キレイな世界
耳障りな思いやりも
煩わしい体温も
断熱ガラスで他人事
鉄筋コンクリートのハコの中
孤独なため息が生み出した
結露の始末に追われてる
名前を持たない空間が
きっちり塗りつぶされていく
ほんのわずかの隙もなく
不自然に演出された自然と
存在を許されない影
眩しく狭まっていく空
生きた匂いを消し去る霧と
上書きされていく記憶
恵みの雨さえ行き場を失い
アスファルトの上で荒れ狂う
秘密基地を奪われたこども達は
見えない明日へ身を投げる
つるりとキレイなこの世界には
足跡さえも残せない