帰還そして出発
メドラドの街に帰還したのが遅い時間だったので
レンとリーヴ君がギルドに報告に行くことになり、
他の遠征メンバーは明日詳しく報告する形となったので今日は一旦解散する。
私とマリーはギルドに寄らずボルドス家に向かう
なぜなら私が早くお風呂に入ってゆっくりしたいからだ
「んんー!よく寝たー!」
ボルドス家に着いてお風呂をゆっくり堪能している時に
シルフィーが伸びをしながら起きて私の元まで飛んできた
「おはようシルフィー、もうマリーの家に着いてるわよ?」
ケレスが戻って来たらすぐにケレスのふわふわな背中で寝始めたシルフィー。さすが自由気ままな精霊
魔の森では結構うるさかったのによく寝れるわね?
え?風で音を遮断してたって?
魔法じゃなくてただの風なんだ?
そう言えばシルフィーって風の大精霊だったっけ
なんか大精霊感ないからうっかり。
ぽちゃん!と
湯船にシルフィーが飛び込んで来たのでそのまま一緒に入る
プカプカ浮いてるシルフィーを見て何となくさっき聞いた話から思い付いつき、風でお湯に波を作ってみる
指先に風をまとわせてお湯に当てる感じね
「わっぷ!」
波に襲われて一瞬驚いた様子のシルフィーだけど
面白かったのか笑いながら「もう一回やってー!」と言うので
しばらくの間シルフィーに向けて波を出して遊んでいると
何処かで見たことのある水精霊も混じって来た
「あら、あなたガラハットの精霊ね?確かラランだっけ?」
私の言葉に嬉しそうにうんうんと一生懸命頷く水精霊のララン
面白そうだったから来たのね?
いいわよ、一緒に遊びましょ~
え?メイも入りたい?メイって水苦手じゃなかったっけ?
さっきからずっと、浴槽の淵に座って恐る恐るお湯に手を付けてはピピピッと手に付いた水を振ってを繰り返してたメイ。
くそかわ
でもシルフィー達と遊びたい様なのでメイの周りを透明なボール型のバリアで包みお湯にプカプカ浮かせる
最初はコロンコロンとボールの中で転がっていたメイだけど
バランスが取れるようになって器用にシルフィー達と波で遊んでる
日本にもそんなアトラクションあったな
そんな風に遊んでたらまた沢山の精霊達が来ていることに気付く
うん、そろそろ出ようかな
精霊達を振り切ってお風呂から出たら出たで
楽しそうな雰囲気に気付いていたロー達が拗ねていた
⦅ずるい!⦆⦅俺も遊びたかった!⦆⦅僕も!⦆
おう…ごめんよ
「ウンディーネの湖に行ったらあそぼうね?」
拗ねているロー達をなだめつつベットに一緒に入って寝ることにする
子狼3匹と子猫と精霊に囲まれ眠る
幸せか!
幸せだな。
おやすみなさい。
ーーーーーー翌日
冒険者ギルドに呼ばれているので
マリーと一緒に冒険ギルドのアーキスの部屋に来た
アーキスの部屋には私とマリー、先に来ていたレンとリーヴ君
ガラハットとアーキスがいる
もちろんケレス達も一緒だ
「報告は昨夜レンとリーヴから聞いた」
皆が椅子に座った所でアーキスが話し出す
ロー達にはおもちゃでも与えとこう
シルフィーが猫じゃらしをねだってくるので与えると
メイと遊び出した
シルフィーはよくメイの面倒を見てくれているので助かる
そして昨夜から何気にずっと私の側に居たラランが
フラ~とガラハットの元に戻ると
ラランが戻って来たことに気付いたガラハットが私に小さく黙礼する
そんな調子でロー達を見ていたのでぶっちゃけアーキス達の話を聞いてなかった私
「正直、想定以上に皆が早く帰還した事にも驚いたが、それより魔の森で起こった内容がなぁ」
疲れた顔で顎を擦りながらアーキスが私を見る
何よ?
