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季節とフラグ

布石ってどうやって置くものなんかね


先にしっかりプロット打たない限り絶対無理だわ


コイツらの一言のせいで幾つ入れたかったシーンが消えたことか



 目が覚めるとまだ真っ暗である。

 いつもなら寝直す所なのだが妙に目が冴えてしまい起きることにした。

 FGWのプリセット1のシャツを変え使用を一時解除して装備し直す。

 コート掛けの装備が光へと解けて舞い部屋を薄く照らす。

 数秒で着替えが終わった、特撮かアニメの変身シーンを思いだしオッサンがやるもんじゃないと思う。

 

 腰の装備を確認し窓を開ける。

 空は星が少なくなってはいるが濃紺色まだ日の出は大分先だ。

 小腹が減ったのでポーチからレーションの代わりに突っ込んだフルーツ入りの固く焼き絞めたブロッククッキーらしき何かを齧りながらゲーム開始直後と同じように身体の動作確認を兼ねて柔軟体操をする。

 

 リアルでは柔軟などやら無いがゲーム内では感覚と動作のズレの修正のために一戦目の前に必ずするようになっていた。

 今はリアルにいるがFGWを最大のパフォーマンスで使うのならやっておいた方が良いだろう。

 何よりこうでもしないと銃を持ち歩くことの違和感が拭えない。


 柔軟が終わると胃袋を刺激する良い匂いがしてきた。

 匂いにつられて降りて食堂に行くとまだ仕込み中とのこと裏手から庭に出ると井戸があるから好きに使って良いと。

 顔を洗いに井戸の前まで来て気が付いたがタオルがないそれっぽいものを探していくと衣服の中にちゃんと入っていてリュックかポーチに召喚できた。

 リュックとかほぼ完全にアイテムボックスです本当にありがとうございました。

 顔を洗いスッキリして食堂に顔を出すと時間になったらナーシャちゃんを使いに出してくれるとのことで部屋に戻り窓から外を眺める。

 

 天気は晴れ、雲の流れは遅く風上側には大きな影も無し、この地域の気候はわからないが今日一日雨はないでしょう。

 気温は昨日の気温を考えると日中薄着に春秋用のジャケットを着てちょうど良いくらい20℃弱ってところかな。

 昨日のスープに入っていた小型獣に油が乗り始めた兆候もあったので四季があるなら秋。

 こっちの生活水準だと冬越しが大変そうだ、雪が降らないか少ない地域であることを祈りたい。

 

