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〆切日

作者: 音澤 煙管



ある日の通勤途中で、


"募集!「最後のページを考えて

一冊の本を作りあげて下さい!」"


ある雑誌の公募でストーリーを完成させるこの見出し広告を電車内で見つけた。

どうやら今日が、その締め切りの日らしい…

執筆が趣味な私の血が騒いだのは無理も無い。早速駅へ着いたら階段を降り、募集広告の詳細を知りたくて売店へ向かう私。

広告の雑誌を見つけ200円(税別)と言う値段だったのでそのまま購入し、会社へ着いたらゆっくり拝見しようと脇に抱えて会社へ向かう。駅前に出て、何時ものようにロータリーの地下道出入り口の階段を降りる。


地下道は、両脇にお店が並ぶ地下街として真っ直ぐ続いた道。通勤ラッシュなのに、一角の本屋さんが開店していた。


"あれ?もうやってんだぁ、早いなぁ。"


私は不思議に思ったが、出勤に間に合わなくなるのでそのまま通り過ぎた。暫く進むと、地下街出入口と言う左側の電灯代わりの看板が明るく目立つ階段を上り、そこを出たら直ぐに左が私が勤める会社の建物だ。


"今日は金曜日、残業がありませんように…"

と、祈りつつ地下道の階段を上った。


しかし地上へ出て驚いた。

空は真っ暗、ネオンサインが光る夜だった…


"えッ?今、通勤途中の朝だよなぁ??"


そう思って会社がある方を見た、すると…

地下街で開店していた本屋さんになっている。私は、訳がわからず取り敢えずその会社だった本屋さんへ入ることにした。

頭の中は疑問符だらけで店の手動扉を開け店内に入る。電車内で見た広告が店内の至る所に貼られていた、異様な雰囲気さえする。しかも、ここは自分の会社のはずだ。店内を進むと中央にレジがあり店員が居るので、恐る恐る聞いてみることにした。


「あのぉ…ここって〇〇会社ではありませんよね?」


俯いていた店員が顔を上げて言った…


「はい、いらっしゃいませ。

そうですよ、確か1年前はそうだったと思いますが、倒産した会社の跡わたしたちの会社が改装して書店になりました…それが何か?」


「1年前?!って事は、今は2019年?!」


「お客さん?大丈夫ですか?!

今は、2018年に決まってるでしょー。

からかいに来られたのですか?警察を呼びますよ!」


「あッいえ、すいません。そんなつもりではありません、ありがとうございました。」


疑問符どころか、何かまずい雰囲気になったので私は早歩きでその本屋を出た。


店の外を見回しても、確かに〇〇会社だ。

それに内側だけ本屋になっている…


暫く頭の中が真っ白になり考えようとするがちんぷんかんぷん。


「あ、そうだ!ここまでの途中の地下街で同じ本屋があったな?そこまで戻ってみよう!」


私は、急いで地下街で通り過ぎた本屋へ引き返した。早歩きと言うより走った、全速で…

走って戻り、地下街の本屋へ辿り着いた。


私は、目を疑った。

そこには、私の勤務先である〇〇会社があったからだ。


何で?…地下街の自分の会社らしき前で仁王立ちして考えた。その後、駅の売店で買った一冊の本を買ったのを思い出し、見てみると…表紙の巻頭ページの紹介が書いてあった。


"我々の母なる"火星"が、地球だったら?

…と言うストーリーの最後のページを考えて一冊の本を作りあげて下さい!"

と、なっていた。


どうやらここは、時間線を途中で間違えて進んで通勤し、違う時間線に迷って火星に来てしまったらしい。


そう言えば、地球の自転が狂ってしまったらどうなるか?と言う仮説を昨日テレビで観たばかりだった。その後、科学者が予知を、する間もなく地球の自転は本当に狂ってしまって、丸ごと火星に移転してしまったんだ。


それがわかる証拠に、夜空には地球が青く光ってる…





おわり


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