「はぁ…どうやって上に報告すりゃいいんだ」
アーキスの言う‘上’とは全冒険者ギルドを纏める統括のことだ
ガラハットはそんなアーキスを見て同情する
「私としては魔の森の事態がこれ以上深刻にならずに済み、フェンリル殿の一件を調べる事が早く出来そうなので助かりますが…」
ガラハットがロー達の誘拐事件の捜査に早く乗り出せそうで何より
ロー達を誘拐した奴らが自白したとしても、それを元に証拠や他の証人、証言を集めたりしなきゃだから忙しくなりそうね
大いに頑張れ。
「結果としては充分だからいいだろ?後は北のボスが決まった報告だけ待ってようぜ」
「レン、ギルド規定を破ったあの子達の事もあるでしょ?」
「あぁ…あいつらか、マキナがどうしたいかにもよるが…」
あのお馬鹿な4人組の事か
あれ以来静かだったから存在忘れてたわ
「それならギルドに任せるわよ」
私は4人組に言いたいこと言ったし、何より実際には見返り求めてないしね
要は誠意の問題よ
「まぁマキナがそう言うならギルドに任せておけばいいんじゃないか?」
今日も可愛い顔ですねリーヴ君
あ、顔だけじゃなく全身が可愛いですね!
相変わらず触りたくなるお姿ですね!
「!」
何かを感じたのかしっぽをキュッと握って警戒するリーヴ君
どうしたのかな?
「とりあえず魔の森も落ち着きそうだし、一件落着?」
「いやいや!全然一件落着じゃねーから!」
軽く纏めようとした私にレンが突っ込んでくる。
ちょっとツバ飛ばさないでよね
「「ハァ…」」
マリーとリーヴ君もため息つかないでよ
「まぁ魔の森はほっといても大丈夫よ?ただ魔の森北部から氾濫した魔物が北の帝国にどう影響を滅ぼすかは気になる所だけどね」
帝国は本当にろくなことしないわね
今回の騒動で魔の森付近の帝国側の街などは魔物の対応に追われてるでしょうね
どこまで対応出来る備えがあることやら
帝国の上層部のろくでもない考えのせいで罪のない人々が犠牲になるのは気にくわないけど、さすがにそこまで介入する気はないわよ
いくら私が半神族だからって成り立てな訳で万能じゃないんだから
私の言葉に帝国の調査をしていたガラハットが答える
「それについては、こちらでも出来るだけ対処します。王国側に逃げてきた帝国市民は我が国に受け入れ、国を自由に跨げる冒険者に依頼して魔の森北部近隣の町の援護に回ってもらっています」
「おう、俺達も行くぜ」
どうやらレンとマリーも行くようだ。
なら安心かな
短い間しか一緒にいなかったが、レンとマリーの人柄と実力は分かってるつもりだ
「じゃあ後は任せて私達は数日ゆっくりしてから王都に向かいましょうか」
「さんせー!」
私達の話し合いにすぐに飽きてロー達と遊んでたシルフィーが両手を上げて飛んでくる
「リーヴ君もそれでいい?」
「うん」
とゆうわけで、本来の目的である王都で行われる
湖の乙女の儀式を見に行こう
まぁ、数日はボルドス家にお世話になりつつメドラド周辺を観光しながら楽しむ予定なんだけどね
その日の夜は私とリーヴ君、レン、マリーと遅くまで
マリーおすすめのお店で飲み明かした。
この世界に来て初めて出来た友人達とのお酒の席はとても楽しく時間はあっとゆう間に過ぎていく。
次の日
魔の森北部の街に行くレンとマリーの出発を見送るため
私達とレンとマリー、ボルドス家の面々と共にメドラドの街の東門に向かう
ボルドス家の面々と言ってもジオール君にメイリーンちゃん、セバスとマイヤーさんの4人だけどね
メイリーンちゃんは私とマリーがメドラドを出ると聞いた時にすごく泣きそうな顔をしてたな
それだけ私達と居て楽しく思っててくれたってことかな?
