに見つめられても私は姉様と違ってあなたに惚れたりしませんよ?」


振り返ることもなくそう言い放つリリムに思わず焦って視線を反らす。見ほれていたわけではないのだが、何か言葉にできないような罪悪感に駆られてしまった。


「冗談ですよお義兄さん。姉様があれほど他人に興味を示したことなど今までありませんでしたから、少し嫉妬しているだけです。」


「意外だね・・・。人と余り関わりを持ってこなかったといっても、それなりに人里にはいたんだろう?」


積極的に交流を持たなかったとしても、あれだけ飲み食いする生活をしているのだから、町などには結構な頻度で出向いていると思う。長い時を生きているのだから一人や二人いてもおかしくはないと思うのだが・・・。


「強いてあげるのならば私くらいでしょうか?一応唯一の身内ですから。ですが姉様が他者へ関心を持つことなど、せいぜいその人が見たことのない魔法などを使っていて、それを研究したい時くらいでしたから。」


彼女が僕に興味を持ったのは隠密系の魔法を使うからだろうとリリムは言っている。今までの人生で隠密系の魔法を使う"味方"は一人もいなかったために研究しようにも死体から少しばかり情報を得る程度だったという。


「つまり、隠密系の魔法を一通り研究したら飽きられて捨てられるってこと?」


ルルの気持ちがどこへ向いているかなど知りようもない状態でそんな話を聞けば不安にもなってくる。


「さて、どうでしょうね。飽きられないようにしっかりと姉様を掴んでおくしかないでしょうね。」


悪戯っぽく笑いながら言われてしまっては、頑張るしかない。少なからずルルは自分のことを好きだと言ってくれたのだから、その言葉に応えることが出来るように努めていこう。


「姉様がどのように考えているかはわかりませんが、おいしい食べ物とお酒を用意しておけばご機嫌取りくらいは出来ますよ。」


とりあえず今後は収納魔法の中に大量の食料と酒を用意しておこうとこっそり誓った。













「すみませーん、こちらの村の方でしょうか・・・ってあれ?ルル?」


「あら?二人してどこに飛ばされてたのよ・・・。」


民家の近くに着いたところで、その近くの畑で何かを収穫している人に声を掛けてみれば、振り返ったのは麦わら帽子を被り、首にタオルを巻いているルルであった。


「姉様?何故畑仕事を?」


「おいしいご飯をご馳走してくれるって言うから、少し手伝いをしているのよ。」


ルルとシールは僕たちと違い正確にこの民家の近くに飛ばされたらしく、ルルは畑でじゃがいもやら大根やらを収穫しており、シールは川へ魚を取りに行っているらしい。


服に関しては借り物らしいのだが、なんというか違和感がすさまじい。研究職用の白衣などなら似合うのだろうが、いかにも農家というこの格好とルルの雰囲気との合わなさ具合がすごい。


「まあとにかく無事でよかったわ。ここの主・・・土の竜神がそこの民家にいるから、挨拶してきなさいな。」


そういってルルは再び畑の方へ戻っていった。というかどれだけ食べるつもりなのだろうか?すでにそこそこ大きめの籠一杯にジャガイモやら大根やらが積まれているというのに・・・。


「というより、この畑はどれだけ広いんだ・・・。」


先の見えない畑には外にも様々な物が植えられており、食べ物意外にも大小様々な花が色とりどりに咲いていた。

いいねやレビュー・感想など頂けると非常に励みになります。


一言二言でも頂けるとありがたいので是非ともよろしくお願いいたします。


こちらのURLが元々の作品となっており、ある程度まで進んでいるので続きが気になる方はこちらもご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n2977fk/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