表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢幻の放浪記  作者: やっさん
第1章 『異世界』
12/22

12話『鵺』

『八雲すごーい』


『俺でも刀を使える様だけど、今の何だったんだろな』


魔物を倒し段位と言うのが上がるとゲームの様にステータスが上がる様だが

短期間に急激に上がると本人の認識以上に身体が動く物なのか?


その認識のズレがあるとギリギリの戦いになる様な強い魔物が現れると危険だ。


仮にそうだとしたら低レベルの内に起こりやすい事態なのだろう。



『テン、魔物と多めに戦いたいんだけど良いか?』


『良いよ〜 僕もお母さんから いっぱい段位を上げなさいって言われてるからね〜』


『そうか、助かるよ』



東山道は魔物が多く、京から東国へ移動する者達は遠回りになるが北陸を経由していた様だ。


しかしそんな事は知らず 八雲とテンは信濃の国府へと向かいながら手当たり次第に魔物を狩り続けた。


途中 野宿をしつつ信濃国府まで 距離で言う約2/3位ほど移動した所か

不意に前方からズドンと大きな音が聞こえて来た。



『ん?今のは何の音だ?』


『えーとねぇ、強くて大きなのと人間が戦ってるみたいだよ〜』


『人が?ちょっと見に行ってみようか』


助けようとかと言うよりは 他の人の戦い方を見たいと八雲は思って居た。

現状 ココに来てから未だ一度も人の戦い方を見ていない。








『クッ…』


女は この惨状が夢だと思いたかった。

行動を共にしていた者達が ただの一撃で倒れ伏せたのだ。


『グルル…』


ただただ目の前の獣を甘く見ていたと言う他ない。

自分より強い者など然う然うは居ないと思っていた。

いや、ここまで強い者がこの世に存在するとは考えもつかなかった。


井の中の蛙、全ては自分の知識 経験が足りなかったのだろう。



『グアァア!』


攻撃を仕掛けようと真っ直ぐに此方に向かって来る獣から逃げようとは思わなかった。


逃げ切れるはずがないと思えた。



女は弓を下げ、ただ瞼を閉じる。

生を諦めたのだ。




その時、すぐ側 いや獣が居るであろう目の前の場所から衝撃波を感じた。


女が再び目を開けると そこに不思議な服装の男が

此方を見て立っている。


『おい、魔物を目の前にして何をしてんだ?』


『何してんだ〜?』


…と子狐も男の側に居た。



『テン、あの魔物を知ってるか?』


『あれは鵺だよ〜』


『鵺?おぉ マジか、それなら俺も知ってる。強いのか?』


『僕と八雲なら大丈夫だよ〜』


『うん俺もそんな気がしてた、さて訓練訓練〜』


『訓練〜♪』



女は絶望的な程の強さの魔物に対し、嬉々として向かって行く男と子狐を呆然と見て居た。


男達は言葉通り善戦…いや優勢に立ち回っている。


ほんの少し前まで 鵺と呼ばれるあの魔物がこの世で最強生物なのではと思っていたのだが

それが今度は ポッと現れた男と子狐がさらに最強生物なのではと思える。


『やっぱりコレは夢よね』





『テン!少し足止めしてくれ、試したい事がある』



『分かったよ〜任せて〜』


テンは火球の術を連射しつつ鵺の意識を自分に向けさせる。

子狐とは言え、戦う事には慣れて居る。


『刀に土術を…』


昔やってたゲームの知識で言う所の魔法剣だ。

それを出来ないかと八雲は試してみる。


『よし出来た…さて効果の程は?』


鵺と言う妖怪は雷の化身だとか言うのを聞いた事があった気がした。

この世界でも同じかは知らないし、雷の化身だからと言って それに土術が効くのかも知らない。


なにより八雲はまだ この世界に来てから日が浅く

知らない事など山ほどある。



『うっし!行くぞ!』

鵺に向かい一直線に駆け上がる。

急激なレベル上げの効果にも徐々にだが意識が付いて来る様になった。


鵺がテンに雷術を放とうとしたそのタイミングに

八雲が横払いに鵺を斬りつけた。


『グオォォォオオオ』


『もういっちょ!』


すぐさま袈裟斬り、斬り上げ、横払いと連続で斬りつけ、そして後ろに飛び退く。


『…グオォォォオオオ!!』


怒りに燃えた瞳で八雲を睨み付ける鵺の頭上から

今度は大きな氷の塊が降下し轟音と共に直撃した。


『ナイスだテン!』


『えへへ』


『よし…ココだろ!』



テンの氷の術が直撃し、動きが鈍くなった鵺の顔を八雲は全力で突いた。


術の効果か唐柏の斬れ味が良いのか分からないが

頭蓋骨で止まらず刀身が30cm程 刺さった所で

断末魔と共に光となり鵺は消えて行った。

RPG物が読みたいので暫くはコツコツと書いて行きます(謎w)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