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アオハル・ロマンシエ  作者: ひな月雨音
第1章 始まるアオハル 編
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第9話 ここではない

 ”廊下は走らない”──


 そう書かれた張り紙の前を堂々と駆け抜け、私は二組の中が見えるところで立ち止まった。



「はぁ……わかるかな? てん君に会うの……何年ぶりだっけ?」



 幼稚園にも通っていなかった頃、仲のよかった南海みなみ てん君は引っ越してしまった。


 その後、何年かは手紙のやりとりをしていたのだけれど、いつしかプツリと連絡がつかなくなった。


 何があったのかはわからないけど、その辺のことを聞く気はない。


 話したくないことかも知れないし、私にも聞かれたくないことはあるから、理解しているつもりだ。



「あの、誰か探してるんですか? よかったら呼びますよ?」



 声を掛けてくれたのは、ショートカットがよく似合う、活発そうな小さな女子生徒だった。



「えっと……てん君……あっ、南海みなみ そら君いますか?」



そら君ですね。おーい? そら君? どこぉ?」



 教室中の視線を集めてしまい、私は顔を伏せてしまった。



南海みなみなら図書室じゃね? いつも飯も食わず昼休みはそこにいるらしいから」


「そっか。だそうですよ?」


「あ、ありがとうございます」



 頭を下げ、足早に立ち去ろうとしたときだった──



そら君の彼女さんですか?」


「へっ? か……彼女?」



 自分でもびっくりするくらい声が上ずっていることに気付き、何より思いもよらぬ質問に驚いてしまった、



「顔真っ赤ですよ?」



(何で顔赤くなってるんだ私は……)



「と……図書室に……行って来ます」


「いってらっしゃーい(わかりやすっ! 後でそら君にも聞いてみようっと)」

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