7、心に決めた事
面倒極まりない。勉強合宿が、ではなく。うるさい同級生が。ついでに勉強(強調)合宿なのに二泊三日にワクワクして落ち着きない雰囲気が。
「理音さん!一緒にお昼食べましょうね!」
「天亜うるさい。食べないから」
「えぇ!?そんな事言わないで一緒に食べましょうよ!」
ぎゅうぎゅう抱き付いてくる天亜を引き剥がし、なんとなく携帯を見る。するとチカチカと光っていたので確認する。
それは立斗からのメールで、内容はダークの動きが感知出来なくなったとの事。感知出来なくなったというのはダークの動きが目立たなくなったという意味。
「つまり何か企んでる確率が更に高くなったって事か…」
まだ疑っていたのか、と思われるだろうがこれはダークとの関係はそれほど慎重にしなければならない、という風に解釈できる。
奏はどうなんだろう、と思いメールを打って送っておく。
「お仕事っすか?」
「……天亜には関係ないよ。てかアンタ成績ヤバいんだからちゃんと授業受けなよ?」
「はいぃ…」
関係ないという言葉に自分でも少し棘を感じあわてて話題を変えた。ちらり、と窓の外を見ると勉強合宿には必要なさそうな青空が広がっていた。のどかで、戦争が起こるかも、なんて考えを消し去ってくれる程の壮大さ。
「…もし起きたら…この空も汚れるのかね」
ぽつり、と零したその言葉に自分が思った以上に戦争について敏感になっているのがうかがえた。これじゃあ、影乃の事言えないや。と思い少し笑う。
「理音さん?大丈夫っすか?」
「…んー?何で?」
「余計なお世話だと思うンすけど、ちょっと具合悪そうっていうか…ぼーっとしてるっていうか…」
もし戦争になったら、この心配そうな顔して自分を見てくる煩い同級生はどうなるだろうか。いつもへらへら笑っているこの顔は果たして笑顔のままだろうか。
天亜だけじゃない。今この場所に居る人達は無事なのだろうか。恐怖に涙し、場合によれば戦闘に巻き込まれ死する者が出てくるかもしれない。兵器がどういう物かは知らないが、ダークは気性が激しい者が多いと聞く。きっと大砲並の破壊力を持ったモノを遠慮なくぶっ放してくるだろう。過去の文献で得た知識によれば昔シャインとダークの戦争に巻き込まれて死に至った者は何千万人だと記憶している。
「…守らないと、ね」
「え?」
「何でもない」
聞き取れなかったらしい天亜がもう一回言って下さい!とせがんでくるが無視してまた空を見上げる。きっとダークの誰か一人くらいこの空を見ているだろう。だから、そのダークに向かって心の中で言う。
(来るなら来い。返り討ちにしてやる)
今回めちゃくちゃ短いですね…
しかもこれで合宿終わりという……短過ぎて自分でも驚いてます