私が王都に出発するまでは出来るだけ遊んであげよう
「あの!」
東門に着いてレン達を見送ろうとした時後ろから声がかかる。
その声に振り向くとそこには
忘れかけていたあの4馬鹿がいた。
私と目が合うと双子が前に出てきて私に頭を下げる
後ろでも2人が頭を下げているのが見える
「「助けてもらったのにあんな態度取ってごめんなさい!」」
ふむ、少しは反省したってことかしら?
「あたし達がやったことは簡単に許される事じゃないって分かったの」
「俺達どうやったら貴女に助けてもらった恩を返せるか考えたけど…」
「正直あたし達に何が出来るか分からなくて…」
「俺達がこれから受ける依頼のお金を貴女に渡すくらいしか思い付かなくて…」
双子達が項垂れながら話をするのでとりあえず頭を上げさせる
「頭を下げることも大事だけれども、まず、謝るなら相手の目を見て謝りなさい」
私の言葉に慌てて頭を上げて目を見てもう一度謝ってくる彼らの姿を見て私は許すことにした。
「君達の謝罪を受け入れます」
私の言葉に見守っていたレン達もホッとした表情を浮かべる
「あと、君達を救助した対価だけど、ギルドの規定通りのお金を君達まとめて一人分にした値段で充分よ」
「「「「えっ!?」」」」
「君達の冒険者ランクは知らないけどね、私から見たら君達はまだ半人前なのよ?そんな人達から一人前の値段を要求するわけないじゃない」
君達4人で一人前ってわけでもないけどね
私の台詞が意外だったのかポカンとする4人組
「まぁ、今回は私達がいたから助かったわけで、次はないと思いながら生きることね」
「確かにな!お前達は運が良かったな!」
「マキナに感謝する事ね」
レンとマリーが双子に近付き話しかける
「まぁぶっちゃけマキナの事だから法外な値段ふっかけるんだと思ったけどな!」
笑いながら双子の兄ジャンの肩をバシバシ叩くレン
そんなレンの言葉に一瞬時間が停まったような気がしたが、気のせいだよな、うんうんとリーヴが一人で納得している
「…へぇ」
マキナの一言でやっぱり気のせいじゃなかった!そう思ったリーヴは反射で自分のしっぽをにぎる。
マリーも諦めた表情でレンを見る
「え?」
「そう言えば、レンにはまだ対価貰ってなかったわね?」
「え?」
「私って法外な値段をふっかける人物だと思われてるのね?」
「いや、あの…」ジリジリと後ずさるレン
「そうね、実験体になってくれるレンには特別な実験をしようかしら?」
ニコリと微笑みながら後ろに下がるレンを捕獲する
「おっ俺!もう次の依頼に行かないと!な!皆!」
失言に気付き冷や汗を流し始めるレンは周りに助けを求める
4人組は慌てて首を上下に振っているが、マリーとリーブ君は視線を合わせようとしない
「…しょうがないわね」
呆気なくマキナに解放されたレンはマキナの冗談だったと
ホッとして冷や汗を拭った。
レンとマキナのやり取りを見ていたメンバーも冗談だったと思いそれぞれが笑みを浮かべたその時…
「次に会った時は覚えていなさい」
いつの間にかレンの後ろにいたマキナに耳元で囁かれたレンはその時のことを後にこう語る―――
――俺は呼び出してはならないモノを呼び出してしまった――
と、そんなこんなで賑やかにレン達と、北部の人命救助の依頼を受けた4人組を送り出した―――
それからの私はリーヴ君に先生になってもらって初心者クエストを受けて日々を過ごした。一応私って初心者冒険者だしね
薬草採取とか、メドラドの街のお使いクエストとか、数種類のRPG王道クエストは案外面白かったかな
薬草採取クエストはせっかくならとジオール君とメイリーンちゃんも誘ってピクニックしながらだったし、街のお使いも別の日にジオール君とメイリーンちゃんと街中散策しながら楽しくやらせてもらった
他のクエストの討伐とか部位採取とかも気付いたらロー達が取って来てくれてた
ご褒美に何か買ってあげなきゃね
さて、ゆっくりしたことだしそろそろ王都に向かいますか。
とゆうことで、ボルドス家の晩餐が終わり全員でサロンに行き団欒が始まる頃に話を切り出す
「明日、王都に向かう事にしたわ。皆様にはとてもお世話になりました」
「俺まで泊めて頂きありがとうございました」
私の隣にいたリーヴ君もボルドス家の面々に感謝を伝える。
実はリーヴ君も、マリーが旅立ってからボルドス家にお世話になっている。
ジオール君とメイリーンちゃんと仲良くなってせがまれたのよ
そりゃ断れないわよねぇ?
