4話 仲良し3人娘
少し難産。
やはり一気に書ききるのが大事だなと実感。
結局私はそのまま美化委員となった。
誰かやる人がいるのかと思われた生徒会庶務は、うちのクラスのこれまたキラキラしい人が立候補しそのまま就任した。
どうやら中学の頃からやっていたようだ。無口っぽい顔立ちをしているがあれはむっつりな弄りキャラとみた。合っているかどうかは知らない。
昨日から授業も始まったが何とか付いてこれている。
付属中学の復習からやっているようだが、私の中学ではやっていなかった範囲だったので、事前にある程度予習をしていた自分に感謝した。流石私、偉い。
成績トップのクラスなだけあり、皆気楽に受けている様子が伺える。
私も予習していたから結構楽に聞けるが、予習していなかったら辛かっただろう。皆すごい。
先生もなかなか個性的な先生が多くて授業が面白い。
むちゃくちゃ綺麗な先生がいると思ったらオネェだったりもした。流石私立半端ない。
昨日は授業は4時間だけだったが、今日から6時間。平常授業だ。
昼休みには委員会の集まりもあるし、初めての移動教室もある。迷わないか非常に不安です。誰か連れて行ってくれないかなあ。
「間宮ー」
「何?」
そんなことを考えながら休み時間にぼーっとしていると、後ろの席の光本君が話しかけてきた。
一昨日くらいにもこんなことあったな。
「次移動教室だけど、場所分かる?」
「えっと…特別棟3階の特別教室2、だっけ」
「そうそう」
「多分…」
うん、多分。階段から左に曲がって3つ目の教室…だよね。
よし、覚えてる。流石私。
「階段から出て右に曲がって4つ目の教室だよ。大丈夫?」
なん…だと……。
「…ダメだった」
全然違ったよ。あれー?
自信満々で流石私とか思っちゃった私、馬鹿みたいじゃないですかやだー。
え?実際馬鹿だって?やかましいわ。
「多分だけど、視聴覚室2と間違えたんだと思う。そっちは左に曲がって3つ目だから…」
「紛らわしい…」
おぉう…。紛らわしいなおい。
広すぎるのも問題だね…。
「間宮さん、間宮さん」
「ん?」
地味にショックを受けていると、前に女の子が3人いた。
自己紹介の時に見た覚えのある子たちばかりなので、うちのクラスの女子だろう。
「良かったら一緒に行かない?」
「一度行けば分かると思うし!」
「案内するよ~」
おぉ…親切だ。
浅井ゆうき君といい光本君といい彼女たちといい、優しい人が多いクラスだなあ。
「ありがとう…助かる」
「いえいえ!」
「ついでに他の移動の時の教室も説明するから、早く行っちゃお」
「行こ行こ~」
彼女たちは女神なのかもしれない。
真剣にそんなことを思いつつ、ノートと筆記用具を持って席を立つ。教科書は最初の授業で配られるのでまだ持っていないのだ。
「おまたせ」
「いえいえ、じゃあ行こっか」
「しゅっぱーつ!」
「れっつご~」
「よろしくお願いします」
それ、3人とも言ってること一緒だけどいいのか。いや、いいなら良いんだけども。
「そうだ」
忘れてた。私まだ、この子たちの名前知らない。
「どうかした?」
「間宮柚子と言います。よろしくね」
歩きながらぺこりと頭を下げる。礼儀は大事です。
昔から私の周りにいたのは礼儀?なにそれ美味しいの?っていう人ばかりだったから、本当にそう思う。
反面教師ってやつだね。
「あっ、そうだね。私は神楽唯、よろしくね?」
「三枝友美だよ、よろしくっ!」
「山中紗英だよ~」
神楽さんに、三枝さんに、山中さんね。おっけー覚えた。多分。
「間宮さんって、何ていう中学から来たの?」
「遠いから知らないと思うよ」
「私たちが知らないほど遠いところから来た…ですって……!」
「ともちゃん、近くても知らないでしょ~」
「にゃは、バレたかー」
「私たちは中学からずっとここだからね、公立の中学はあんま知らないんだ」
なるほど。確かに私立と公立だと、近所にあっても部活の練習試合でもなきゃ交流はなさそうだ。
こくこくと頷きながら納得する。
しかし三枝さんはテンション高いな。おっとりしてそうな山中さんがツッコミというのも意外だけど、ああいうタイプは溜め込む分鋭かったり怒ると怖かったりする人が多いからなあ。
「とうちゃーく」
「ぱちぱちぱちぱちー!」
「ここが視聴覚室2だよ~」
「で、斜め奥の教室が明日の3限で使う教室ね」
「覚えておくよーに!」
「忘れてもまた案内してあげるから大丈夫だよ~」
「ん、ありがとう。大丈夫、覚えた」
どうやら体育以外の移動教室は特別棟に固まっているみたいだ。
2階には美術室や書道室、4階には音楽室があるとか。行くのは授業の時でいいかな。
ちなみに1階はまるまるカフェテリアで、全校生徒が座れるくらいの椅子はあるらしい。相席することは少ないから実際に座ってみるとどうしてもあぶれる人が出るようだけど。
教室では彼女たちと一緒に座って親睦を深め、あわよくば友達になろうと思っていたのだが、あいにく席順は固定だった。
結局離れ離れである。おのれ先生め。
登場した名前が多くなってきました。
再登場するかどうかは不明。