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魅了[絶]?! カンスト(Lv.99)一般職男子  作者: たかしたま
人魔統一編 ~序~
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第18話 : 幼馴染との再会

「で、どうするの?」


コムギが悪びれる様子もなく聞いてくる。


「どうするって……はあ〜」


当然、宿に戻ることは出来ない。

もう無いからな……


それに、襲撃してきた刺客の正体というのも気になる。

また狙ってこないとも限らないから、より一層周りに警戒して動かないといけない。


「このまま路地裏に隠れて夜を越すわけにもいきませんし、当てはありますの?」


「まあ、あるにはあるんだが」


幼馴染が一人で暮らしている家があるんだが、出来れば頼りたく無い……


「わたし野宿とか絶対に嫌だからね」


お前のせいだよ……


「分かってるよ。ただ、暗くなるまで待ってくれ。

いま歩き回ると目立つからな」


「暗くなるまでって、どんだけ待つのよ?」


「仕方ないだろ。下手に出歩いて、また襲撃されたりしたらかなわないからな。

可能な限り目立たないようにしよう」


というか、襲撃以上にこいつらの反撃の方が恐ろしいだけど。


「……まあ、しょうがないわね。

そう言えば、お昼ご飯は買ってきてくれたの?」


「……」


「嘘でしょ?!これじゃあ、何の為に大人しく待っていたんだか分からないじゃない!」


大人しさの欠片も感じられない行動をしておいてか?

というか、何で俺が責められてるんだよ……


「……ごめん。今すぐに買ってくるから、少しだけ待っていてくれ」


「急いでね!」


何様だよ、本当に。

あ、魔王様でしたね……


「今度は10分くらいで戻ってくるから、今度こそ……今度こそ絶対に暴れるなよ。

コムギ、お前は俺が戻ってくるまでスキル使うの禁止だ。

何かあったら、ラリゴーが対処してくれ」


「はい!畏まりましたわ!」


「じゃあ、行ってくる」


そうして俺は路地裏を離れ、再びフードで顔を覆って昼食を買いに行った。


問題児しかいない……

せめて安心して留守番を任せられるような人が一人でも居てくれれば良いのに。

短気な破茶滅茶魔王様に、筋肉ゴリゴリで人間かも疑わしい女装したおっさん。

二人揃って、何本かネジがぶっ飛んでる。


そんな事を思って落ち込んでいると、ドゴンッという鈍い音が響き、地面が若干揺れた。


まさかな……

あんな事しておいて、またやらかす訳ないよな。

うん、流石にそれは無い。


よし、お昼ご飯買おう。


「すみません。マイサン3つにポレイト、それにラーコーを3つ下さい」


お馴染みのマイサン。

第10地区を散策した時も食べたけれど、具材が豊富でボリューム満点、それでいて安い。ポレイトは説明が難しいけど、要するにフライドポテトですよ。で、ラーコーというのは、炭酸と甘味を効かせた暴力的な飲み物。いわゆる、あれですね。

