2話 颯真VSリコリス 前哨戦
タイトル通り、颯真とリコリスの戦いとの前哨戦です。とはいえ一方的にリコリスが吹っかけるだけですが。
あと今回私の地元弁多発で申し訳ないです。
怒涛ともいえる自己紹介が終わって、いくつかの説明が終わった頃には、時計は正午を示していた。1時間もの昼休憩を挿んで続きという事になった。学内カフェテラスの一席では・・・
「ソーマ、どこ行ったんだろう・・・」
「颯兄なら学内コンビニじゃないかな?もうご飯買ったっていう話なら屋上か隠れられそうな場所か、かなぁ?」
「そうだといいんだけど・・・」
明香里とアスティロットが昼食タイムを楽しんでいた。ただ、朝の事もあり、颯真のことを心配しっぱなしなアスティロットを見て、思わず明香里はこう思っていた。もういい加減告白して付き合ってしまえば楽なんじゃないのかなー、と。
「というかさ、ロッテちゃん颯兄のことどう思ってるの?」
「・・・ソーマのこと?」
「そ。ロッテちゃんの行動見てるとさ、こっちがもうなんて言うかやきもきするっていうか・・・んー・・・なんて言ったらいいんだろ」
「・・・?」
何が言いたいんだろと首を傾げ、明香里の言葉を待つ。その際カフェオレを一口飲んだ・・・その時だった。
「もうぶっちゃけていうけどさ、ロッテちゃん颯兄に告って付き合っちゃえって話なんだよ!」
「ぶふぅーっ!?」
アスティロットは含んでいたカフェオレを偶然グラスの中に向けて吹き出してしまっていた。
一方その頃の颯真はというと・・・
「さすが屋上、静かに飯が食えるよ・・・」
明香里の読み通り、屋上にいた。片手にはカップ焼きそば(湯切り済み)、腕に下げた袋にはお茶などが入っていた。
「教室だろうがカフェテリアだろうがどこに行っても好奇の視線ってのもなぁ・・・」
屋上の一角に座り込んだ颯真は、ベリッと内蓋を剥がし、焼きそばをすすり始めた。液体ソースだったため、全体的にソースが絡む。
(・・・うめぇ)
一人静かに昼食タイムと洒落込んでいたその時だった。
「ここにいたのね」
誰もいないと思っていた屋上に、声が聞こえたのだ。颯真が来たときには全くしなかった、女子の声。
「ベルスレット、だったか?」
「あんたに用があって探してたのよ」
リコリスの言葉に、内心だろうなと思っている颯真。そうでなければ自分を探しはしないだろうと。
「今日の説明会終了後・・・遅くても明日!私と戦いなさい!」
「えー・・・」
いきなり戦えと言われ、颯真はうんざりしていた。実は颯真は元々ランク4だという事を隠したいと思っているくらい戦うのを拒んでいたのだ。
「いい、これは決定事項よ!拒んだり逃げたりしたらあんたをずっと奴隷として扱ってやるから覚悟しなさい!」
「・・・なんでそんなたわけらしいこと(意:馬鹿らしいこと)ぬかすかね・・・」
「た、たわけ?ぬか、す?」
(あ、やべ。つい地元弁出しちまった)
突然颯真の口から出た方言にきょとんとするリコリス。そんなリコリスを放置して、颯真は再び焼きそばをすすりだした。
「早くせにゃ昼休み終わるぞ」
「・・・う、うるさい!」
そう言ってリコリスは屋上と校内を繋ぐドアへと歩き、ドアの前で身を翻して叫んだ。
「第3グラウンドで待ってるわよ、いい!?」
そう言ってバタン、と勢いよくドアを閉めた。
「まーためんどいことになった・・・」
颯真は頭をバリバリ掻いて教室へと戻りだした。無論、昼飯を食べ終えておりゴミはきちんと捨てていた。
「はあぁっ!?いきなしバトルぅ!?」
教室に戻り、明香里とアスティロットは颯真からリコリスとの決闘を聞かされ、明香里が盛大に叫んだ。
「しょ、初日から決闘とか・・・颯兄おまん何おそがい事考えとるん!?(意:颯兄あんた何恐ろしいこと考えてるの!?)」
「あっちからこっちの意見ガン無視で勝手に決められてんだ、おそがいも何もあらすか!(意:怖いも何もあるか!)」
「え、えっと、ふ、2人とも?」
完全に地元弁で言い合いを始める兄妹に、アスティロットだけは置いてけぼりを食らうだけ。
「拒否権ない状態でちょちょめいて勝負ほかるとかそんなとろくさいことできすか!(意:拒否権ない状態で慌てふためいて勝負捨てるとかそんな意気地ないことできるか!)」
「うぐぅ・・・」
「え、えっとね?ま、周りもぽかーんとしてるからさ・・・」
『え?』
アスティロットに言われ、初めて周りの状態に気付いた兄妹。地元弁で話す2人に周りは完全に呆然としていた。
「ね?」
「・・・あー」
「失礼しましたー・・・」
諭すように「ね?」といったアスティロットの前で、感覚的に小さくなる2人であった。
次回はまだ戦いません。というか逃げる颯真を睨むリコリスの図です。