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魅了[絶]?! カンスト(Lv.99)一般職男子  作者: たかしたま
人魔統一編 ~序~
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第31話 : 統治会議の影

「シロが見たこともないって事は、人間が作り出したって事か?」


『恐らくそうじゃ。

ダリアと言ったな?変な頼みではあるのだが……口の中を見せてはくれぬか?」


「口を?何でそんな必要があるんだ?」


『先ほどこの女を苦しめた魔素の乱れじゃが、口の辺りを起点として広がっていきおった』


「原因がそこにあるかもしれないってことか。

ダリアさん、こんなお願いをして申し訳ないんですが……少しの間だけ口を開けてもらえないですか?」


「はい……かしこまりました」


そう言うとダリアさんは言われた通りに、口を大きく開いた。


『……探すまでもなかったな。間違いなくこれが原因じゃ』


シロが指し示すものを、その場にいる全員が一瞬で理解した。


ダリアさんの舌には、塒を巻いた蛇の紋様が黒く描かれている。


『魔素の流れを乱すとは恐ろしい……

その様な事をされては、どれだけ力を持っていようと一溜まりもない』


「呪い、みたいなものなのか?

少なくとも操られている様には見えないんだが」


『そうじゃろうな。恐らく、特定の言動にだけ縛りを掛けているのじゃろう』


「解く事は出来ないのか?」


『妾には分からぬ。先ほども言ったが、初めて目にしたのじゃ。

解き方は術者にしか分からぬじゃろう』


「そうだよな……

しかしこれが厄介なのは、言動の縛以外にも応用が効く可能性がある事だ。

もし行動まで縛られると、手の出しようがなくなる。

とすると、発動の条件くらいは知っておきたいが……」


『その女に聞くのが手っ取り早いが』


「無理だろうな。自身の名前に縛りを掛けている様な奴が、何も対策をしていないとは考えづらい。……因みに、ダリアさんは言動を縛っている術者を知っていますか?

名前は言わなくていいので、知っていれば頷いてください」


ダリアさんがコクっと頷く。


「もどかしいな……知っているのに聞けないなんて」


『仕方なかろう。その存在を知れただけでも警戒のしようはある』


「……ちょっと待って!わたし、良い方法思い付いたかも」


余程良い案を思いついたのか、コムギが興奮した様子で発言する。


『お主が?冗談も程々にしておけ』


「ふふ〜ん。

わたしの名案が思い付いたのが悔しいんでしょ?」


『そんな訳なかろう。時間の無駄じゃから、無理して言わなくても良いぞ?』


俺もシロと同意見だ。

真っ当なアイデアだとは思えないが……


「一応、聞いておこう。もしかして、術の解き方に心当たりでもあったか?」


「いいえ、術は解かないわ。そもそも、解き方なんて知らないし」


『は〜

思った通り阿呆じゃ。術を解かずに聞き出す術があるというのか?』


「ええ、あるわよ。

話せないなら……書いてもらえば良いのよ!」


『……』


「……」


『聞いた妾が阿呆じゃった……

喋れないけれど、書けるじゃと?そんな屁理屈が通じると思うておるのか?』


俺もシロと同意見だ。


「そんなの、やってみないと分からないじゃない」


「まあ、それはそうなんだが……

一応やってみるか……」


『時間の無駄じゃと思うがな』


そう思うけど、やらないと後でコムギがイジけそうだからな……


すると、気を利かせたラリゴーが部屋の中央にある机に置いてあった紙とペンを持ってきてくれた。


「それじゃあ、ダリアさん。

まずは、さっき言えなかった統治会議第三席の何ちゃらって人の名前をここに書いてもらえませんか?それと、もし身体に異常を感じたらすぐに止めて下さい。」


「はい、畏まりました」


そう答えると、ダリアさんは右手に握ったペンでスラスラと書き始めた。



**統治会議第三席:ユリウス・ブレッド**



ダリアさんが書き込んだ紙には、ハッキリと記されている。


「ほら!書けてるじゃない!」


書けちゃうんかい!


『……』


シロはその様子を見て呆然としてる。


そりゃ、そうなるわ……

話せない様に縛りはかけたけど、書く方はスルーしてるだなんて。

どんな間抜けだよ……


「書く事には縛りを掛け忘れちゃったのかな……」


「誰だっけ?時間の無駄とか、阿呆って言ってたのは」


『……』


「何か言う事があるんじゃない?(ドラゴン)さん?」


『……ユリウスじゃと?』


シロは意気消沈して黙り込んでいたのかと思ったけど、そうでは無さそうだ。

ユリウス・ブレッドという名前に心当たりでもあるのだろうか。


「ねぇ!無視しないでよ!」


無視されたコムギは文句こそ言っているが、自分の考えが的中した事が嬉しいのか、そんな事を気にする素振りは見せない。


「……ダリアさん、その縛りを掛けた人の名前と、どうやって掛けられたかも書いて貰えませんか?」


ダリアはコクんと頷き、再びペンを走らせた。



**術者は統治会議第三席のユリウス様です。

この術は、額に手を当てられた状態でユリウス様が誓約を述べた事で掛けられたのだと思います**



「なるほど……厄介であるが、触れられさえしなければ何とかなりそうだな」


『何故ユリウスが……』


「シロ、一体どうしたんだ?ユリウスって奴を知っているのか?」


『知っているも何も……

いいや、人違いじゃろう……』


「……そうか。

……ところで、何でシロは統治会議の事を知っていたんだ?

この屋敷に入れたのも、シロが耳打ちしてくれたのがきっかけだったろ?」


『ああ……そうじゃったな。

統治会議とは、600年前の戦いの際に人間共を統率してた5人の事を指しておる。

奴らは人間の中でも特に強力な力を持ち、魔族に最も被害を及ぼした存在でもある』


「それは今も変わらずってことか?」


『そこまでは知らぬ。あの場で名前を出したのは、咄嗟の思いつきじゃ』


思いつきだったんかい!

偶然にも残っていたから良かったものの、無かったらどうするつもりだったんだよ……


『しかし、当時は第何席とかいう呼称は無かったかと思うがの』


第何席とかって、めちゃめちゃ格好良い響きだな。

強キャラ感が半端ないけど……


「……ダリアさん、統治会議はどんな役割を担っているんですか?」



**ロゴポルスキーにおける唯一の意思決定機関であり、有事の最高戦力です**



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