マキナと冒険者達
鮮やかなオレンジの夕日に包まれていて綺麗なミーミル湖
まだこの世界に来て一日
ミーミル湖の景色しか見てないけどこの世界はとても綺麗だと思う
夕暮れのミーミル湖を綺麗な毛並みになったフェンリルの大きな身体に埋もれて見つめていると側に来るリーヴ君
「ここは綺麗だな」
「そうね」
ゆっくり時が流れて夕日が落ちかける
「おーい出来たぞー!」
その声に身体を起こして振り返ると赤髪の男が血だらけの姿で呼ぶ。
側には大きなヘビが無惨な姿で大きな木に吊るされている
あれはブラックサーペントだ
ミーミル湖に向かっている時に赤髪の男が
「ブラックサーペントはフェンリルに倒されたのか?ならそのブラックサーペントは?」と言い出し、今回の件を冒険者である二人組とリーヴ君は冒険者ギルドに報告しなきゃいけないんだとか
なので証拠になるブラックサーペントを倒した場所まで私とフェンリルが行って回収し、冒険者組に解体をお願いしたわけ。
で、今彼らはブラックサーペントの血だらけ。
え?不届き者達…?あーあれね、深層に檻に入れたまま放置して来たわよ。いくらミーミル湖が悪意あるものが近づけないとしても、あんな奴らと一緒に居たくないしね。一応結界も張って来たから大丈夫でしょ?まぁ置いて来た場所はギガントボアの縄張りど真ん中だけどね!ギガントボアが回復して縄張りに帰ってきたらさぁ大変!(笑)
それ説明をリーヴ君達に説明したら引かれた気がする
なんで??
「お疲れ様」
暗くなってきたのでライトボールを数個作り浮かせて
私達が居る一帯を明るくする
ついでに血だらけの彼らを生活魔法の清潔で綺麗にする
「おっサンキュ」「ありがとう!いつもよりさっぱりする!」
解体したブラックサーペントの本体と部位達をアイテムボックスにしまう私
亜空間の私の部屋にアレを入れるのはとても嫌なので
この世界にもあるアイテムボックスを造ったの
亜空間より、アイテムボックスは空間の次元がこの世界で成り立っているので魔力の消費が少ない
「アイテムボックスを持ってるなんて凄いよねー!私達のアイテムバックはもう用量いっぱいだから助かるよ」
オレンジ髪の女性が、私が魚を焼くために作ったグリルで
ブラックサーペントの肉を焼きに行く
凄く美味しいらしいよ…ヘビが…
リーヴ君はその横に新しく作ったグリルでブラックサーペントを拾いに行ったさいにフェンリル達が狩った魔物の肉を焼いている
皆が動いている中、優雅にフェンリルに埋もれ夕日を見ていただけの私は、さすがにスープくらいは作ろうかと思い
即席で竈を作り大きな鍋を取り出し魔法で出した水を入れ、フェンリル達が狩りをしている時に採取した山菜とキノコでスープを作る。味付けは塩としょうゆと料理酒を入れる
そして朝作ったままのテーブルにイスを作り足して
皆で夜ご飯にする
「さて、改めて自己紹介するぞ!」
赤髪の男が言う。冒険者二人組はリーヴ君と面識があったみたいでリーヴ君を介して私と会話してた
「俺はレンだ。Aランクの冒険者でマリーとパーティを組んでいる」
「私はマリー、同じくAランクだよ」
赤髪の男がレンでオレンジ髪のボブヘアーの女性がマリー
「俺はケットシーのリーヴ。冒険者ランクはBだ」
冒険者とは
この世界にはゲームでお馴染みの冒険者ギルドがある。
国々を旅して魔物を討伐したり植物採取の依頼や街の人々の依頼を受けたり色々する組織だ
ランクとは
依頼を受けた実績で昇格出来るシステムで
S.A.B.C.D.E.FとありAとBランクはトップランクだ
アイテムバックは貴重な物で高ランクの冒険者がやっと持てる物らしくアイテムボックスはレアなスキルなので持っている人は少ない。
おっと私の番だね
「私はマキナ。よろしくね」 はい終了。
皆さん え?それだけ?みたいな顔してるけど
これ以上何を言えと?
