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プロローグ

連載しても絶対続かないと思ったのについ始めてしまいました。

続かなかったらごめんなさい。

誤字脱字等ありましたらやんわりとご指摘お願いします。

あの子が大嫌いだった。

でもそれ以上に、周りの人間が大嫌いだった。



だから、逃げた――――




***




生まれた時から一緒だった。

同じ病院で同じ日に生まれ、同じマンションに住んでいて親が勤めている会社も同じで。

同じ保育園、同じ小学校、同じ中学校。住んでいた街は都会の片隅で、少子化問題を体現しているかのようにクラス数は多くて2クラスだったから、全部同じクラスだった。


親の仕事はいつも忙しそうだったため、私たちはどちらかの家に預けられることが多かった。

預けられる家は交互だったし同期で同僚で同じ部署だと聞いていたから、互いの仕事を交互に請け負う形を取っていたんだと思う。


育った環境はこんなに同じものだらけなのに、私とあの子は全く違う存在だった。

あの子はふわふわの髪で、ふわふわの服が似合って、ふわふわな言葉を話す。

なのに勉強も運動もできて、頭の回転も早くて、どんなことにも臨機応変に対応できる。


比べて私はふわふわでもなければストレートでもないうねった髪に、パッとしない人ごみに埋没するような服を着て、可愛くないことばかり話す。

勉強はそこそこ出来たけれど運動は全く出来ず、頭の回転も遅くて、咄嗟の事態には固まってしまう。


これじゃあ比較されて劣ってるという烙印を押されて当然だ。




だからと言って、実の親からも蔑むような目を向けられて、傷つかない理由にはならない。

幼い頃からいつも比べられて、落胆されて、あげく軽蔑されて、どうしてグレずにいられようか。


結果、見事なヒネクレ者が誕生した。



そんなヒネクレ者は小学校までであの子と一緒にいるのにウンザリし中学受験を願い出たのだが、そんな余裕はないと却下された。

あの子もしないんだからあんたもしなくていいでしょという余計な一言までつけて断られた。


あの子と同じが一番良いというスタンスは全く気に食わなかったが、金銭的な問題ならば仕方がないと我慢した。



そして迎えた高校受験。

あの子にも親にもギリギリまで受験校を偽り、信頼できる先生にだけ本当に行きたい学校を話した。

先生にはせめて親には話しなさいと言われたが、私の三者面談なのにあの子の自慢話をするために私を散々貶める親に唖然として、隠していることには何も言わなくなった。

ついでにもし反対されたら説得に協力してやるとまで言われた。万歳。

児童相談所に行こうとまで言われた時は驚いたが、丁重にお断りした。もうすぐ高校生だしね。

私を気遣ってくれるその気持ちだけで嬉しかった。



そんなこんなな裏工作のお陰で、親には最後まで反対されたが、見事あの子と違う学校に合格した。

あの子には最後まで何も話さなかったし今も言っていない。高校に入ってから驚け。けけけ。

しかも1,2年生時は片道3時間かかるような学校だったので、一人暮らしの許可までもぎ取った。万歳。


その高校は有名私立大学の付属校で、大学のように学年によって通う校舎が変わる。

3年生が通う一番近い校舎しか親には知らせず、また親も私が通いたいという学校自体には大した興味もなかったためにバレなかった。

親にとって大事なのは私があの子と同じ学校に通うことなのだ。そうすれば私があの子みたいになるといつまでも信じている。あの子のような子供が欲しかったから。



一人で部屋を探し親に必要な書類とハンコと署名をもらって、春休み中に引越しを終えた。

恐らく親は私がどこに住んでいるのか知らない。あの子に教えられないように、聞かれなかったのをいいことに教えてないし書類も持ってきた。

引越しに必要な書類の中に携帯の解約と新しい携帯の契約のための書類を紛れ込ませたが、気付かれることなく署名してくれた。新しい携帯を得るのに必要なお金はこの時のために貯めておいた貯金から出した。

あの子のメアドと電話番号は着信拒否して、誘われて作ったSNSのアカウントも全部消した。

新しいメアドも電話番号も住所も、先生一人以外誰にも教えていない。





春休みも終わり、新しい街にも一人暮らしにもようやく慣れてきたところだ。

ご近所さんは親切で、あの子を知らないから私を一個人として見てくれる。

都会なのに優しいこの街が早くも好きになった。







待ちに待った入学式の日。


念のため集合時間の30分ほど前に着くように家を出て、歩いて15分先の学校に向かう。

近すぎず遠すぎないこの距離が気に入っている。

朝寝坊した時も安心だからね。



学校に向かうまでには商店街がある。

ここに越してきてから何度もお世話になっているし、これからもお世話になる予定だ。

知り合いも出来たし、皆さん親切にしてくれる。ここで買い物するとおまけでがっぽがっぽなのだ。え?なんか違う?


商店街の人たちに挨拶をしながら学校へ向かうと、段々同じ制服の人が増えてきた。

友人と登校している人が大半で、私のように一人で登校している人は少ない。

私の通う学校は中学からあって、高校から入る生徒――いわゆる高入生――の数は少ないからだろう。

となると一人でいるのが高入生かな?あぁでも、登下校は一人の方がいいという人もいるし、たまたま友達が休みとか寝坊したとかもあるだろうし、一概にそうとは言えないよね。



友達、出来るといいなあ。

都会は冷たいという偏見の元作成しております。お気に障られた方がいましたら申し訳ありません。

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