第4話
私には、好きな人が居る……いや、居た。
結婚したし、この際完全に諦める事にしたのだ。
どうせ元々、叶わぬ恋だったわけだしね。
いい機会だった…という事にしている。
とはいえ、そう簡単に好きな気持ちはなくならない訳で、今だにそういう気持ちが残っているけど…。
しかも、好きな人が同じクラスだから、嫌でも好きな人とその想い人の恋愛模様を見てしまうので、色々辛いのだ。
想い人の方も、同じクラスだし…。
その二人以外の私達クラスメイト一同は、二人共明らかに両思いで、無自覚にイチャついているので、さっさと付き合っちゃえと思っている。
まだ、恋人同士じゃないから、私達的にはじれったくて仕方がない。
…今の所、私の恋は周囲にもバレていないはずだ。
ずっと、好きな人は居ないと言っていたし…。
だから、好きな人が居た事を知っているのは、美紀さんだけだ。
さて、話しは変わるが…。
学校に行くと、よく結婚生活について聞かれるようになった。
しばらくすれば、おさまるはずだ。
美紀さんの職業は、教えてない。
ただ、年上の女性と結婚したという事だけしか、話していない。
それ以外は、下の名前すら教えてないのだ。
教えるとしても、卒業してから教える事にしている。
学校では、美紀さんの事は、夫もしくはあの人という感じで言っている。
指輪を嵌めているし、名字も変わったから、結婚した事を疑う人は居ない。
そうそう、私は美紀さんから美紀さんの事を秘密にしておくようにだとか、言われてないよ?
でも、私は友達にさえ秘密にしている。
どうして、秘密にしているのか?
その理由はというと…。
全て話してしまったら、美紀さんは教師を続けられなくなるかも知れないからだ。
だから、万が一の事を考えて、秘密にしておこうと思った。
他にも、学校が違うとはいえ、教師と生徒だし、未成年に手を出した事になる訳だし…。
さらに言えば、美紀さんは大企業の社長の娘なので、よけいにさわがれるし絶対にニュースになるかも知れない…。
そういう訳で、秘密にしている。
それに、一応妻だし…別に美紀さんの事が嫌いっていう訳でもないからね。