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40.王城到着

※以前執筆していた作品の58話を一部加筆修正等加えて再投稿しているものです。

「あれは・・・セインか!?おーい!!こっちだ!!」


ウアル連合国王都の上空を翔け抜け、多少の騒ぎはあったものの前情報通りセインたちのことは知っていたらしく、敵意を向けてくる者は特に感じなかった。


そして王城の城壁をも空から越えたところで地上から声を掛けられた。下を見れば幾人かの兵士の中に一人だけ装備が違う人が見えた。おそらく彼が声を掛けてきたのだろう。


「皆さん。下へ降ります。リリムさんとノルンさんは・・・気を付けてください。」


そういってセレンが下降を始め、ついていくようにシールも下へと移動していく。だがいつまでたってもアルルが下りてくる様子がない。


「す、すみません・・・。アルルはいつも飛翔魔法を解いて落下するように降りてくるので・・・お二人にすごく負担が・・・。」


現在アルルは城壁を超えるほどの高さに待機しており、今飛翔魔法を解除して落下してしまえば上に乗っている二人にかなりの衝撃が走ってしまう。鍛えていない者なら死んでしまうかもしれないほどの負荷を受けるだろう。


だが、アルルも同じような話を上でしていたのだろう。広場を少し開けてくださいとリリムから伝えられたのと同時に、二人で飛び降りてきた。そして何事もないかのように着陸し、少し乱れた髪を直していた。


考えてみればリリムは当然問題ないし、ノエル様も飛翔の魔法は使える。速度を維持できるほどではないが、飛行系の魔物に遅れを取らない程度には使えるのだから、あそこから飛び降りるくらい容易いことだろう。


城内の広場にいた兵士たちも少しばかり驚いていたが凡そ察したのだろう。特にざわつくこともなくアルルが落ちてくるのを待っていた。


「レオナ!無事だったのか!よかった・・・。怪我はないか?乱暴にされたりとか・・・」


「問題ありませんランドロー様。それより、ご心配をお掛けいたしました。私の不用意な選択が彼女たちを巻き込み、あなたを不安にさせてしまった。」


しっかりとしているようで、どこか頼りなさげなこの男性は、レオナの婚約者、ランドロー第一王子だ。


髪と同じ茶色の瞳は以前子供の頃に出会った頃よりかは目力が強くなっているものの、戦士ではなく学者として育ったようで細い体つきも相まって、非常に扇情的な雰囲気を醸し出している。


「彼らが私たちの窮地を救ってくれた命の恩人です。正体も分からぬ私たちをここまで護衛してくれた冒険者です。」


「なるほど・・・グラセナ王子お久しぶりです。それにあなたは・・・いえ、ここでする話でもありませんね。皆様、レオナを救って頂いたこと感謝いたします。よろしければこちらへ、色々伺いたい話もございますので。」


そういって彼は先頭を歩きだし護衛の兵士たちと共にそれに続く。僕のことを覚えていただけではなく、今の様子からしてノエル様のことも見抜いたような素振りだったが、それをこの場で言及することなく個室へと案内してくれた。













「手狭な部屋で申し訳ない。何分レオナのことで城内がバタバタしていまして。改めまして、私はウアル連合国第一王子のランドローと申します。グラセナ王子とは交換留学以来ですね。」


「えぇ。お久しぶりですランドロー王子。それと、ご結婚おめでとうございます。アガレス王国代表として、そして一友人として祝福いたします。」


握手を交わしかつての学友へ祝辞を述べるグラ。なんというか、普段の彼を見ているとこういった王子としての彼に違和感を抱いてしまう。普段は王子というよりやさしい兄というか愛しい弟というか・・・。


「ノエル様もお久しぶりです。あぁご安心ください。この部屋は盗聴防止の魔法も展開していますし人払いもしています。」


ランドロー王子がそういうとノエルは眼鏡を外し髪留めを外し、元の姿に戻って改めて挨拶をしている。


どうもその交換留学とやらの際に、アガレス王国でランドロー王子の教育係になったのがノエルだったらしく、彼女もまた、ランドロー王子の成長と結婚に祝辞を述べていた。


「それと・・・差し支えなければあなた方のお名前もお伺いしたい。レオナを救っていただいた恩人ですので、あなた方の名前は我が国の史実に載せたいほどです。」


気まぐれで起こした行動で歴史に名前を残されても困ってしまう。まあさすがに冗談なのだろうが、なんとなく彼ならその程度のことはしそうでもある。


「お初にお目にかかります。私は旅人のルルと申します。こちらは妹のリリムと、共に旅をしておりますシールと申します。」


私の紹介に合わせ二人が軽く頭を下げる。二人してこういった場は苦手なようで、お偉いさんと話すときは大抵私任せにしてくる。私も得意というわけではないし、むしろこんな場所より酒場でお酒を片手に漁師の相手でもしているほうが幾分かマシなのだけれど・・・。


彼はまた言葉を変えながら礼を言ってくるが、いい加減実りのない話を続けられても困ってしまう。


だんだんと笑顔が引きつっていってしまい、こちらの心情を察してくれたのかランドロー王子は少しずつ本題の方へ話を変えてくれた。


一先ずの報告としてウアル連合国へと着いた所から、道中でキセ領領主のフェロンに襲われたことなどを伝えたところ、かなり驚いた様子を見せていた。

いいねやレビュー・感想など頂けると非常に励みになります。


一言二言でも頂けるとありがたいので是非ともよろしくお願いいたします。


こちらのURLが元々の作品となっており、ある程度まで進んでいるので続きが気になる方はこちらもご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n2977fk/

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