「これ美味しいー!」
「うむ、ブラックサーペントは焼くとうまいな」
私が話してる間にシルフとフェンリルはブラックサーペントを食べている
きゃんきゃん言いながら子フェンリル達も齧り付き口の周りがベトベトだ。そんな姿も可愛いけど!
私もおそるおそる食べてみる
「本当だ!美味しい!」
ヘビだから臭みがあって淡白なんだと思ったら全然違う!
肉汁がたっぷりで身もぷりぷり!鶏肉に近いかな?
塩胡椒で焼いたけど醤油で焼いても美味しそうよね
どうせ大きな身体のフェンリルじゃ食べたりないと思うし
醤油とみりんで焼こうっと
じゅぅ~!
醤油の焼けるいい匂いが漂う
「マキナ様!いい匂い!何それ!」
匂いに釣られてやってくる
「シルフって案外食いしん坊よね?」
朝も魚食べてたよね?精霊は食事必要ないはずよね?
「ねぇあの…もしかしてあそこに居るのって大精霊シルフ様なの?」
「…そうだシルフ様だ」
マリーがリーヴ君に恐る恐る聞いて
「マキナ様?あの嬢ちゃん何者だよ。しかしブラックサーペント旨いな」
レンは食事のほうが大事らしい
「あぁ故郷でシーサーペントは食べた事があるがこれは旨い。あれは身が淡白だ」
「フォレストバイパーは臭みが酷かったよね~」
うまい具合に話が逸れてるので焼き上がったお肉を持っていく
「マキナ様!さっきのより美味しい!」
「うむ!これはいい!」
子フェンリルに至っては夢中になって食べてるけど
顔の汚れがひどい…
「おっ!これは旨いな!」
「本当だ~このタレがいいねぇ!」
お褒めいただき光栄です
自分で作った山菜スープを飲む
うん、キノコで出汁が取れて美味しい
スープに口をつけたレンとマリー
「おっスープもうまいな!」
「はぁ~なんて贅沢なご飯なんだろ~」
「だな!俺ら固パンと干し肉しか持ってきてないもんなぁ」
冒険者ってそんな食事しかしてないの?
皆で夕食を食べ終え、顔が汚なくなった子フェンリルを清潔でキレイにする
ついでに猫用のブラシしか持ってないが、それでブラッシングしてあげる
レン達がテントを張り終わり、なぜか私の元に皆が集まる
夕食の時からずっと真剣な表情だったリーヴ君が口を開く
「なぁ、マキナは聖女なのか?」
あーやっぱり話は逸れていなかったか
「聞いたら後悔するかもよ?それでも聞く?」
ちょっと脅してみよう。脅すつもりないけど
「今更だ!精霊達が集り大精霊シルフ様と親しくて聖獣のフェンリルに懐かれ変な魔法使うし光魔法を使う!挙げ句にフェンリルの子供を助ける時に使った初めて見る魔法!」
リーヴ君怒ってるの?シッポがぶんぶんしてるよ?
「変な魔法?」何か使ったっけ?
「明らかにアイテムボックスじゃない魔力と空間の歪みに、このテーブルや檻とか!無詠唱だし!」
リーヴ君の言葉にうんうんと頷くレンとマリー
「うーん一応人族かな?」私って人だよね?
「マキナ様はマキナ様だよ?」
シルフそれってフォローなの?
「マキナ殿は神族であろう?」
あーフェンリルがさらっと言っちゃった
てか、なんで神族だって分かったの?
