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魅了[絶]?! カンスト(Lv.99)一般職男子  作者: たかしたま
人魔統一編 ~序~
29/42

第29話 : 初期従属枠の達成

「こちらへ」


そう言って屈強な男に通されたのは、牢獄ではなく客室のような部屋だった。

それに縄で縛られるような事もされていない。


「お時間になったら食事を運びますので、お待ちください」


部屋は綺麗だし、食事まで用意してくれるなんて……

悪くない……


「では、自分はこれで失礼します」


「あ、ありがとうございます」


「おっと……

言い忘れてましたが、もう1人の方とも仲良くなさってください」


もう1人?

数日前に来ていたという本物の使者さんの事か?


扉を閉めて出て行く男を見送ってから、部屋を見渡すと1人の女性と目が合った。

年齢は30代半ばだろうか。

黒髪に茶色い瞳、身長は俺よりちょっと低くて160cmくらい。


「どうも……

は、初めまして……」


「……」


目が合った以上、逸らして誤魔化す訳にもいかず、思わず声を掛けてしまったが返事はない。


というか、俺はこの人にどう自己紹介すれば良いんだろうか。

本物に嘘は通じなさそうだし……


「あの……どちらからいらしたんですか?」


「……」


ですよね……


「あの……見た事のない顔ですが、本国からですか?

もしかして、私を助けに?」


いや、全然違うけど……

顔知らないなら別に良いか。


「はい、極秘で来ているので詳細は話せませんが……

様子を心配した統治会議から遣わされてきました」


ここに来てから嘘しかついてないな……

そのうち自分の通していたキャラを忘れそうだ。


「そうだったのですね……

しかし、助けに来て頂いたのなら、何故先ほどの男に連れられて来たのですか?」


それはね……

捕まったからです。


「……まずは無事を確認する必要があると思いましたので。

無事な姿を見て安心致しました」


「し、失礼しました。

助けに来たのに捕まってしまったポンコツ野郎だと誤解しておりました……」


酷い言い様だな……

でも、ポンコツは合ってるかも。


「それで、どの様に脱出されるのですか?」


それは俺が聞きたい。

どうすれば良いですか?


「取り敢えず……

この屋敷の人間が寝静まるまで待ちましょう。

騒ぎを起こすと面倒ですからね」


「はあ……

しかし、扉の前には屈強な見張りがおります。

失礼ながら決して戦える様なお方には見えないのですが、大丈夫なのでしょうか?」


いいえ、大丈夫じゃありません。

あんな屈強な男、無理です。


コムギの“獄炎(ヘルフレイム)”使って、屋敷ごと吹っ飛ばすなら話は別だけど……


「その辺も考えてありますので、ご安心下さい」


ごめんなさい、何も考えてないです。


「はあ……」


よっぽど信用できないのか、本物の使者さんは疑い深い目で俺を見てくる。


「ところで、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?

知らないままだと、何かと不便ですので……」


「残念ですが、任務の都合上、本名は教える事は出来ません。

取り敢えず……ウェインとでもお呼びください」


何が残念なんだか……

もろ本名ですよ。


「ウェイン様……ですか……」


段々と使い方が上手くなって来た気がする。

スムーズになったというか……


目を見ながら俺の名前を口に出した女性は当然魅了[絶]に掛かリ、

瞳は真紅に染まり、首筋には紋様が浮かび上がってくる。



《対象従属者ステータス》

 状態:魅了

 名前;ダリア・メイシス

 性別;♀

 年齢:36歳

 分類:人族



36歳って普通だよな……

これまで魅了[絶]に掛かった奴は、870歳とか1021歳とか、年齢不明とか……

普通じゃないのばっかり見すぎて、36歳の方がおかしいんじゃないかとさえ思ってしまう。


「あの、ダリアさん。

別に変なことを考えている訳ではないので安心してください」


「……はい」


不思議なことに魅了[絶]の掛かり方って、人それぞれで違うんだよな。

人それぞれっていうより、人と魔族で違うっていうのが正しい。


魔族の場合、言われた事には従ってくれるが、それ以外の時は本人の意思の方が遥かに強く作用する。

いや〜ん、ウェイン様大好き〜 ……みたいには決してならない。

なったても困るんだけど……


一方で人間は、何か言われるまで動こうとしない。言い方を変えれば、俺への依存度が高い。

あ〜ご主人様、大好き〜 ……みたいになる。

それが行動に出ないのは本人の性格による所が大きいんだろうけど、

好き好きオーラがとてつもなく出ていて、エロさと言うか艶っぽさみたいなものを滲み出してくる。


それは目の前にいるダリアさんもそうだ。

目を潤わせ、わざとらしく髪を耳に掛ける仕草を見せてくる。


それ好きだけども……


なんて考えていると、聞き覚えのある音が聞こえてきた。


ピコンッ!


《 以下の条件を達成した為、新たな機能が追加されます 》

・初期従属枠(5)の達成

  [追加内容]

  対象従属者の位置情報把握



そう言えば、これで5人目か。

人外も混じってるけど……


前回同じ様な現象が生じた時は従属枠の拡張だったけど、今回は機能の追加。

従属者の位置情報って事は、コムギとかシロの場所が分かるってことか?


そう思っていると、眼前にネガルシの地図が表示され、地図上に赤色と白色の二種類の光が合わせて6つ灯った。


赤い光は……おそらく俺自身を指しているのだろう。

それから白い光は魅了[絶]に掛かった従属者達だと思われる。


縮尺のせいか、赤い点と3つの白い点が重なっている部分がある。

多分、コムギとシロ、それにダリアさんのものだろう。


えーっと……俺の近辺を拡大、拡大……

あ、できた。


あれ?

白い光が離れないぞ?


すぐ隣にある白い光はダリアさんだから仕方ないとして……

何でもう二つも、こんなに近くにあるんだ?


ダリアの距離をそんなに変わらない位置にある……

もしかして!


そう思った時、部屋の窓をコンコンを叩く音がした。

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