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アオハル・ロマンシエ  作者: ひな月雨音
第1章 始まるアオハル 編
19/24

第19話 いのりん

 平沢ひらさわ かなでさんは、お昼休みに私がてん君の場所を聞いた子だ──



「ふたりはこんな所で何を?」


「それは俺が聞きたい。何で俺達のあとをつけて来た?」



 声のトーンで、そこそこ怒っているのが分かる。



「まぁまぁ、てん君。別に何かをされた訳でもないしさ……」


「そ、そうだよ! よく考えたら、私何もしてないじゃん!」


「隠れてつけて来ただろ?」


「そうだったぁ!」



(悪い子じゃなさそうなんだよなぁ)



 問い詰められて反省している様子を見せているので、私は助け船を出してあげることにした。



「平沢……さん?」


「あっ、かなででいいよ。いのりん」


「いのりん?」


「……ぷっ」



 吹いたてん君に無言の圧力を送る──



「………………ごめん」



(よろしい。以後、気を付けるように)



 口にせずとも、何となく伝わったようだ──



「じゃあ……かなでちゃん。私達がここに来た理由を教えてあげる」


「ホントっ!?」


「実は今日ね? 高校のお友達が出来た記念日なの。だから、てん君が奢ってくれるんだって」


「それって……もしかして、わた……」


「平沢じゃない」



 かなでちゃんが言い終わる前に被せるように、てん君が否定した。



てん君っ! それは酷いっ!」



 思わずかなでちゃん側に立ち、私はてん君に向かってこう言った。



「もうかなでちゃんもお友達だから、三人でお祝いしよう!」


「わぁぁ! いのりんっ! ありがとう! 私は最初からお友達だと思ってたよ!」


「最初からって……調子のいいことを」


「いいから。ほらっ! お財布係は食べ物買ってくる」


「誰がお財布係だっ! って何だよ、その係りっ!」



かなでちゃんがいると、場の空気が明るくなるなぁ)



 明日の学校が楽しみだと、初めて思えた瞬間だった──



「高野さんも誘えばよかった」

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