「昔に神族の男に会ったことがあるのでな、マキナ殿の気配がその時の男にそっくりだ」
ここはユノちゃんが創った世界で神様はユノちゃんしかいないが
ユミールの言い伝えやおとぎ話では神族は出てくる
「神と人の間に出来た子でそれで喧嘩がどうの…被害がどうので避難してきたと言っておったな」
えー何か聞き覚えがあるなー
気のせいかなー
気のせいにしよう、うんそうしよう。
しかし、その話が私の知ってる話ならフェンリルって長生きね。あれって二百年前の話よね?
フェンリルは五百年生きる。そしてこのフェンリルは三百歳でメスだって!逞しい喋り方だからオスだと思ってた!
「え?え?」
「神族って神様ってことか?」
「……」
固まってた三人が動いた。違うやリーヴ君はまだ固まってる
おかしいな、リーヴ君が一番に動くと思ったのに。
あっリーヴ君が動いた!
なんか動きがギシギシしてるけど
「マキナ様この度は神に連なるお方だとは知らず無礼な振る舞い申し訳ありません」
動き出したリーヴ君はイスから離れてその場で跪き頭を下げる
するとレンとマリーも慌ててリーヴ君の真似をして頭を下げようとする
「私まだ神族じゃないわよ?ただ遊びに来ただけだから、そんな態度求めてないし逆に困るわよ。リーヴ君とはお友達になれたら嬉しいな」
リーヴ君の両手を持って立たせる。ついでに、にぎにぎする。
「友達?」
きょとんとするリーヴ君可愛い。あぁ抱きつきたい
「にゃ!あんたまた!嫁入り前の女がそんなこと言うなんて!」
「あれ?また心の声漏れてた?じゃあ抱きついていい?」
開き直って聞いてみる。日本じゃセクハラだけどもここは異世界!セクハラでない!…ないよね?
「じゃあって何がだよ!いい加減にしろよ!」
黒い顔を真っ赤にして怒るとその場から離れて私を警戒する。
甘いなリーヴ君。«超音速»!一瞬でリーヴ君の後ろに回り込み リーヴ君ゲットだぜ!
ぎゅうっとする。ついでに頬もスリスリする
「やめろにゃ!何するんだよ!」
一生懸命抵抗して可愛い肉球が私の頬を押し返す
猫欲が爆発だ!
はぁ~満足した!
リーヴ君を堪能してスッキリな私は子フェンリル三匹に囲まれてさらに幸せ。この子達焼きもちだって!リーヴだけずるいって私の側から離れないので一匹ずつもふる。シルフも来るので撫でる
え?リーヴ君どうしたって?怒ってるよ?私からすんごい離れてシッポ逆立ててるよね
「っふ!あはははは!おかしい~!ねぇマキナちゃんって呼んでもいい?」
「マキナでいいわよ 私もマリーって呼ぶから」
ケラケラ笑うマリーの側に火の精霊がポンっと表れる
確かマリーは風と火の魔法使いだ
「マリーの風の精霊は?」
「シルフ様が来てからずっと其処にいるよ?」
マリーが指差すのは私の右肩で、見るとオレンジ色と緑の髪の精霊が乗っている
この子ミーミル湖に着いた時から私の右肩にいるよね?
風の精霊に指で触って挨拶していると、マリーの火の精霊がおずおずと近寄ってくるので触ってあげる。
火の精霊は体に火を纏った活発な丸いトカゲだ
「会った時からフゥはずっとマキナの其処から離れないし
ドンはずっとソワソワしてるし、おかしいと思ったんだ!まさかマキナが神族だとは思わなかったけど」
普通に接していいんでしょ?とマリーが私の隣に座る
マリーの風精霊はフゥで火精霊がドンだ
精霊に名前を付ける魔術師はいるが
大体は名前を与えるまで信頼関係を築けない。
精霊と信頼関係を築くと名前を付けるチャンスを貰い、名を与えるとそこで正式に精霊と契約した事を知る
しかし魔術師の大半はそこまでに到らない
なのでマリーは一流の魔術師にあたる
「さて、リーヴ君のご機嫌を治さなきゃ」
さっきからレンがリーヴ君の側に居て慰めているのが見える
「あぁ~可愛い姿だけど立派な成人男性だからね…」
「だが悔いはない!」
またケラケラ笑うマリーを背に、リーヴ君に近寄るとジト目で見られる
「ごめんねリーヴ君、反省はちょっとしかしてないけどやり過ぎた感は否めない」
「それ謝ってるの?!」
謝ってるよ?でも可愛いケットシーが悪い!
