神との邂逅
初めましてmacaoです。小説を読もう歴6年
なんとなく書いてみました。
カツン カツン
階段を降りるヒールの音が響く
「やぁ 真喜ちゃんいらっしゃい。今日は来るのが遅いね」
声をかけられたのは
緩く巻いた黄色みの強い栗色の髪を左サイドに寄せた
上下七分丈のスーツを着た女性 真喜 だった
ここは地下一階にあるお店
そのお店は階段を降りてすぐ左側にテーブル席2つと右側に6人程座れるバーカウンター
その奥にはグラスを拭いてるバーデンダー姿の似合うおじさま
この店のオーナー晃壱さんが迎えてくれる。
22時半過ぎ
平日だとはいえ今日は珍しくお客さんが居ないな
「晃壱さん こんばんは。
うん、仕事は早く終わったんだけどね~
ちょっと事件に巻き込まれた感じ」
バーカウンター奥から2番目のいつもの席に座り
スーツの上着を脱ぎとりあえずビールを頼んで喉を潤す
「はぁ~!美味しい!」
初夏になりはじめ、営業の仕事でいい汗をかき余計に美味しく感じるビールをぐっと飲み干す
「ふふっ 相変わらずいい呑みっぷりだね?
今日、ここに来る前何があったんだい?」
苦笑しながら、自分の頬を指差して晃壱さんが聞いてくる。
苦笑してる晃壱さんも格好いいね!
この人、今年で62歳なのにダンディーさが半端ない。
結婚して40年今も尚らぶらぶな奥様が居なかったら恋人に立候補したいくらい
「ん~それがね~職場からこの店向かう途中にね、女の子1人に男3人が囲ってナンパしてたみたいでね」
真喜はその時の事を思い出しながら晃壱さんに話す。
――――――――――
20時に本日の業務を終えて、まだ残ってる社員に声をかけて
会社を出たら最寄り駅まで歩く。
「少しだけ晃壱さんのお店に飲みに行こっかな~」
晃壱さんのお店は会社の最寄り駅から地下鉄で2駅
そこから自宅まで更に2駅
お酒が好きな私としてはふらっと行ける距離で大変助かる
なんて思いながら歩いてたら駅まであと少しの所、
目の前で困った事に遭遇
「やめてください!」
「いいじゃーん俺達が奢るから飲みに行こうよ」
「友達も呼んで皆でご飯でも行こうって」
「君めっちゃ可愛いよねー」
おう…久々にこんな強引なナンパ見たよ…
なんて呆れながら助けるかどうようか迷いながら近寄ると
!!
なにこの子本当にめっちゃ可愛い!
腰まである亜麻色の艶のある綺麗な髪
くりっとした瞳 しかもちょっと潤んでる
小さい鼻とピンクの唇
ハーフかな?日本人離れした顔立ち
白いシックなワンピースが似合ってます
何処かのお嬢様ですか?高校生かな?
そんな事考えてたら
パチッ!
女の子と目がバッチリ合った
私は、はぁ~とため息をつくと男達に声をかける
「ねぇちょっと その子私の知りあいだから」
男達は一斉に振り向き私を見て
「知りあい?あんたの?」
「こんな可愛い子におばさんみたいな知りあい居ないでしょ」
「俺達若いこの子に用事あるから引っ込んでてくれる?」
おばっ?!
少しプチッときた…
私はまだ28歳だよ!えっ?こいつら20歳くらいでしょ?
20歳から見たら28歳っておばさん?
固まった私を無視して男の1人が女の子の肩に手を置こうとする
いやいやさせないよ!
すかさず男に近づき女の子に触れる前に男の手を掴み
女の子を私の後ろに誘導する。
「はぁ?邪魔すんなよ!」
「まじうざいんだけどこの女」
「ねーおばさんほっといて俺達と遊ぼーよ」
馬鹿3人組が騒ぎ出す
こいつら本当に大概にしろよ
ちょっとイラッときた…
「この子は私が連れて帰るから」
そう言って男の手を離して女の子の肩を抱き男達から離れようとすると
「ふざけんなよ!」
ゴンッ!
痛っ!え?顔殴られた?
おーまじかお前
私の横で女の子が男の暴挙にびっくりしているけど
私は…
構わずに殴り返した。
「あんた達ふざけるのもいい加減にしなよ?」
まさか殴り返されるとは思ってなかった男が鼻血を流しながら
唖然としていると
「そこの君達何やってる!」
警察官2名登場そのまま事情聴取になった…
――――――――――
「それは大変だったね。お疲れ様。
だから頬っぺたが少し赤くなってるのか…」
晃壱さんが労ってくれる
「本当だよ~いくら向こうが悪くて正当防衛で収まっても
あんな質の悪いナンパある?」
ビールを2杯飲み終えて次は冷たい白ワインを味わっていると
晃壱さんが冷たいおしぼりを差し出してくれるので
お礼を言って頬に当てる
「助けた女の子は大丈夫だったの?」
「うん。警察と話終えた後保護者が迎えに来て無事に帰ったみたい」
あの女の子すごい謝ってくれてたなぁ
嫌な目にあったのはあの子なのに保護者来るまで心配してくれて付き添ってくれたし
しかし迎えに来た保護者はあの子のお兄さんかな?
めっちゃイケメンだったなー
あの子の家族美形一家か?
「なら良かったね。でも真喜ちゃんも若くないんだから昔みたいな無茶はダメだよ」
ぐはっ!若くないんだからって…
晃壱さんひどい…
「ははっ出会った頃の真喜ちゃんを思い出すね」
まぁね、晃壱さんとは10年来の付き合いだから
昔ちょっとヤンチャしてたのも知ってますしね
確かに10年前と比べると若くないよね…
「嫁入り前なんだから顔に傷作っちゃダメだよ」
「嫁入り前って私が今相手居ないの知ってるでしょ~」
「そうだね、真喜ちゃんの運命の人は何処に居るのかなぁ」
運命の人って…
晃壱さん相変わらずロマンチストな人だよね
晃壱さんとゆっくり楽しく喋ってると2人組のお客さんが来た。
時間はもう深夜
終電時間もそろそろ
「晃壱さん帰るね」
「はい。ありがとうね。気をつけて帰るんだよ
明日ちゃんと病院行って頬っぺた診てもらいなさい」
「はーい」
お会計を済まし階段を登って地上に出ると
目の前には美猫が!
全身が白く瞳が不思議な色で見惚れちゃう
「こんばんは美人さん。1人なの?」
声をかけながら近付く私。
昨年に10年連れ添った愛猫が天国に行き
とても寂しい日々を過ごしていて
愛猫が居なくなった傷が癒え始めてきたこの頃
目の前に美猫さん
しかも触らせてくれる!
もふもふだ~
「あなたのお家は?ないなら私の家に来ない?」
どこぞのナンパ野郎もびっくり
出会って数秒で自宅に誘う私
にゃーん
でも残念
振られちゃった
美猫さんは私にむかって一回鳴くと歩いて行く
私も駅に向かって歩くけど
名残惜しく優雅に歩く美猫さんを振り返って見つめると
美猫さんも私を見つめて歩みを止める
えっもしかして期待してもいいですか?
お家に来ますか?
なんて思ってたら
美猫さんの横から車が!
しまった!ここ信号ないけど交差点だし!直ぐそこ大通りじゃん!
私は慌てて美猫さんに向かって走る
そして美猫さんを捕まえたと思ったら
目の前が真っ白に染まった――――
誤字脱字見逃してね
余りにも気になったら教えてくれるとありがたい