最初に王都に向かうと伝えた時に泣きそうになってたメイリーンちゃんは今は落ち着いてる
私はメイリーンちゃんの前まで行き腰を下ろして目線を合わせる
「じゃあ私達は先に行ってるからね、メイリーンちゃんは家族の皆とゆっくり来るんだよ?また王都で会おうね」
「うん!」
ボルドス家の皆も湖の乙女の儀式を観に王都まで来る予定だったみたい
彼等はすでに決められた計画と日数での旅になるので私達とは別行動になる。
貴族特有の旅のルールがあるらしく、王都までの道のりで様々な街を巡って6日程かけて王都に向かうと聞いた
逆に私達はケレスに乗って向かうから2日くらいで王都に到着予定だ。
そして、王都の滞在先にはボルドス家の別邸をと提供されているのでお言葉に甘える
今の時期、王都の宿屋はどこも埋まっているらしい
そりゃそうだよね、10年に一回の儀式だもん、各地から人々が集まってくるんだものね
そんな訳でボルドス家の皆とは王都で会うことになっているため、メイリーンちゃんは笑顔だ。
泣かれずにすんで良かった。
アーキスとガラハットには夕方、四の鐘が鳴る頃にギルドで挨拶をしておいた
「2人とも世話になったわね、私達は明日にでも王都に向かうわ」
「そうか、いつでもこの街に遊びに来てくれ!」
魔の森や帝国の動きのせいで相変わらず忙しそうなアーキスとガラハット
「私は一度、湖の乙女の儀式のために王都に戻る予定なので、その時に王都でお会い出来たら幸いです」
ガラハットは儀式の責任者の一人らしく、魔の森の調査の後任がメドラドに到着したら、引き継ぎをして王都に戻るとゆうなかなかのハードスケジュールだ。私はそんなの無理、てゆうか絶対いや。
頑張れ若人。
メドラドの皆に挨拶をした夜
テラスのガラス窓を開けてテラスには出ずに窓際まで引かれているふかふかの絨毯の上に座り
お風呂上がりの身体に夜風を浴びる
何時ものようにケレスにもたれかかり、ロー、レム、ラムも私の周りに、メイとシルフィーはケレスの頭上に
皆、私と一緒に月光浴。
ユミールでは月に魔力が宿ると言われているんだって
両手を胸に当て神力を意識して私の願いを言霊にする
『ボルドス家の皆に旅路の祝福を』
言霊を発したと同時に身体から“ぐんっ”と何かが抜けたのを感じた
「あぁこれはやばい…すごい疲れる」
クテッっとケレスに更にもたれかかり、そのまま目を瞑る
「マキナ様ー!今すっごい!すんごいの感じた!」
シルフィーが身体をふるふるさせて飛び回る
「マキナ殿大丈夫か?」
ケレスが心配して顔を寄せる
「んー大丈夫じゃない…ケレス~ベットまで運んでー」
まだ使いこなせてない神力で祝福を唱えたせいか
身体がだるくて動けないのでケレスにこのままベットまで運んでもらおう
ロー達も付いてきてみんなに囲まれて寝る
もふもふ
今日も幸せだ