けど成人男性にやり過ぎたよね?
「仲直りのお詫びに一緒に呑もう?」
ドンッ!とリーヴ君の前に亜空間から、あるお酒を出すと
微かに匂いに気付いたのか鼻をヒクヒクしてこっちを見る
私の手元にはまたたび酒!
猫好きの私は一度買ってみたのよ…味はうん複雑でね?
炭酸と蜂蜜割って飲んだけどちょっと私は苦手だったけど
リーヴ君めっちゃ反応してます!お猪口に入れて献上する
まぁまぁどうぞこちらを――――――
作戦は成功した!
またたび酒を飲んだリーヴ君は私にもたれ掛かりくだを巻き始める
「マキニャはにゃんにゃんにゃ!非常識にゃと思っにゃら神様ってにゃんにゃんにゃマキニャの側は心地よいと思ったにょはそにょマキニャの魔力のせいにゃ?」
くっ!可愛すぎかよ!にゃんにゃん言ってるよ!
レンとマリーなんでそんな可哀相な目で私を見てるの?
あれ?レンさん?何でリーヴ君をテントに連れて行くの?
待って!そんな殺生な!
「マキナ…あんたそれはないよ…」
結局そのままお開きになりマリーもテントへ
私はそこまで疲れを感じてないし眠くもないので
むしろリーヴ君の可愛さに火照っているくらい!
え?そんな事思ってるとリーヴ君に嫌われるって?
それは困るな
さっきから、湖にいる水精霊が湖の中に誘ってくるので
ここに来てから、泳いだら気持ち良さそうだと思っていた夜の湖に着の身着のまま入ってみる
身体に水の魔力を纏ってるせいかあまり冷たさを感じず息も自由に出来るので何も考えずに水の精霊達と湖に潜り漂う
コポコポ…
夜の湖の中なのに月の光で明るく照らされ珊瑚礁や真珠が転がり色鮮やかな水草や魚達がいる
キラキラしていて湖の中はすごく幻想的だ
はしゃいだ水精霊達が誘導するように私の前を泳ぐので付いていくと水底まで行き月明かりが特に強い場所に着く
そこには水中一面に輝くピンクの花が咲いていた
桜みたいだが、桜よりも花びらがもっといっぱいあり、中心にはアメジストのような水晶が乗っている
その花に水精霊が集まる
沢山の水精霊と綺麗な魚達が踊るように泳ぎ、漂う。
なんて綺麗な光景なんだろう
そして、1匹の水精霊が輝く花を一生懸命私の元に運んでくる。
くれるのかな?
余りにも綺麗だったから一輪だけ貰った。
そしてゆっくり水面にあがる
ざばっ
「はぁー気持ちよかった」
身体に乾燥をかけ、水辺で待っていたフェンリルを撫でながら昨日置いたベットに行くと子フェンリルとシルフに占領されていたので、困っていると
フェンリルが私を包み込む
一緒に寝てくれるようだ
「ありがとね」
「うむ、気にするな」
湖の底で採った花を持ち上げ見つめる
「ふむ、大層珍しいものを持ってきたな」
『[月中花]
月の光を浴びた穢れのない水中でしか咲かない花
満月の夜にしか咲かない。採取出来るのは水精霊のみ。
神薬の材料』
神薬ねぇ…
薬には特に興味はないので時間の経過しないアイテムボックスに入れておこう、可愛い花瓶でも手に入れたらどこかに飾ろうか
それかアクセサリーとかにするのもいいね
さっ寝ようかな
明日はリーヴ君達と一緒に街に行く約束をしている
ユミールで初めての観光だからとても楽しみだ。




