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Fade  作者: 蒼瀬尊
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3、会議開始

「んと…じゃあまず何か報告がある人いる?」




 理音がそう言うと影乃と頼斗は奏を見た。彼女は4人の中で一番諜報活動が得意なため報告があるとすればだいたいは奏だ。




「んー…微妙…」


「微妙?」


「一応、あるにはあるんだけど…言う程の事かはまだわからない。と、いうのもまだうっすらとしか掴めてないから勘違いとかガセの可能性があるかもしれないから」




 もし、その情報を言って嘘だったら空回りするだけだし、変に過敏になってしまうだけだ。本当だったらいいが情報というのは信じすぎると危ない。




「じゃ、それは後ででいいや。本部、上層部からとある情報が来てるんだけど…それに繋がったら言うって方向で」


「ん。で、情報って?」




 本部、とは理音達が所属している軍隊の本部の事だ。上層部というのは政府に造られたアドック関係の情報を管理したり、アドックでしか解決できない異変などの解決を本部に命令を出したりという組織。




「"ダーク"に動きが見られるとの事」




 その言葉で3人の顔が引き締まる。

 クリスタルには2つ、種類がある。一つ目は理音達が持っているシャインクリスタル。もう一つはダーククリスタル。シャインクリスタルは光を創ったとされる女神の力が入ったクリスタルの事。

 もう一つのダーククリスタルは闇を創ったとされる悪魔の血が入ったクリスタル。一般的にアドックと呼ばれているのはシャインクリスタル保持者で、ダークの所持者はシャインの半分以下だ。

 そして、シャインとダークは敵対関係にある。ダークは遥か昔、とある特殊能力を持った者の力を使いシャインクリスタル保持者を殲滅しようとした。それを阻止するためシャインとダークは戦争になり、なんとか勝利したシャインだがその被害は少なくなかった。両方のクリスタル保持者が傷を負い、命を落とした者もいた。

 そのため、シャインはダークに対して怨念を抱きダークを見ただけで殺す、という行動を繰り返していた。その行動は正直、どうにかしていたと思う。確かに自分たちからふっかけた戦争だがやり過ぎだという事でダークもシャインに怨念を抱き始めた。そしてその関係がずるずると続き今に至る、というわけだ。

 現在はダークは外国のどこかに拠点を置き、裏の世界で生きている。




「ダーク……どんな動きなの?」


「まだ詳しい事はわかってない。けど、ダークを監視していたシャインの隠密部隊との連絡が途絶えたそう」


「…それって…近いうちに戦争になるって事…?」




 影乃が恐る恐る聞く。肯定も否定もできない。恐らく隠密部隊はダークに消されたのだろう。この行動ははダークがシャインに対し戦争を持ちかけたともとれる。




「…かも、ね」


「……っ」




 正直に答えると影乃の表情が恐怖に満ちる。だが彼もアドック特殊部隊の隊員。もし戦争になったら彼にも戦ってもらわなければならないのでここで宥めて甘えさせるわけにはいかない。

 そう思いその表情は見なかった事にして話題を変える。




「で、こういう話はいつも飛びつくメロ、どうしたの?やけに静かだね」


「メロ言うな。……ねぇ。あたしが入手した情報、聞きたい?」




 やけに含みのある言い方だ。これは、そういう事なのだろう。




「うん…」




 頼斗が頷き、理音も頷くが影乃は黙ったまま。だが2人が肯定しているし、黙ったままだが影乃も聞きたいという空気を出したため、口を開く。




「あたしが直々に手に入れた情報はダークらしき者が何やら兵器を開発している様子、というの。あ、あとこれはウワサなんだけど…世界のあちこちの王立、国立図書館にダークの姿があるって。…何か企んでるのは間違いないかも」


「…はあ、最悪。ってもう少し話たいけど時間ないし、とりあえず今後の活動について話すよ」


「了解」


「まず、カナデは引き続き諜報活動を続けて。バレない程度に範囲も拡大して。できれば関西の…特に京都と三重を重点的に。頼斗はその手伝いと…あんたは本の虫だし、図書館にでも行ってとにかくクリスタルについての文献をひたすら読み漁れ。間違ってもダークとの接触はしないように」


「「はい」」


「影乃は…特にする事ないから今から私と定例会議に出席」


「…は?」




 自分も何か役に立ちたい、そう思っていた矢先、これだ。する事ないと言われしかも一番嫌な定例会議に出席の命。絶対に嫌だ。定例会議に出たくないから今日の会議に出たのに。




「否定の言葉は受け取らないから。じゃ、行くよ」


「え、ちょっと…!」


「定例会議は3時からだし…急ぐよ」


「人の話聞けよ!理音!」




 首根っこを掴まれずるずると出口に向かわされる。二人を見たらもうダークについての作戦会議を始めていた。チッと舌打ちをしながら今回は特別に許してやると心に思った。

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