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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

【短編】大好きなキミと〇〇したい

【短編】[BL]これからの夏休みは。

作者: 小池りん

夏休み前日。夕日に染まる教室。僕と僕の好きな人の2人きりの空間。


こんな絶好の機会無駄にしちゃダメだ……!


そう思っていると、彼が教室を出て行こうとする。


「んじゃ、またな。」

笑って手を振る姿に見とれていた。

いやいや!こんなことしてる場合じゃない!

早く言わないと行っちゃう……!

早く…言わなくちゃ……!


勇気を出して声を振り絞る。

「ま、待って……!」

そう言うと彼は足を止めて振り返る。


「ん?どした?」


「え、あ…あの…………」

言う言葉は昨日練習したはずなのに、頭の中は真っ白で言葉どころか、声すら上手く出てこない。


「……?どうしたんだよ。」

彼が一歩また一歩と僕に近づく。


「えっと……、その……」

ドキドキしすぎて目が合わせられない。


「…………。」

彼は僕の言葉を待ってくれている。


「何処にも行かないで……。」

やっとの事で出てきた言葉に後悔する。

何言ってんだよ……。


「はぁ?笑 なんだよそれ笑」

苦笑いを浮かべて、その意味を知ろうとしてきた彼にどう説明しようかとまた、頭をフル回転させる。


「…………。」

結局、僕は何も言えなかった。


すると、彼は意外な言葉を口にする。

「明日から夏休みだな。」


「え?」

急になんなんだろう。


「明日から高校生活最後の夏休みが始まるっていうのに、俺は彼女の1人も作れないで幕を開けるのかよぉ〜……。

これじゃあ、今年も例年通り、お前と遊んでグダグダして終わりそうだな」

そう言って口を尖らせる。


「僕は昔からモテないから変わらないけどね……あはは……。」


「そうか?お前モテるイメージあるけど。

あ、そーだ。でもな、俺、昨日告ってきた女の子振ったんだよね。」


「え!?なんでっ!?」

僕は思わず、彼のがっしりした二の腕を鷲掴む。


「だってよ、まずその子のこと俺知らねーし。向こうが一方的に好きになったって仕方ねぇっつーの。」


「…そ、そうだね……。」

”一方的に好きになったって仕方ない”そんな彼の言葉が頭の中で繰り返し鳴り響いた。

彼の腕をきゅっと掴む。


不意に視界が歪んで、僕は俯く。

今…泣いちゃダメだ………


「……。お前は好きな人とかいないの?そういえば、聞いたことねぇよな?」


そりゃそうだよ……!

ずっと前から君が好きなんだもん……。

心の中でそう叫んだ。


「あとな、告ってきた女の子を振った理由もうひとつあんだよ。」


「!?」

びっくりしてつい、顔を上げてしまった。


「俺……好きな人いんだよ。」


「……………え?」

何…言ってんだよ……?


気づいたら口が勝手に動いていた。


「す、好きな人って誰だよっ!?答えろ!」

腕を掴む手に力が入る。


「なんだよ、急に。声でけぇよ。」


「大体、僕だって好きな人くらいいるよ!」


「えっ?」


「そいつは昔からずっと僕の傍にいて、

夏休みなんていつも遊んでて、

そいつの事ならなんでも知ってて…

それで、それで……!」

勢いで沢山のことを話してしまった。


「おまっ…、それって……」

我に返り彼を見ると頬を赤く染めてこちらを見ていた。


もうここまできたら後戻りは出来ない。

「そうだよ。僕は…ずっと前から君のこと……」


「おい。」

突然、今まで聞いたことないくらい低い声が僕の耳に滑り込む。


彼の男らしい声にドキドキしてると

「俺に言わせろ。」

と言って僕を抱き寄せた。


「へっ!?」

驚きすぎて変な声が出た。


「ふふっ、本当、昔からお前は可愛いな。」


「え、ちょっ……!」


「俺も昔からお前のこと好きだったんだからな。」


「え………?」

思考が追いつかない。

信じられない。僕と君が……?


「ほんとに……?嘘じゃない?

でも、女の子と付き合ったり…………」


「あ?あぁ、お前の嫉妬した顔が見たくてな」

彼がクスクスと笑う。


「はぁっ!?意地悪!ばか!あほ!まぬけ!」

腹が立つけど彼のことなら許してしまう。


「言ってろ言ってろ」

彼は変わらず笑顔だ。


「なぁ、今年の夏休みは例年通りにはいかなそうだなぁ?

……2人で色んなことしような。」

彼は僕とおでこをくっつけてニヤニヤしながら言った。


「い、色んなことって……!」


顔を真っ赤にする僕を見て彼は

「んー?なーに、想像してんの?もしかして、いやらしいこと?」

顔を覗き込んでくる。


「う、うるさいっ!」


「図星じゃん。んじゃ、今日は手ぇ繋いで帰ろうか。」

そう言って、彼は強引に僕の手を引いた。




その日の帰り道はすごく恥ずかしかったけど、すごく嬉しかった。


「ねぇ……。改めて、これからもよろしくね。」


「あぁ。よろしくな。」


お互いにぎゅっと手を握って家に帰った。

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