表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/22

閑話3


とある平日の休日。




その日は、雨だったけど傘を持たずに家の近くにある公園で、一人ぼんやりと立っていた。




こんな事をしても、気分は晴れないし、心の痛みも消えてくれない。




それでも、雨が全て洗い流してくれると期待して、こんな事をしていた。



…父に、自分の結婚相手は自分で見付けると言って、20才になった時に実家を出てもう4年たっていた。




この間、父から珍しく電話がかかってきて、結婚相手が見付かって居ないなら、お見合いをしろと言われてしまった。




…お見合いしたとしても、その相手は男性だ。




今のボクは、結婚するなら男性よりも、女性の方がいいと思うようになっている。




八年間も、同性と付き合っていたら、いつの間にかそう考えるようになってしまっていたのだ。




(これから、どうしようか…。)そんな事を考えていたら、誰かがやって来てボクを自分の傘の中に入れて、話しかけられた。



その子は、ボクの母校に近い所にある共学の学校の生徒だった。




容姿は、美人という訳ではなく普通だった。




だけど、その子はボクが放っておいてくれと言った時。




何故か、鞄からタオルを取り出した後、意図が分かりやすい理屈をつけて、傘とタオルを押し付けるように渡し、ボクが何か言う前に走り去ってしまった。




あの子が、走り去って行った方向をしばらくの間、呆然としながら見ていた。




我に返り、あの子から受け取った傘とタオルを見て、おかしくて笑ってしまった。




あんな理由で、ボクに傘とタオルを渡すなんて、変わっている子だ。




普通、ボクを何とか家に帰らせようとしたりするものなのに…。




あの子は、そうしなかった。




自分が、濡れて帰る事を選んだのだ。




色々察して、そうしてくれたんだろう。




ちょっと変わっているけど、優しくていい子のようだ。




あの子のおかげで、少しは気が紛れた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