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奇怪な話をしよう

個人的な考察みたいなもん 

根拠になる資料とかはない。個人的なイメージ




都市伝説、フォークロア、民話、怪談、伝承、伝説。伝聞の形で語られる奇怪な話には、色々な呼び方があるが、その使い分けの基準はどこにあると思う?話の内容もまあ、あるだろうな。超常的な、奇怪な話といっても、民話や言い伝えと都市伝説の類じゃ、語られるもの、語られ方は違ってくる。

その違いは、話の成立した年代だと、私は思うんだよ。より正確に言うなら、大衆の価値観、になるのかな。少なくとも民話と都市伝説は同時代のものではないように思う。民話として語られるのは、精々が大正明治以前の話ではないかな。昭和以降に語られるようになったものは都市伝説だ。怪談はまあ…どちらでも成立するかな?

この違いは、人々が現実リアルに存在しうると考えているものの変遷だ。今の人間は心霊妖怪の類は作り事の嘘だと思っているが、昔の人間にとっては現実だった。狐は化かすし天狗は人を攫うし水底には竜宮があると信じていた。今の人間にとっては皆ただのフィクションだろうがね。そうして、民衆にとって民話がフィクションになり、他の物語が必要になった。それで新たに現在の人間にとってリアリティのある怪異譚として生み出されたのが都市伝説だ。

神や妖怪の類は否定されたのに、幽霊や霊魂の類は未だにリアリティを信じられる話として受け入れられているのが不思議な話ではあるのだがね。いや、都市伝説に語られる怪異や怪物の類は現代の妖怪といってもいいのかもしれないが。

伝承や民話の中には、聞き手に対する警告としての性格を持つものも少なくない。まあ、確かに、"神霊妖怪"の類は存在しない、かもしれない。ただ、かといって与太話として一蹴してはいけないものだ。神霊妖怪は現象に対する理由付け、説明であって、本質ではない。重要なのはそう説明される何か(・・)が発生した、ということだ。故に、迷信だと笑い飛ばすと酷い目に合うことになるのだな。

"わからないもの"は怖い。だから昔の人々はその"わからないもの"を説明するために神霊や妖怪を使った。今の人はそれに科学やオカルトを使う。それだけのことだ。別に、説明に使うのが妖怪であれ科学であれプラズマであれ、大して違いはない。何で説明されたとして、現実に起こる現象が変わるわけではないからね。変わるとすれば、それは対峙する人間の捉え方や対処の仕方といったものだろう。だからやっぱり、あまり変わらない。

現代の人間は科学で全ての物事が説明できると信じている。ナンセンスだ。人間の叡智は未だその領域に辿り着いていない。世界には未だ、ブラックボックスが幾つも残されている。だからといってそこを似非科学で埋めようとするのはもっとナンセンスだが。わからないことはわからないという。それが正しい理解の第一歩というものだ。

民話は警告としての役割を持つといったが、都市伝説はそういうものは少ないように思う。都市伝説は警告よりも娯楽としての属性が強いものが多いのだろう。つまり、恐怖を楽しむための物語だ。科学で説明されると、何故か恐怖は一掃されやすい。正体見たり枯れ尾花、というやつだ。興醒めにすらなる。科学は人を楽しませる物語にはなりづらい。ゆえに、警告話としての怪奇譚が成立しなくなってきたのだろう。

怪異譚として語るということは、怪異に人格・意志を与えるということでもある。そこに、何らかの意志が働いているのだ、と。一方、科学による説明というのは、怪異から意志を剥ぎ取るということだ。そこに何者の意思もない、ただの現象なのだと。

どちらが優れていると論じるのはそれ自体がナンセンスだが、私は、怪異譚が全て解体されてしまってはつまらないと思う。全てを無機質な論理で説明するなど、ロマンの欠片もない。退屈極まる。科学では説明のつかない"何か"があって、時々不思議なことが起こるくらいの方が楽しい。当然の、決まりきったことしかないのでは退屈だ。未来は既に決まっている、と語るようなものである。

リアリティを感じられるものは、人によって、地域によって、時代によって変化する。それも一種の文化というものだ。





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