第15話 ロックオン
そして放課後──
「じゃあねぇ」
「また明日ぁ」
勉強という呪縛から解放された生徒達は、どこにそんな元気を隠していたのかというくらい、足取り軽く教室をあとにしていく。
部活に所属している子達は別であるが……。
私はといえば、特に身を振らず、まぁ今月中に適当な部活へ籍を置こうと考えていた。
「星野さん? 一緒に帰らない?」
声を掛けてくれたのは、私に”ぼっち”の疑いを向けた沖田さんだった。
「誘ってくれてありがとう。ただ今日は先約がいて……」
「そうなんだ」
沖田さんは手を振ると、待っていた他の女子生徒のもとへと向かい……。
チッ──
確かに今、舌打ちが聞こえた。
(……ターゲットにされたかな?)
「あのぉ? 星野さん」
「ん? はい」
今度は何だと、背後から掛けられた声の主へと顔を向けた。
「えっと、高野さん……だよね?」
「うん。あのね? 私さっき聞いちゃって……」
「聞いたって何を?」
「その……」
高野さんはクラスの中でも、大人しいタイプの女の子で、まだあまりお話をしたことはないのだけれど……。
「あのね?」
「いのり。帰ろう?」
全開になっていた教室前方のドアから、天君が声を掛けて来た。
「ごめん。高野さん。そのお話、明日聞かせて? 約束っ! じゃあまた明日っ!」
私はバッグを肩に掛けると、高野さんの話も聞かず、天君へと駆け寄った。
(……星野さん……あぁ、どうしよう)