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魅了[絶]?! カンスト(Lv.99)一般職男子  作者: たかしたま
人魔統一編 ~序~
23/42

第23話 : 竜との遭遇 (2)

誰彼構わず発動されちゃうのね……

しかし冷静に考えたら、コムギだって魔族(魔王)だ。


それでも百歩譲って、コムギの見た目は人間そのものだから良いとして、

目の前に居る方はゴリゴリの(ドラゴン)


今まで魅了に掛かった4人のうちの半分が人外。

綺麗なお姉さん達どこ行った!


……こんな展開、予想できる訳ないだろ。



改めて目の前の(ドラゴン)のステータスを確認してみると、



《対象従属者ステータス》

 状態:魅了

 名前:□□□□□□□

 性別:♀

 年齢:不明

 種族:魔族 (竜)



突っ込みどころが多過ぎるんだが……



まず、お名前が豆腐。

対応する文字コードがなくて、エンコードできなかった的な?


年齢は、もう良いや。

気にしたところでね……


「……それよりも、コムギは大丈夫か?」


「うん。何とか。

あと一発食らってたら危なかったかも。

その……ありがとね」


いえいえ……

途中まで逃げる気満々でしたので。

ありがとうなんて言われると、胸が痛いです。


「気にするな。当たり前の事をしたまでだ」


取り敢えず、決め台詞は吐いておく。

全く格好良くはないが。


「それにしても不思議ね。あの(ドラゴン)が、急に大人しくなるなんて。

ウェインは、一体どんな力を使っているの?わたしの事と言い、デモニスのことと言い……

そんなもの今までに見たことないもの」


「その正体は、ウェイン様の魅力ですわ!

私、こんなに素晴らしい殿方に出会ったのは初めてですもの!」


はい、ありがとう。

全然嬉しくない。


「そんな事より……

こっちは、どうするんだ?」


(ドラゴン)の方へと目を向けると、その巨体に似合わず体をくねくねさせながら、時折こちらをチラチラを見つめてくる。


これまたリアクションに困る。


『そんなに見つめないでおくれ……

動悸が、収まらぬではないか』


今までで一番効いてるじゃないですか……


しかし、(ドラゴン)か。

連れていければ、かなり便利だ。

空を飛んで移動できるし、いざという時の戦力として、これほど頼もしい存在はいない。


しかし、でかいよな……

こんなに目立つ奴を連れてロゴポルスキーに乗り込む訳にもいかない。


ただでさえラリゴーという色んな意味で目立つ奴がいるって言うのに、そこに更にデカい(ドラゴン)を連れて歩いていたら、私たちを見てください!と言っているようなものだ。


でも、もしかしたら人間になれちゃったりしないかな。

そういうパターンって、良くある気がするんだが……


「えーっと……」


そう言えば、名前わからないんだった。


「何て呼べば良いか?」


『お好きなようにお呼びください……

肥溜めでも雑巾でも、何でも構いません』


「……」


俺はいじめっ子か何かか?


「じゃあ、雑巾ね!雑巾(ドラゴン)!」


コムギが口を挟む。


だっさ……


『お主は黙っておれ!妾はウェインと話しておるのじゃ!』


「そしたら……

シロ、はどうですか?」


咄嗟に出てきたのは、前世で飼っていた真っ白の毛色をしたマルチーズと同じ名前だった。

鱗真っ白だし……


『何と可愛らしい!是非、シロとお呼びください』


あ、気に入ってくれるんだ……


それにしても、自分のネーミングセンスの無さよ。


コムギは、健康的な小麦色の肌をしていたからコムギ。

この(ドラゴン)は見惚れてしまうくらい真っ白な鱗をしていたからシロ。


呼びやすくて良いけども……


「それで、シロ。

お前は人の姿になれたりしないのか?」


『人の姿に?

……なれる訳なかろう。不思議な事を聞いてくるもんじゃ』


そうだよな……

(ドラゴン)が人の姿になれる訳ないよな……

『して、何故そのような質問を?』


「いや、連れて行けたら良いなと思っていたんだが。

流石に、その巨体では目立つからな……』


『ほう、そうであったか!

であれば……』


そう言うと、シロは大きな翼で自らの身体を覆い隠すような仕草を取った。

すると……

シュルシュルっと、徐々に身体のサイズが縮んでいく。


『これならどうじゃ?』


人の姿になれる以上の衝撃だよ。

って言うか、手乗り(ドラゴン)可愛すぎる……


「す、凄いな……」


『もっと小さくなれるぞ?』


そう言ったシロのサイズはどんどん小さくなっていき、最終的には米粒ほどの大きさになった。


『どうじゃ?』


いや、凄いけど。

声も小さくなってる……


「あー、十分だ……これ以上小さくならなくて良い。

取り敢えず、手のひらサイズに戻ってくれ」


手のひらサイズが一番可愛い。


「それで……ここに用があるなら無理にとは言わないが、良ければついて来てくれないか?」


『もちろんじゃ!妾は言われなくとも付いて行く気でおったぞ?』


「え〜、やだ!反対!」


暫く黙って様子を見ていたコムギが口を挟む。


『煩いのぉ。散々痛めつけてやったと言うのに、まだ足りぬか?』


「はっ!上等じゃない。あんな攻撃、屁でもないわよ!」


『ほう?口だけは立派じゃのぉ。

では、もう一度受けてみるか?』


「望むところよ!どこからでも掛かって来なさい!」


……やっぱり連れて行くのやめようかな。


「おい!もう良いから、やめてくれ。

コムギもその身体で無理言うな」


『はい、ウェイン』


シロ、素直でよろしい。


「いやよ!あいつに痛い目見せてやるわ」


コムギは戦いの興奮がまだ収まらないのか、引く気配を見せない。


「ラリゴー、ちょっとコムギを落ち着かせてくれ」


「畏まりましたわ」


「ラリゴーさん、余計なこ……」


指示を受けたラリゴーは、目にも止まらぬ速さでコムギの首元に向けて手刀を振り下ろした。

瞬間、コムギの意識は飛び、再び膝から崩れ落ちた。


落ち着かせる……ではなくて、黙らせたのね……

手っ取り早いけども……


それに、手負いとはいえ、魔王を手刀で一撃。

一度で良いから本気で戦う姿を見てみたい。

シロやコムギよりも強かったりして……


「……山を降りようか。

ラリゴー、コムギを頼んで良いか?」


「ええ、勿論ですわ!」


「それで、シロ。出発前に、一つだけお願いがある。

コムギの最初の攻撃を防いだやつを、もう一度見せてくれないか?」


『それは、氷結息吹(アイスブレス)の事かい?』


「ああ、それだ。

そのサイズのままで良いから、あっちの方に向けて頼む」


『はぁ……別に構わぬが……

氷結息吹(アイスブレス)!』


よし、これで俺にも使えるように……


……あれ?


《発動可能なスキルがあります。発動したいスキルを読み上げて下さい》

 ・獄炎(ヘルフレイム)    [1/1]

 ・奪視(スティールビジョン) [0/1]

 ・氷結息吹(アイスブレス) [※解析不可]



……解析不可?


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