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夢幻の放浪記  作者: やっさん
第1章 『異世界』
22/22

22話『護衛』

『それより…平家討伐の令旨を以仁王より賜ったとお聞きしました』


『お…おぉ 紅葉殿はそんな事を知っておったか』


当たり前の事だが、こんな大事は秘密裏に行われる事だ。

敵である平家に情報が漏れてしまっては先手を打たれてしまう。



『第六天魔王、波旬様の手の者が私に知らせて参りました…近く戦の連鎖が起こり、やがて日ノ本を揺るがす程の大きな戦となり沢山の人間が死ぬと』


『そうか…いや実は儂も迷っておるのだ。平家の者達の驕り昂りは確かに酷い、しかし相応に実力はある』


『兼遠様…いえ私の可愛い曽孫、貴方の家は私が守りますから安心して下さい、その為に此処に来ました』


『うむ…先祖に守られると言うのは大変に心強くある、しかし 日の本の事、家の事、家族の事は生きてる者で何とかしなくてはならん。だから迷っておるのだ』


『父上、俺はこの機会を好機だと思う。俺の源の名を使ってでも兵を挙げるべきだ』


『しかし次郎、そなたの源の名を使えば 命はなくなるぞ』


『俺の命なんて最初から無いもんだと思っている。それに紅葉さんの言う通りに平家が魔王に取り憑かれてるなら 魔王から京を、日の本を取り返さなきゃな』


『父上、拙者も義兄上の言う事に賛成だ』


『もちろん 某も兄達に賛成だ』


『うむ…中原家の次の当主は兼平 お前だ。お前までも賛成するのなら…これも時代の流れだ、お前達の好きな様にしてみろ』


『八雲…お前は俺の家来になるのか?』


『ん、俺?いや 俺は戦に参加しても役に立たないさ…影から援護するよ』


『影から?』


八雲は紅葉から波旬の事を聞いた時から嫌な予感がしていた。

平家に取り憑いて居るなら初めの内は何もして来ないだろうが

義仲側に流れが傾き始めたら必ず何かして来るだろうと。



『八雲殿が力を貸してくれるのであれば100人力…有り難い』


『魔物相手なら役に立てるかもだけど、戦じゃ俺なんか役に立たないさ』


『何を仰ってるのですか、鵺を倒せるお人は そうそう居ませぬ』


兼平も菊も褒めすぎだろと思っていた。

八雲本人は まだこの世界に来て数週間

平均的なレベルに到達したかでさえ危ういはずだ。


『菊ちゃん この中で単純に一番強いのって誰なの?』


『それは次郎兄上でございます』


『間違いないな』


『あぁ 単純に段の高さもそうだが、武技も含めて俺が一番だ』


『ちなみに次郎さんは何段くらいなんだ?100超え?』


八雲の質問にブッと次郎が噴き出す。


『そんなに高いのは神とか仙人とかだろな、修験者でもそんなに高くまでは上げれないと思うぞ』


『そうなんだ…』


『俺は段位17だ…小さい頃から修行に明け暮れていたからな。八雲は?』


『んーと…32らしい』


『『32!?』』


小さい頃から修行に明け暮れていたらしい次郎が17では段位32と言う数字に一様に驚くのもしょうがない。


『八雲はどうやって段位を上げたんだ!?』


『え…?いや テンと魔物を狩りまくっただけかな』


『これは驚いた。修験者以外でそこまで段位の高い人に会ったのはこの儂でさえ初めてかも知れぬ』


兼遠がそう言うという事は、これが冗談ではなく本当の事だろう。

だとしたら今まで魔物や鬼とか言う者達をどう対処して来たのか疑問になる。


『え?でも今まで強い魔物とか退治して来たんだよな?』


『うむ…偉人達はだな 陰陽師なんかの弱体化させる術や式神、巫女などの強化術などを使用し数人で連携して何とか魔物を退治して来たのだ』


『術で…』


『段位は人それぞれ違うが上がり難くなる、ある段階があるだろ?』


『…そうなの?』


『ほぅ…と言う事は八雲殿はまだ そこまで達してないと?』


『うん まだアホ程 段位上がってるよ』


『ハッハッハ、八雲殿が敵に回らなくて良かった』


『ん…でも法眼って人は俺より余裕で強かったけどなぁ』


『法眼?法眼って陰陽師の法眼様か?』


『あぁ そうだよ…次郎も知ってるんかい?』


陰陽師と言うよりは天狗の成分の方が強い気がするが、敢えて否定はしなかった。


『都で一番の陰陽師だぞ 知らん訳がない』


『おぉ やっぱそうなんか破邪の術とか剣術とか勉強になったよ』


『八雲様は法眼様に剣術を習ったから お強いのですね』


『いや 鵺を倒した後に剣術を教えて貰ったんだよ…それまでは自己流でさぁ、腕力に任せて刀をぶん回してただけだったって気付いたよ』


『自己流であの強さ…』


『おっと話しが脱線したね、俺は直接 戦には関わるつもりないけど、君達はテンと一緒に全力で守るよ』


『それは助かる…が、今は何か報酬を出せると言う約束は出来ねぇんだ』


『それは要らないさ、俺の今の目的は何となく強くなる事だからなぁ。魔王や魔物相手なら遠慮なく刀も術もぶっ放せるしね』


『分かった…申し訳ないが頼む』


『まだ何もしてないんだから気にすんな、それに天下の木曽義仲に関われるってのは少し嬉しいしね』



こうして 次郎と言う名である木曽義仲、後に木曽義仲の四天王と呼ばれる樋口兼光 中原兼平の兄弟の護衛役として八雲とテンは暫く行動を共にする事になった。

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