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23.三人の都合

※以前執筆していた作品の38話を一部加筆修正等加えて再投稿しているものです。

「うーん・・・私たちはウアル連合国に行こうかなって話をしていたのよね・・・。」


離宮へ戻ると既にルルとリリムも戻ってきており、三人で次に向かう場所の計画を立てていたようだ。


ルルたちは英雄の伝説が残る国々を巡る予定だったらしく、アガレス王国へ来たのもその伝説を調べるためで、ある程度調べがついたので次を目指すとのことだ。


二人が探している竜人の財宝に関して、もしかしたら長生きしている竜神なら知っていることがあるかもしれないということで、そちらも探すことにしたところ竜神の一人がウアル連合国にいるかもしれないとシールが言い出したらしい。


「僕も風の噂でしか聞いてないから確かな情報じゃないんだけど、霧の里っていう所に竜神がいるって聞いたことがあって、神話の地図で色々調べてたらそれがウアル連合国にあることがわかったんだ。」


「この大陸に来た時は密航・・・コホン、船で来たのだけど商業船ではなかったし、船の操作方法とか作り方は分かるのだけど、どこからどうやってウアル連合国に行けばいいのかが分からないのよね・・・。」


とある国にいた海賊を脅して無理やりバエル王国まで送り届けさせて、そこからウァレウォル渓谷を通りアガレス王国までやってきたとリリムが補足した。


正直、三人の誰か一人の力でも借りることができれば話は楽だったのだが、アガレス王国の問題で彼女たちの行動に制限を掛けるのもどうかと思っており、どうしたものかと頭を悩ませる。


「私たちが持つ力は強大だわ。それこそ、私一人で国の一つや二つ相手にしても大丈夫なくらいにね。だからこそ戦争とか政治とか、そういったことにはできる限り関わらないようにしているのよ。もちろん絶対ではないし多少の協力はできるわ。魔物退治とか遺跡の調査とか、あとは護衛とかかしら。」


彼女たちが原因で戦争が起こったりしたのならともかく、関係ない戦争で前線に立って多くの命を奪う行為や、自分たちの力を牽制に利用したりするのは避けたいようだ。


僕としても残念に思うと同時にどこかほっとしている部分もある。彼女たちの自由さに惹かれているからこそ、その輝きを奪うようなことにならずに済んでいるのだから。


「私たちはバエル王国にもウァレウォルの民にも多少ですが恩義があります。少なくとも均衡が崩れる前に一方に加担するということは、他方への背信行為になってしまいます。せめて、何かしらの大義名分があればまだ動きようはあるのですが。」


「てことで、ウアル連合国に行く時に王様やノエルさんの護衛ならついでで協力できるけど、戦争そのものに加担は・・・今はまだできないね。ごめんねグラっち。」


例えば、今この瞬間に戦争が起これば、アガレス王国が攻め込まれるようなことになれば彼女たちも防衛に参加してくれるそうだが、現状では何も起きておらず、そもそもウァレウォルの民の脅威に関しては想像でしかない。


「戦争に協力はできないけど、情報提供くらいならできるわよ。まず、ウァレウォル渓谷に住んでいる主戦力は陸種。狼とか猫とか狐の混血種ね。」


混血種は元々精霊化した動物が人と交わり生まれてきた種族であり、精霊化しやすい種族ほど混血種の数も多く、子孫を残す能力が高い種族もまた数が多い。


「それから、水棲種もそこそこいたはずだから、戦争になったと仮定したら東の海や南側の海から攻め込まれる可能性もあるわね。鳥翼種もいるから空から攻撃されることもあるし、竜種に至っては空も海も移動できるから、どこからくるか分からないわね。」


「山、森、空、海は彼らの領域です。アガレス王国の騎士たちが戦うとしたら平地か街中になるでしょう。ついでに、ウァレウォルの民は義を重んじる傾向にあります。バエル王国に多くの恩義があるようなので、戦える民はほぼ全てが戦争に参加すると見積もったほうがいいですね。」


先ほど話していた通り数人程度ならばどうにかなるが、全員となると厳しいどころか壊滅的な敗北すら覚悟しなくてはならないだろう。


「というか、そもそもまだ戦争にはなってないじゃん?ノエルさんをこっそりウアル連合国に送って、問題が起きる前に帰ってくればいいんじゃない?」


「それができれば苦労しないさ・・・。アガレス王国とウアル連合国の王都までは海上だけで数日掛かるし、向こうに着いてからも数日かけての移動になる。それだけ離れていれば情報を入手するのも時間がかかるし、戻るのも時間が掛かる。即座に帰還しなきゃいけないという情報を得て・・・即座に帰還する方法なんて・・・」


そこまで自分で言ってふと思い出す。遺跡で入手した対の魔剣はかなりの長距離をも転移できるようで、アガレス王国に青い宝玉が付いた魔剣を残しておいて、赤い魔剣を持っていけば即座に帰還することができる。


そして戻るために必要な情報も、首飾りの魔道具を持って行って合図が送られてきたら戻るというふうにすれば、ある程度の問題は解決できるかもしれない。


「とりあえずこの魔剣とかは渡しておくね。僕のってわけじゃないからそのままあげるよ。」


「あとは保険として、ノエルがこの国にいないってことが分からないようにしておけばいいんじゃないかしら。例えば、謎の病気を患って一月くらい部屋に引きこもってるとか。万が一のことがあるから休暇も兼ねて安静にしているけど、いざという時は戦える・・・みたいな情報を流しておくのはどうかしら。」


その方法は考えなかったわけではないのだが、情報漏洩を防ぐために変装し、殆ど護衛をつけずに見知らぬ土地へと行ってもらわなければならない。


戦闘面という意味では護衛はいらないが、ノエル様自身は隠密行動や単独での野営の経験が無く却下されていたのだが、ルルたちが一緒に行ってくれればその辺は問題ないかもしれない。


「とりあえず私たちはスフラの町にでも行って船を調達してくるわ。操縦はしたことないけど方法は分かるから、余計な人を乗せずに私たちだけで移動することもできるわ。」


ルルの言葉はつまり、秘密裏に行動するのであれば護衛として協力してくれるということだろう。ともかく彼女たちから得た情報を持って再び執務室へと向かい、そこで最終的な決定をすればいいだろう。


「変装ということなら、これをあげるよ。そのまま付ければ髪の色が変わるからね。いい?絶対にそのまま付けるんだよ。」


そう言ってシールから渡されたのは同じく遺跡で見つけた髪飾りだった。これを使ったところは僕も見ていたのだからどうなるかは分かってる。


ノエル様の髪が七色に輝かないよう後で母上に調整してもらおう。

いいねやレビュー・感想など頂けると非常に励みになります。


一言二言でも頂けるとありがたいので是非ともよろしくお願いいたします。


こちらのURLが元々の作品となっており、ある程度まで進んでいるので続きが気になる方はこちらもご覧ください。


https://ncode.syosetu.com/n2977fk/

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