ボルドス家
「マリー貴女お姫様だったのね?」
ボルドス家は街の北にある立派なお城だった
お城っていっても城砦だけどね
外から見えてたけどこんなに立派だとは
「私はお姫様って柄じゃないよ!ブリューレイク王族のエレイン王女が正真正銘のお姫様だよ~」
「私達ボルドス領の民からしたらマリーお嬢様はお姫様ですよ。さぁこちらに」
ボルドス家に着き馬車の扉が開くとセバスが馬車の外から手を差し出してエスコートしてくれる
マリーはさっさと出るが
「ありがとうセバス」
私は優雅にお嬢様になったつもりで降りてみる
やってみたかったの!お嬢様と執事!しかも執事本物だし!
イケオジ執事ってヤバイでしょ。
「当家へようこそ」
馬車を降りると三十代と見られる男性が出迎えてくれる
「お兄様!」
「マリー随分久しいね、怪我はしなかったかい?」
マリーと男性は抱擁する
「ボルドス家の次期当主ディナン·ボルドス様です」
セバスがそっと教えてくれる
「初めまして綺麗なお嬢さん。私はディナンです。今から晩餐なのですが、よければご一緒にいかがですか?」
「初めてましてディナンさん。私の事はマキナと。ご一緒させていただいても?」
「もちろんです」
ディナンは穏やかに微笑む。紳士な雰囲気
「ねぇマリー、ケレス達はどうしたらいい?」
「この城なら入っても問題ないよね?お兄様?」
そうね、立派なお城だもんね。ケレスも余裕よね
「あぁ大丈夫だよ」
お兄様ちょっと顔が強張ってるけど大丈夫?
「ケレスもそれでいい?」
「うむ、問題ない。人族の男よ世話になる」
「きゃん!」ロー(ロムルス)レム(レムス)ラム(ラムス)も挨拶するので良い子ね、と頭を撫でる
そして城に入る前にケレス達に清潔をかける
森の中を走ったからね、ケレスは綺麗なんだけどロー達の足が汚れてるのよ
城に入るとすぐに広い中庭があり
中庭を囲うようにして廊下がある。その廊下を渡り
城砦の本館である建物に入りダイニングルームに通される。
中には女性二人と少年と幼女がいた
「ようこそマキナ様。私はモルドレッド·ボルドスの妻、ベイリーンですわ」
わぁお、マリーのお母さんって美魔女だね~。ざっと計算しても五十手前か?四十代で十分通る若さだ
その隣にはおっとりした雰囲気の女性
「私はディナンの妻でリリアです」
女性二人は綺麗なカーテシーをする
「初めましてマキナです。今日はお世話になります」
私はジャパニーズお辞儀をする
だってカーテシーとかやったことないし!
「僕はディナンが長子ジオールです!先月十歳になりました。以後お見知りおきを」
十歳ジオール君も右手を胸に当て挨拶をする
十歳でこんなにしっかりしてるなんてさすが貴族の子供ね
次はこの子の紹介かと母親のドレスを掴んでモジモジしてる小さな女の子を見ると、目が合ったので微笑みかける
人見知りかな?
私が少し屈んで「こんばんは」と声をかけると
ポッと顔を赤くして声を出す
「はじめまして…メイリーンです」
「メイリーンっていうのね?この子はメイっていうの」
お揃いの名前ね、と私の肩にいるメイを見せてあげると
「わぁ!可愛い」笑顔になるメイリーンちゃん
「この子もメイリーンちゃんと一緒で人見知りなの。仲良くしてくれる?」
「うん!」もう人見知りは大丈夫みたい
もふもふは幼女を救う
そして食事は和やかに進む
地球とあまり変わらないフレンチコースだ
ただ魔物の肉だったりユミール特有の食材があるくらい
正直赤ワインが飲みたい
ボルドス家は飲まないのかな?
「ジオール君にも仲良くして欲しい子達がいるんだけど」
ケレス達は私達がご飯を食べてる間は中庭で過ごすようだ
今頃マイヤーさんが世話してるだろう
「銀狼の子供でロムルス、レムス、ラムスっていうの」
フェンリルとは言わずにこれからシルバーウルフで通す事にした。
まぁ気付く人は気付くだろうけど
食事を終えてダイニングルームの隣にあるサロンに移動し、
食後の紅茶と会話を楽しむ
「マキナ様はお姫様なの?」
すっかりメイと仲良くなったメイリーンちゃんが私に聞いてくる
いつの間にか来たマイヤーさんがその光景を見てショックを受けているが。どんまい…
「え?私がお姫様?」
「うん、マキナ様キラキラしてるの」
子供はよく突拍子も無い事言うけど強ち間違ってない事が多かったりする
「お姫様ではないわよ」
「そうね、お姫様ではないよね」
ちょっとマリーさん?
