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10話 襲撃予測と十指王

タイトルが穏やかじゃないですが、これ今後のネタバレだったりそうでなかったり。


そして最後・・・おっとここから先は本編で。

「全校集会めんどくせぇ」



開口一番、颯真は誰に言うでもなく呟いていた。今丁度行われている全校集会が面倒だ、というだけ。



「なんでも今後のことについて十指王テン・ナンバーズのトップから話があるらしいわよ?」

「・・・てん、なんだって?」



颯真がそう言った瞬間、リコリスは唖然とした顔を見せる。



「少し前に説明あったじゃない!十指王!」

「寝てた」

「んにゃっ!?」



猫のような素っ頓狂な声を出すリコリスすら意に介さず気怠そうに立つ颯真。



「十指王だか何だか知らねぇけど校内放送で宣言とかすりゃ済む話じゃないのかよ・・・」

「なんでも例年通りある『事』についての話らしいわ」



「『事』、ねぇ?」と興味なさげに返す颯真に、リコリスはこりゃダメだと頭を横に振るしかなかったのだった。その直後、生徒たちの前、演説台のようなものに1人の女子生徒が立った。



「綺麗な人」

「・・・何がどういった基準?」

「あんたに同意を求めた私がバカだったと痛感したわ」



リコリスが完全に頭を垂れた時、女子生徒は口を開いた。



〈皆さん、おはようございます。・・・そして、1年生の皆さんには初めまして、ですね〉



金髪ブロンドヘアが映える女子生徒は、喋り慣れているように話し始める。



〈1年生の皆さんのために、まずは自己紹介をさせてください。私は2年C組、園部学園十指王序列1位のアリスベル・ディフェルドールです〉



女子生徒、アリスベルが名乗った瞬間、1年生は当然ざわめきだす。目の前に園部学園最強の存在がいる、それだけで騒然となるのは当たり前だった。



〈今回の全校集会は、私の発案で開催させていただきました。・・・昨年、いえ、何年・・・何十年も続いていると聞いている時期が間もなく訪れると予測がついたからです〉



アリスベルの言葉に1年生はなんじゃそりゃと首を傾げる物ばかりだったが、2年・3年の生徒は一瞬で雰囲気を固いものとした。



「何年何十年と続いていることってなんなのかしら?」

「・・・さぁ?少なくとも穏やかじゃないことは間違いないだろうよ」



颯真がそう呟いた時、アリスベルは続けて口を開いた。



〈この時期・・・昨年、私が園部学園に入学した時にもそれは起きました。・・・紫皇学園による、生徒の拉致・洗脳が〉



その言葉で、講堂が静まり返った。紫皇学園、その名前だけでもそれがどれほどのものなのかがはっきりと理解できたためだ。



〈昨年は諸先輩方の奮戦により、園部学園は誰一人として欠けることはありませんでした。しかし、一人として無傷だった、というわけでもなく・・・〉



「・・・そんなことって」

「あるからこうして話をしてるんじゃねぇの?俺の進学が大体こういう関係だと判った時点で何校か来てたが・・・そんなかにも紫皇あったな確か。蹴ったけど」



あっけらかんと言い放った颯真に、リコリスは口を開けるしかなかった。



〈今年は所謂ルーキーイヤー・・・各校とも優秀な新入生が入っています。・・・が、紫皇はその優秀な新入生を狙っています〉



アリスベルの言う『ルーキーイヤー』。園部に限って言えば颯真やリコリスに禮華(あと公表されていないがアスティロット)と、強い新入生と言われる存在は多い。が、それは他所も同じ・・・しかし。



