第13話 ピンチ!
天君とふたりで話していると、突然ドアが開いた──
ガチャ──
ベッドに横たわる私からは、そこに誰が立っているのか見えない。
「……ども」
天君のこのリアクションから察するに、どうやら先生ではなさそうだ。
その時だった──
カシャ──
カシャ──
明らかにカメラのシャッター音がした。
すると、天君は椅子を倒しながら勢いよく立ち上がり、私のベッドを囲うカーテンを閉めると、入り口にいるであろう人物に向かって駆け出した。
「おいっ! 何勝手に撮ってるんだ! 今のデータ消せよ!」
「え~? 校内で堂々と手繋ぎデートの次は、ふたりっきりの保健室。こんなスクープ、簡単に消せるわけないじゃん」
(……女の子の声?)
「いいから、そいつをよこせ!」
「怖いなぁ。そうだ、メモしとこ…………脅された、と」
「なっ! 許可もなく撮った写真を消せと言っているだけだろう!」
「大声出してもいいんですよ?」
「こいつ……」
(……せっかく隠してくれたけど、天君ごめんっ!)
カーテンに手を掛ける私──
「あら? 南海さん。こんなところでどうしたの? 具合でも悪いのかしら?」
(……ん? 天君のことを知っている人?)
「あっ、先生。体調の悪い生徒を連れて来たら、写真を撮られて”ふたりっきりの保健室”はスクープだとか言われて、困っていたところなんです」
「それはよくないわ。あなたも一年生のようね? クラスと名前は?」
ハァっと安堵のため息を落とすと、私は再びベッドに横になった。
(天君ありがとう)