「さぁジオールとメイリーンはもう寝る時間だよ。そろそろ部屋に戻りなさい」
ボルドス家の当主はモルドレッドだが実際に統治しているディナンに言われれば逆らわずに素直に頷く子供達
「はい。おばあ様、お父様、お母様、マリー叔母様、マキナ様お休みなさい」
「おやすみなさい…」
メイリーンちゃんはメイともっと遊びたそうね
「おやすみ可愛い子」
子供達にキスをして送り出すボルドス家の人達
「ジオール君、メイリーンちゃん 明日は冒険者ギルドに行かないといけないけど、その用事が終わったら遊んでくれる?」
「はい!」「うん!」
本当に素直で良い子ね
頭を撫でて部屋に送り出す
そして、残った大人達はそれぞれの椅子に座りなおす
するとサロンの外に続くガラスの扉から顔を出すケレス
「!!」
ベイリーンとリリアが驚いて固まり一度見てるはずのディナンまでもビクッとする
「我が家のご飯はお口にあった?」
昨日からずっと一緒なのでマリーは慣れたようだ
最初はマリーも驚いて固まってたのにね
「マキナ殿の料理には敵わぬがご馳走になった」
「あー、昨日のお肉のタレもスープも朝のスープも美味しかったよねぇ」と、同意するマリー
「お誉めにあい光栄です」
美味しいと言ってくれるなら謙遜なんてしないわよ
素直に受けとります
「ロー、レム、ラムおいで」
入り口で良い子でお座りして待っていた子供達に言うと
すぐに駆け寄って来たので順番に撫でる
「大人しい子達ですね」
ディナンが子達を見て言うけど、この人もしかしてロー達を触りたいのかな?うずうずしてる感じ。でもケレスにびびって動けない?まぁ頑張れ、私は大人には手助けしない
「マキナ様ただいま~」
「お帰りシルフィー」
ガラハットと別れてボルドス家に向かう途中で
シルフィーの元にメドラド周辺にいる風精霊達が寄ってきたので
精霊を見えない人には分からないが見える人からすると
何事か!?となるので精霊達と外に行ってたのだけど…
「シルフィー?これ何?」
「えへへ~マキナ様に会いたいって付いて来ちゃった~」
そう、シルフィーの後からわらわらと精霊達が私の周りに集まって飛び回る
しかも風精霊だけじゃなくて火も水も土もいる
土精霊は頭に大きい花を咲かせた小人やモグラやハクビシンみたいなのもいる。花の種類もそれぞれ違う
「こんなに精霊が集まるなんて見たことない…」
ディナンさんが呟くけどこの人も見えるんだ?
「ボルドス家の皆は属性は違うけど精霊と契約してるよ」
私の疑問にマリーが答える
「そう、よそ様の家でお騒がせしてごめんなさいね?」
謝るが精霊達への挨拶代わりのこちょこちょはやめない
むしろ触って欲しいのか精霊達が列をなしている
「あはは~今さら~」
マリーは今日を入れて二日しか一緒にいないのに随分私に慣れたものだ
マリーの私に対する態度にディナンがハラハラしている
私の事ガラハットから聞いたのかな?そう言えばガラハットは私が神族って気づいたのかな?まぁどっちでもいいけど
「ねぇシルフィー、精霊達の中に契約精霊もいるわよね?」
「うんいるよ~」
いきなり自分の契約精霊が居なくなってきっとびっくりしてるよね
契約精霊達を契約者の元に戻そうと思ったら
必要になったら戻るから私の側にいたいとシルフィーが代弁する
なら好きにさせとこう
「そろそろ私も部屋に案内してもらってもいいかしら?」
さすがにこんな大所帯だと迷惑だと思うので
与えられた部屋に行くことにする
「皆さん楽しい夕食の時間をありがとうございました」
私は軽く会釈をする
「いえ、こちらこそ。私達も楽しかったですわ」
「よい夢を」
急に現れた大量の精霊に動揺してた三人だけど女性人の方が立ち直りが早いのか社交場とゆう貴族の付き合いで鍛えられてるのかスッと立ち上がり挨拶をする
「マリー明日冒険者ギルドまでよろしくね」
「うん、任せて~ゆっくり休んでね」
サロンを出てマイヤーさんに案内してもらったのは
三階の最上階の奥にあるとても広い部屋だった
「…本当にこの部屋を借りても?」
どう見てもこの部屋はボルドス家より格上の相手が滞在するための部屋だ
辺境伯は侯爵と同等なので格上は公爵か王族になる
ウンディーネの主らしい私をどう扱っていいのか分からないようだ
「旦那様がこの部屋に案内するようにと、ディナン様もこの部屋ならばケレス様方もゆるりと過ごされると仰いました」
「モルドレッドさんのご好意に感謝するわ」
私の言葉にマイヤーさんは頭を下げる
「湯浴みはお手伝いしますか?」
「大丈夫よ。ありがとうマイヤーさん」
「いえ、では私はこれで下がりますが何かあれば枕元のベルでお呼びください」
マイヤーさんが部屋を出て一人に…いや大所帯だけど…なり、精霊達はそのまま自由にさせシルフィーにメイを任せて私はお風呂に行く
猫足のお風呂だ!可愛い~!これも憧れだったんだよ~
ユノちゃんこの世界は私の好みばっかりだよ~
なんて出来る女神なんだ!なのにユピテルめ…
ヤツの顔がチラつき
チッ
ついイラッとして舌打ちしちゃった。この幸せな一時に出てくるなよ
勝手に出演させといてなんて女だ今頃ユピテル泣いてるな
湯船に浸かり、ふぅ~と息を吐きながら考え事をする
「しかし瘴気か…」
ユノちゃんはユミールを創った時に瘴気なんてものは作ってなかった。瘴気が出始めたのはここ三十年程前から
三十年前ねぇ…またユピテルがチラつき…以下省略
ユノちゃんに隙が出来た時期なのは確かだ
そしてユピテルを監禁した世界はこの世界だ
この時に何らかの要因が生まれたのか、他の神族が入り込んだ可能性は?