どれも、俺がこの地区で食べていた定番の料理だ。


「これで顔を拭きな。汚くて見ていられんよ」


そう言って、店主のお爺さんがおしぼりのように湿った小さめのタオルを渡してくれた。

顔が汚れている事をすっかり忘れていた……


「す、すみません。ありがとうございます」


「旅かね?」


「まあ……そうですかね」


「気を付けなされよ。ついさっき、すぐそこの宿が不審者に消し炭にされてしまったらしいからな」


ごめんなさい……

それ、わたくしの知り合いです。


「何でも変わった格好した大柄な男が居たとか何とか」


ラリゴーじゃん。

そりゃ目立つよな。


「あははははは……物騒ですね。はい、気を付けます。

あ、ありがとうございました!」


そう言って店主にタオルを返し、逃げるようにお店を立ち去った。


ラリゴーが目立つのは仕方がないとして、

一番の問題は目立たないようにする手段がない事なんだよな……


小さくする事はもちろんできないし、ローブを羽織る事は頑なに拒否された。

どうしたもんか……


「コムギー。戻った……ぞ……」


「おそーい!」


コムギもラリゴーも何食わぬ顔をしているけど、さっきまではなかったはずのクレーターが路地裏にできている。


「何で地面抉れてるの?」


「小さくてすばしっこい生き物が出たのよ。もう、気持ち悪くて……

それで、ラリゴーさんに退治してもらったの」


「……そうか」


もう良いや。地面が抉れているくらい大した問題じゃないよな。

誰にも被害は及んでいない訳だし。

毎度気にしていたら気が保たない。


「食事にしよう」


「待ってましたー!」


コムギは俺の買った昼食に飛びついてきた。


「美味しい!なにこれ!」


初めて食べる味に驚きを覚えながら、コムギは勢いよく食べ進めていく。


「魔族って、食事必要ないんじゃないのか?」


「必要ないわよ?魔素があれば生きていけるし」


「それなのに、食べるのか?」


「そうよ!だって、人間の食べ物って美味しんだもの!」


好きで食べてるって事か。

前世では食事くらいしか日々の楽しみが無かったから、気持ちが分からないでもないな……


「まあ、美味しくて何よりだ」


好きな食べ物に共感してくれるって、何となく嬉しい。


「食べ終わったら、日が沈むまでゆっくり休んでいてくれ」



昼食を終えて暫く寛いでいると、徐々に日が傾き始め日が沈みかけていた。


「そろそろ移動するから準備してくれ」


「はーい。で、どこに向かうの?

ウェインの知り合いの家?」


「……そうだな。小さい頃からの知り合いだ」


「知り合いだっていうのに、何でそんなに苦い顔をしてんのよ」


本当なら、会いたく無かくないんだよ。


「行けば分かるよ」


準備が整い、日が完全に沈むのを待ってから俺たちは路地裏を離れた。

暗くなれば、ラリゴーも目立つまい。

それに、通りの人通りもまばらになっている。


「着いたぞ。あの建物だ」


「案外、近かったわね」


コンコンコンッ


俺は入り口の扉を叩き、中からの反応を待った。


「はーい?」


その声と同時に扉が開かれ、俺は数週間ぶりに幼馴染と再会した。


「きゃーー!

ウェイン!来てくれたの?!」


そう、ストライクゾーンから大外れのリエイムだ。


「あら!綺麗な子」


後ろで、そう囁くラリゴーの声が聞こえる。


「ずっと会いたかったんだから〜!

この前家まで行ったら旅に出たって聞いて……本当に寂しかったんだからね!」


この幼馴染、見た目は本当に綺麗なんだ。

目はぱっちりした綺麗な二重で色白。それに、ビックリするほどスタイルが良い。

それに、肩甲骨まで伸びたサラサラの黒髪は見惚れてしまうほど美しい。

100人に聞けば、間違いなく100人が綺麗と答える。


「それで、今日はなんで来たの?

もしかして……わたしに会いに?」


そんな美人になんで会いたく無かったかって?

それはね……


「おい、抱きつくなって!あと、キスしようとするな!」


こいつが男だからですよ。


ラリゴーを抵抗なく受け入れられたのも、小さい頃から身近に居たからですよ。

もっと凄いのが。


「急に押し掛けて悪かった。

あんまり人目に付きたくないから、一旦入れてもらっても良いか?」


「もちろん!後ろの方もどうぞ〜」


そう言いながら、ちゃっかり俺の恋人繋ぎで握ってくる。

こいつは……俺の事が大好きなのよ。


リエイムはコムギとラリゴーを部屋の奥にある椅子に促すと話を続けた。


「改めて聞くけど、要件は?」


「今日だけ泊めて欲しいんだ」


「良いわよ!」


即答……


「あ、ありがとう……」


「寝るところもウェイン用のが空いてるから、そこを使えるわ!」


ベッドに限った話じゃない。洋服とかカップとか、俺が居ないにも関わらず、そもそも一緒に住むなんて話をしていないにも関わらず、何でもかんでも俺用が用意されている。

こういう所が怖いのよ……


「すっごく良い人じゃない、ウェイン!」


コムギが耳元に囁いてくる。


まあ、信用もできるし良いやつではあるんだけど……


「お二人も今日はゆっくりして行って!ウェインは、わたしと沢山話しましょ!」


「……はい」



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