 少しすると窓から見える道を走る人たちが出始めた。

 急いではいるが危機迫ったという風でもなく挨拶も交わしている。

 出勤時間か商家の伝令か何かだろうか。


 街人の流れを眺めていると部屋のドアが控えめにノックされた。

 返事をしてドアを開ける。


 ナ:「おはようございます、お食事の用意が出来ました。」


 ニャ:「おはよう、ありがとう」


 ナーシャちゃんにお礼を言い頭を軽く撫でそのまま部屋に鍵を掛け食堂に向かう。

 食堂にはまだ誰も座っておらず一番乗りのようだ。


 女将:「おはよう、あんた早いね商家の人かい?」


 ニャ:「おはようございます、冒険者ですよ。初めての街で目が冴えちゃっただけです。」


 女将:「家みたいな宿に泊まる冒険者には珍しいね。みんな護衛依頼でもなければ依頼が更新される日の出2ー3時間後に合わせて起きてくるよ。」


 ニャ:「昨日登録したばかりなので初耳です。でも早く行けば空いていそうですね。」


 女将:「好きにすると良いさ、ほら朝飯だよナーシャがいないから自分で持っていきな。」


 ニャ:「はい、ありがとうございます。いただきます。フルーツジュースはありますか?」


 女将:「あるよ大銅貨1枚だ。」


 ニャ:「一つお願いします。」


 大銀貨を渡し昨日のテーブルに朝食を置きカウンターに戻りお釣と飲み物を受け取る。

 ちょうどピヨ太が欠伸をしながらナーシャちゃんと入ってきた。


 ニャ:「おはよう、よく寝れたか?」


 ピ:「気になって寝付けなかった。大丈夫前よりは寝てる。」


 ニャ:「ガキかよ!先に食ってるわ。」


 ピ:「ぉぅ」


 女将:「ナーシャ人が少ない内にあんたも食べておいで。」


 席について昨日と変わらない朝食を食べているとピヨ太の後ろにナーシャちゃんがくっついてきた。

 そのまま俺達のテーブルに来る。


 ナ:「あ、あの相席よろしいでしょうか?」


 顔を赤くしながら訊ねてきた、可愛い少女なら大歓迎である。


 ニャ:「どうぞ歓迎します、お嬢さま(レディー)。」


 立ち上がりナーシャちゃんに席を引いてあげる。


 ピ:「どこで覚えて来るんだよそんなの。」


 ニャ:「ベースは居酒屋?ちょっと良いところ見せたいって大袈裟にやるとこんな感じにならん?」


 HAHAHA!とお道化て見るも彼女は耳まで真っ赤にして俯いてしまった。


 ニャ:「さて、バカやってないでとっとと食ってギルドが空いてる内に行くぞ。」


 残りのスープでパンを流し込み最後にフルーツジュースを煽る。

 うん薄いオレンジジュース、絞ったのをその場で出されたし日本と違って安全な水なんだろうな。

 

 ピ:「おい早いって」


 ニャ:「早く食え」


 俺の食べるペースに慌てて食べ始めパンを喉に詰まらせたのか胸を叩いているナーシャちゃんにポーチから水を出し俺の使ってたコップに注ぎ差し出す。


 ニャ:「身体に悪いから良い子は真似しちゃダメだぞ、ゆっくり食べなさい。」


 水を飲んで落ち着いたのか小さく頷いた頭を髪が乱れない程度に撫でる。


 ピ:「俺は良いのか!?」


 ニャ:「夜更かしする悪い子は早く食え。」


 ピヨ太がスープを飲み干し余ったパンを口にくわえたのを見計らって席を立つ。


 ニャ:「それじゃ行ってくるよ。」


 ピ:「いっえきはす」


 ニャ:「女将さん鍵お願いします」


 女将:「入り口の箱の中に入れといて」

 

 宿を出てギルドに向かう。ピヨ太はまだ大きな固いパンに悪戦苦闘しており半分以上残っている。


 ニャ:「パンをくわえて朝のイベントフラグでもたてる気か?」


 ピ:「フラグが立つなんて迷信みたいなもんだろ?しかも恋愛系のフラグなんか立つわけがねぇ。」


 それこそフラグと思った瞬間脇道から小柄な影が飛び出して来たので避ける。レーダーマーカーは珍しくブルー(PT外の味方)


 ミ:「きゃぁっピヨ太さんニャンキチさん早くギルドまで行きましょう。」


 俺とぶつかりそうになって驚きよろめいたミリアリアをピヨ太が抱き止めると同時に彼女を追っていた中立マーカー(イエロー)三つがレッドマーカー()に変わる。

 レッドマーカーの先頭が角から飛び出してくるのに合わせ膝に横から蹴りをいれる。

ゲームより重い膝の砕ける感触、硬い。一人目に躓いた二人目はスルー、たたらを踏んだ3人目の喉に突きをいれ、膝下を踏み後ろを振り向かせるように膝だちにさせ腰に差してあった剣を奪い最短で脇下に当てる。