ケレスが会った神族か別の神族か
そして同時期にこの世界から光精霊と闇精霊がいなくなった
光と闇魔法が使えるのは光と闇の聖獣の守護を貰っている者のみ。
ユノちゃんは創造神故に力が強すぎて介入出来ない
そこで私の登場だ
私の好きにこの世界で過ごして欲しいと言ったユノちゃんに嘘はない
最後に精霊を手助けして欲しいと言われただけ
ただこれは裏があるんじゃないか?
ユピテルかな?今までユノちゃんに気付かれないように
この世界に細工してないか?
ケレスが会った神族がユピテルの隠し子だった場合
私と同じ神族と人間のハーフになる
ならこの世界に来てもそこまで影響はないか?
根源になる原因をユピテルの隠し子の神族が探しているとか?
うん益々ユピテルが怪しい…
考え込んだせいか湯が冷めてきたのでお風呂からあがる
「ふぅ~さっぱりした~」
用意されてたシルクのネグリジェを着て部屋に戻ると
キングサイズのベットの上で子フェンリル達とメイが団子になって寝ていた。
少し荒んだ心が浄化される可愛さだ
「マキナ様?」
シルフィーが少し遠慮して側に来る
「ん?どうしたのシルフィー」
「あの…怒ってる?」
ん?本当にどうした?私が怒ってる?シルフィーに?
何の事が分からずケレスを見る
「湯浴み中のマキナ殿から殺気が飛んできてな、シルフが精霊を沢山連れて来たから怒ったのかと気にしているのだ」
殺気?あぁもしかしてユピテルの時か?
「シルフィーのせいじゃないのよ、怖がらせてごめんね?」
シルフィーを抱きしめて頭を撫でる
「シルフィーのせいじゃない?」
「えぇシルフィーのせいじゃなくて私がこの世界に来るきっかけの男がいてね、ちょっと思い出してイラッときちゃったの」
シルフィーが怖がったのもユピテルのせいだ!ユピテルめ!
「そっか!なら良かった!」
誤解が解けて嬉しいのか私に頭をグリグリしてぎゅっとしてくる
「子供達に私の殺気の影響は?」
「シルフが直ぐに防御魔法をかけたので大丈夫だ」
「そっかありがとね、シルフィーは頼りになるなぁ」
「えへへ~」
半神族の殺気なんて精霊であるシルフィーは怖かったでしょうね
だから部屋に精霊がいないのね、悪いことしちゃったな
今度謝らないと
私はテラスにある椅子に座り夜風にあたる
白ワインを亜空間から取り出し、くぴっといく
だって飲みたかったんだもん。でも私の部屋にあるワインも限りがあるから大切に飲まなきゃ
安いワインが冷蔵庫に三本と外に四本
高級なワインがワインクーラーに十二本と本数を確認する
ユミールのワイン飲み比べツアーもいいね
今後のユミール観光が楽しみになり
「~♪」
好きな女性アーティストの歌を口ずさむ
アイルランドのソロアーティストで大作映画に使われた曲だ。
確か願いの歌だったな。光と闇を肯定する夜の歌
18歳の時友達に貰ったDVD。今まで興味なかったファンタジーな映画。エルフとゆう種族もその時知ったっけ
あのハリウッドスター格好良かったなぁ
そのスケール感にとても感動してファンタジーなゲームも好きになったなぁ
夜風を楽しみながらくぴくぴとワインを飲みほしてから
子フェンリルとメイを起こさないようにベットに入る。
「シルフィー、ケレスおやすみ」
私がテラスで飲んでいる間も側にいてくれたシルフィーとケレスに声をかけて目を瞑る。




