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夢幻の放浪記  作者: やっさん
第1章 『異世界』
19/22

19話『紅葉伝説』

翌朝、村長の所に情報を聞きに行った。


『まず聞けたのは平維茂ってのと小烏丸、経若って息子の名前』


『ふむ…この村には紅葉伝説と言う言い伝えがあるのです』


『紅葉伝説…?』



ある女が幼子を連れて京から流れて来た。

その女は術の力に長け、その力で村人に手芸品や薬や術の恵みなどを与えたり貴女として慕われた。

その後 何故かその女は付近の盗賊共を術の力で従え京に攻め入ろうとした。


しかし その動きを時の天皇に察知され盗賊共は兵により鎮圧され、女は必死に抵抗するも天に召された。


その兵を率いて居たのが平維茂であり、女にトドメを刺したのが名刀 小烏丸だと。



『それで、その女の名が紅葉だと伝えられておりますじゃ』


『うーん…伝説って言い伝えられてるのなら それ結構前の話しだよね?』


『えぇ、ワシの祖父さんの祖父さんの祖父さんの…まぁ100年か200年か前の話しだと思います』


それだけ時間が空くと手掛かりを探すのも大変だ。

何も見つからない可能性が大だろう。


『そうか…何か所縁のある場所などはある?』


『そうですね…墓を管理している寺なら…』




続いて その寺へと話しを聞きに行く。


『…って事なんだけど その紅葉って人に所縁のある物はないかな?』


『ふぅ…ウチの寺には代々 紅葉様の言い伝えがあります』


『うん』


『紅葉様が化けて出ておるなら 今、それを話さねばならないでしょう』


『うん、頼むよ』



名刀 小烏丸には術力を吸収する力があり

常人からなら数十人分の術力を吸収してもまだ余裕があるのだが

紅葉の力を抑える為に、その術力を吸収した際

小烏丸に小さなヒビが入る程ギリギリだったそうで

小烏丸が吸収出来る量と紅葉の術力はほぼ同じ程度だったと言う事だ。


紅葉の遺体はここの寺の墓に納められ

小烏丸は神社に封印したと伝えられて居たらしい。



『と言う事は紅葉は小烏丸から術力を取り戻したいと言う事なのかな?』


『おそらくは…』


『うん…息子の方の行方は分かる?』


『…経若様は、紅葉様の隣に埋葬しております』


『(ん…?)そうなんだ、まず何となく話しが分かった、次はもう一回 本人に話しを聞いてみるかな、住職 ありがとう』



RPGの様な世界かと思ったが、アドベンチャーゲームじゃないかと思わせる。


『俺は探偵じゃないぞ』


『たんてい?なにそれ〜?』


『ハードボイルドだよハードボイルド…そういやタバコ吸いたくなってきた』


こちらの世界に来てからと言うもの、目まぐるしく新しい物事や人との出会いがあり

元の世界の事など忘れかけている。

タバコや酒はその一つと言えるだろう。





『見つけていただきましたか…』


今度は戸隠山の廃墟に来て居る。

今 目の前に居る女幽霊 紅葉に会う為だ。


『いや まだだ、今日来たのは小烏丸を取り戻して何をしたいのかってのを聞きたくてな』


『…。』


もし術力を取り戻し、暴れられたら勝てるかは分からない。

相手の実力が分からないって事が大きいが。


『平家の者にでも八つ当たりするのか?』


『いえ…平維茂殿の子孫にやり返しても意味はありません』


『そら そうだよね』


『…。』


『じゃぁ 何をしたいんだ?』


『第六天魔王…』


『第六天魔王?信長はまだ居ないだろうし…』


『波旬様を消滅させたい…』


『波旬?』



紅葉が言うには波旬とは第六天魔王 波旬。

人間同士を争わせる為に術を人に与え

その為に魔物を作り人を襲わせる。

人の世が混沌に満ち溢れた頃、人間界を支配しようとしているらしい。



『はぁ…良くは分からんけど すんごいの相手にしようとしてるのね』


『波旬様には感謝しております…しかし私の様な不幸な人間をこれ以上 増やしたいとは思えませぬ』


『生前は不幸だったんかい?子供も居るし 術士としても相当だったんでないの?』


『はい…大変 幸せな人生でした。しかし最期は…』


『平の何とかに討伐されたってかい?』


『はい…波旬様にとっては小さな悪戯で御座います』


『小さな悪戯…?』


『人の世を乱す為に皇家に火種を蒔きました』


『うん…』


『私の息子 経若の父親は源家…臣籍降下する前は六孫王と言う名の御方でした』

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