冒険者? ああ、奴らは使い捨ての損害保険だ。
部屋に愛人の1人が入り、警備のオートマトン達の前を通る。かつて失われた技術で作られた警備のオートマトン達。こいつらは精巧な真鍮の番人。誰一人として喋らず、ただ目の前を歩く者を圧倒しながら見送っている。こいつらは文句も言わないし、ストライキもしない。まさに最高の奴隷だ。だが完璧な奴隷ではない。燃料の請求で、この俺に反抗してくる。しかし加減をしらぬのも偶に傷だがな。
デスクを挟み目の前まできた愛人。彼女はまるで森の陽だまりから生まれた綿毛の精霊のようなエルフの女だ。エルフも一種の精霊だが、細かい事はどうでもいい。こいつは俺のお気に入りの1つ。至上の甘美と陶酔を誘うように発するその香りは、もう1人の俺をこれでもか、これでもかと激しく刺激してくる。俺の最近の悩みと言えば腰痛だ。
シャチョウ。この双山を制した容姿から発せられる片言は、いつ聞いても堪らんし飽きない。そそられる。そそられ続ける。ああ、今朝の小鳥のような可愛い鳴き声をもう一度聞きたくなってきた。腰とは相談するまでもないか。
昨日の報告書です。デスクに置かれた報告書。メイベルがそわそわと俺が報告書を見ようとせず、じっとメイベルの体を眺め続けているのを恥ずかしいがっているようだ。白く透き通るような肌をした頬を赤らめている
あの//シャチョウ。
もたれかかった椅子から重い腰を離し、報告書を手に取る。再度深く椅子に背を預け、鼻から溜め息を吐きながら報告書を開く。
昨日は37名死亡。8名重傷。4名行方不明か。清く死ねばいいものを。役立たずの癖に面倒ばかり増やす連中だ。また大勢、失われてしまったな。この悲劇が止む事はないか。
シャチョウのせいではありません。
いいや、私のせいだ。私が彼らを死地へと追いやってしまっているんだ。いくら平和の為、神の用意なされた試練だとしても、私は決して無実という訳ではない。
彼らは自ら赴くと決めたんです。彼らは……彼らはとても勇敢でした。私達にできるのは、彼らの望んだ平和を愛し、彼らを忘れない事です。シャチョウが仰られたように。
ああ、だが奴らは使い捨ての損害保険だ。
ソンガイホケン?
神への神聖なみことばだよ。
さすが敬虔なシャチョウです♡
やれやれすぐ真に受ける。鳴くしか価値のない脳無し女め。彼らは勇敢な戦士だった。また盛大な慰霊祭を上げ、彼らの魂を弔わねばならない。
彼らの魂も、きっと安らぎを見つけられるはずです。
ああ、そうなるといいな。
by 悪い子にしてたら、サンタが来ない代わりに税務署が来た