 スルーした二人目は視界の端でピヨ太に制圧されて気絶している。


 ニャ:「動くと死ぬよ。」


 まだ状況が理解できないで抵抗されても面倒なので宣告する。


 ニャ:「ミリアリアさん、フル武装で女性を追い立ててたんで制圧しちゃいましたけど、何なんですかコイツら。」


 ミ:「ふぇ?ぇ?えぇありがとう、ここのところ出勤するのに邪魔されて手に負えないから今日は裏路地を抜けて撒こうとしたんだけど…貴方たちでどうにかなるなら私でもどうにかなったのね。」


 ニャ:「美人なんですから人目の少ないルートは止めて下さい危なすぎます。」


 ピ:「それに二人で不意討ちだからどうにかなったんです。女性が一人で無茶しないで下さい。」


 ミ:「ぇぇ、はい」


 ピ:「ヒト一人なら幾らでも手はあるんですから。」


 そんな会話をしながら3人の装備を剥ぎ取りベルトで後ろ手に縛ってうつ伏せに転がす。


 ニャ:「ピヨ太、ミリアリアさん連れて先にギルドいって救援要請してきてくれ。待ってるから。」


 ピ:「おう、任せとけ。行きますよ。」


 ミ:「はい。ニャンキチさんは一人で…いえ急ぎましょう。」


 走っていく二人を見送ったら、少ないとは言えできはじめた人垣に簡単な説明と逃亡と逃亡幇助の危険性を伝え距離をとってもらう。

 その間も3人から目を離さず待機。

暫くするとギルドからの使いが三人来た。


 ニャ:「あらピヨ太は?」


 救援A:「ピヨ太さんはミリアリアさんに付いています。ギルドで聴取があると思いますので交代しますよ。」


 交代したいのは山々なんだけどレッドマーカー何だよな。

 逃がされるか、殺されるか、ここを受け持ったからにはコイツらも捕まえたいが加減なんか出来そうも無いしな。


 ニャ:「俺の名前かピヨ太のフルネームは?知らない奴にハイそうですかと渡せる仕事じゃないんでね。どっちも知らなければギルドにいって訊いてこい!」


 敵A(元救援A):「おい、行ってこい。アイツが帰って来るまで監視を手伝おう。」


 ニャ:「監視をよりも周囲の警戒を頼む、俺だともうコイツらみたいに手加減できない。」


 敵A:「あ、ああ、わかった。」


 離れていったレッドマーカーは大きく迂回して俺を挟む位置に移動した。完全に黒、はぁ気が重い。


 ニャ:「そこの奴何でギルドに向かってるはずなのにソコにいるんだ?」


 後ろで剣を抜く音を聞き、振り向きざまに剣を握る手に一発、左膝に一発これで一人。

 銃声に驚いたのであろう女性の悲鳴をBGMに一歩踏み込んで来た奴の振り上げた剣を握る手首に一発、踏み込んで軸にしている右膝に一発これで二人目。

 三人目はもう剣の範囲、一歩こちらから踏み込んで左手で振り下ろす剣を持つ手の肘を掴み抑え払い、さらに体を捻るように踏み込み左膝に一発、左肩に銃口を押し付け押し倒しそのまま一発、剣を握る右手を地面に叩き付けて踏み潰し剣を蹴り飛ばして3人目。


 ニャ:「剣道をかじった程度のヤツより大振りで遅いな。」


 剣道有段者の一撃は殺すのに必要なだけの力のみで残りは速度に全振りした上で最小限のモーションで振って来るから動き始めた時には回避が終わってないと連撃が刺さって死ぬ。

 防御とか未経験者が対応出来るのは何度やっても初太刀だけだった。

 対応策はアウトレンジか被弾覚悟でやられる前にやる。


 どさくさに紛れ逃げようとした二人は足の甲に穴を空けたら大人しくなった。

もうちょっとナーシャちゃんがしゃべって二人の掘り下げをする予定でした。


ニャンキチのばか野郎!


ピヨ太めフラグたてるんじゃねーよ!!クエストもらって街の外に出る予定だったのに…


大本の原因を作ったニャンキチが悪いあの野郎!!!

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