〈噂ですが、今年の紫皇には非常に強い1年生が入学した、と。聞くところでは既に学内総序列2位の座を己がものにしたと〉



入学してまだ1月も経たぬうちに学内序列2位・・・その言葉に全員が戦慄を覚えた。・・・否、一人だけ例外がいた。



「・・・序列2位、ねぇ?」

「・・・あんた、本気で言ってんの!?」

「・・・ただ他人事だよ」



ただただ何も考えてねぇ、と言わんばかりの態度を取り続ける颯真に、リコリスは「もぅ」と言うしかないのだった。

































そしてアリスベルの話は終わりに近づいていた。



〈・・・予め宣言しておきますが、紫皇の序列1位が来た場合、間違いなく私は負けるでしょう。・・・序列2位もどうなるかは分かりません。ですが〉



一拍置いて開いた口からは、彼女の決意を秘めた言葉が告げられた。



〈私はこの学園の序列1位として、十指王の長として、この学園にいる全ての学生を守ります。例え、私の命が尽きようとも〉



その言葉を以て話を終え壇上を去るアリスベルに、拍手が送られていた。



「・・・命を捨ててでも、か。命捨てちまったら守れるもんも守れねぇだろうが・・・たわけらしい」



1人、颯真だけがそう言い捨てていた。隣のリコリスにすら聞こえない声で・・・

































その同刻・・・



「・・・あら、何かしら」



屋上で外を眺めながら座る女生徒は不意に鳴動した端末に目を通した。



「・・・ふぅん、来週水曜に『園部学園より勧誘を行う』、ね。どうせ勧誘なんて言葉じゃ生易しいことするのに」



女生徒は端末画面をスライドしていく。その内、ターゲットとなる生徒のリストが表示された。



「・・・リコリス・ベルスレット・・・スカーレット家の第1分家のご令嬢。獄炎の別名を持ち、『災禍の炎剣』を顕現する・・・。次は・・・あら」



女生徒は2人目のリストを見て思わず動きを止めた。



「・・・颯真、あなたがターゲットになるなんて・・・皮肉なものね」



女生徒は端末をスリープさせる。直後、真下から男の声が2つ聞こえた。そこへ女生徒は音もなくひらりと飛び降りる。



「先輩、1つ聞きたいことがあるのだけれど?」

「あぁ?何・・・に、二楷堂にかいどう!?」

「は、ぁ!?い、一体、なんだよ、何が聞きたいんだよ!?」



二楷堂と呼ばれた少女は自分の年上相手に臆することなく言葉を続けた。



「『他校への勧誘』前に集会か何かするとしたら、何所でするのかしら?」

「た、体育館だ」

「そう。ありがとう」



女生徒はそう言って踵を返して階下へと消えた。



「・・・そ、その場にいただけなのに隙が無いくせして殺気だけは半端ねぇ・・・」

「・・・さすが紫皇の序列2位、二楷堂哭夜にかいどうこくや・・・あれで女かよ、信じられねぇ」

































そして同日放課後。



「勇士諸君には今回端末にて報せたとおり、園部への勧誘を担当してもらう。ターゲットは2人だ。・・・あぁ、それ以外の連中は好きにしても構わない」



壇上に立つ男子生徒の言葉に、その場にいた生徒は歓声を上げた。ターゲット以外は好きにしていい・・・言いかえればその人間以外に対する生死は自分が権利を持つ、と言われたようなものだから。そんな声で色めきだっているところに、唐突に体育館の戸が開かれる。



「今回のその勧誘、私も付き添い程度で行ってもいいかしら?」



男子生徒の野太い歓声が響く中にも透き通るように響いたその声に、全員が凍りついたように相手を見た。



「・・・なんで二楷堂哭夜がここに来てるんだよ・・・!?」

「高位序列にはこの話が来ても参加しないのが決まりだろ・・・!?」



その女生徒・・・哭夜は壇上に立つ男子生徒の元へと歩み寄る。当然余計な手出しができない男子生徒は海割りの如く道を開けた。



「・・・しかし、序列2位が参加するほどのことじゃ」

「だから付き添い程度で、と言っているのよ。別に手を出すわけでもないし、指示を出すわけでもない。ちょっと興味のある相手がいる。ただそれだけ」



ふふっ、と気品のある笑いで〆た哭夜に、壇上の男子生徒は首を縦に振るしかなかった。哭夜としては脅しているつもりはないのだが、そうでもない面々からすれば、恐怖そのものである。



「ふふっ、ありがと。その日は先行して行かせてもらうから気にしないで。その代り・・・









































































私の邪魔をしたなら例え同胞、仲間だとしても容赦しないから覚悟しなさい」















































































哭夜が去った後には静寂しか残っていなかった。下手に手を出して哭夜の邪魔になった場合、間違いなく始末される。その考えが全員を支配していたのだった。

































そして体育館を去った哭夜はと言うと・・・



「・・・まさかあなたがターゲットにされるなんて。初めて会って別れるまでは魔術の才能なんて微塵も無いって周りから言われてたのに。なのに・・・やっぱり私の予想を超えてきたのね」



1人呟きながら廊下を歩いていた。誰もいないのでその独り言は誰の耳にも届かない。同一でない色の目を閉じ続けて呟いた。



「叶うなら私と一緒に此方側に来てほしいわ。










































































・・・颯真。私の愛しい人」

今回中盤から出てきました新キャラ、二楷堂哭夜。彼女はいったいどんな人物なのか(判っているのはかなり強いことだけ)、颯真の関係は何なのか(颯真を愛していると言っているが・・・?)。


次回、十指王トップ・アリスベルが動きます。

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