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アオハル・ロマンシエ  作者: ひな月雨音
序章 幼少期 編
6/24

第6話 またね

 今日はてんくんがお引っ越しをする日──


 すっかり晴れて、気温も上がったので、春物の上着を着て、私はママと一緒にてんくんのお家へとやって来た。


 タンスやソファといった大きな家具が、次々と運び出されていく様子に、口をポカンと開けていると……。



「あっ、いのりっ!」



 てんくんが私に気付いてくれた。



てんくん、おはよっ!」


「おはよう。いま、ボクのものをはこにしまってたんだけど、いのりにわたしたいものがあるから、おへやにきてくれる?」


「うんっ! いのりもてんくんに、おてがみかいてきたんだよ」



 大人達の間をスルリと通り抜け、ふたりはてんくんのお部屋へとやって来た。


 もう何度となく訪れているこのお部屋にも、遊びに来るのはこれが最後だ。



「おへやひろぉい!」


おおきなものはさっき、ひっこしやさんが、もってってくれたからね」


「そっかぁ」



 部屋には段ボール箱が3つに、かわいい動物さんがプリントされた紙袋が1つ置かれている。


 てんくんはその紙袋を両手で持つと、私に差し出した。



「これ、いのりにあげるよ。なかはおうちにかえってからあけて?」


「わかった。ありがとっ。いのりも、てんくんにおてがみあげるね」



 ワンショルダーの小さなポシェットの中から、昨日私が一生懸命書いた手紙を取り出した。


 字は名前くらいしか書けないのでママに代筆してもらい、私は楽しく遊んでいる絵を描いた。



「シールもいっぱいはったからね?」



 この頃の私は、かわいいシールを集めるのが好きで、いろんな物にペタペタと貼っては、ママに注意されていた。



「だいじにするよ。ありがとう」


「あっ、いたいた。お荷物はこれで最後だから、トラックに積んだら出発よ」



 てんくんママがやって来て、私の前に座った。



「いのりちゃん。てんと仲良くしてくれて、本当にありがとう。ぎゅうしてもいいかな?」


「うんっ!」



 私は飛び付くように、てんくんママに抱きついた。



「秋にはいのりちゃんの大好きなリンゴさん、たくさん送るからね。てんにも落ち着いたら、お手紙書かせるから待っててね?」


「いのり、おてがみと、りんごさんまってる!」



 その言葉に、周りにいた大人達は笑顔を浮かべていた。


 別れは悲しいものだと、大人はみんな思っているけど、私はこう思う──



(生きていればまた会える──)


(生きてさえいれば、いつかきっとまた──)



 外に出て、車の窓越しに話す私とてんくん。



「さよなら。いのり」


「ちがうよ? ”またね”だよ? ”またね”は、またあおうねってことだもん」


「うんっ! きっと、またあおうね!」

 


 とても気持ちのいい四月のある日、私は南海みなみ てんくんと再会の約束をし、姿が見えなくなるまで笑顔を送り続けた──

いのりちゃんと天くんの、幼少期編はこれでおしまいです。


次回からは、成長したいのりちゃんが登場しますよ。


高校生となったいのりちゃんのアオハルが、動き出すっ!


お楽しみに──

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