ハマナスは大輪の薔薇となり海辺の朝顔は青に染まる
灯を落としてキャンドルの炎が揺れる中
お決まりのスローナンバー
ある者はピッタリと
ある者は手探りで
自分たちのピースを埋めていく
ややもすれば宵闇にまぎれ
溶けて希釈される人陰たちの中で
ひときわ目を惹く
白い薄手のガウンの中の
色鮮やかなビキニ
その上を
ハニーブラウンのロングウェーブが
蠱惑的に零れている
そして彼女は
男の肩を手で舐めながら
曲に合わせ
髪と一緒に
ゆっくり揺れる
曲のゆりかごのなかで
彼女は徐々にオジギソウとなり
髪を
そしてビキニの先を
男の胸になじませてゆく
どこかの唄のような
こんな光景が
私の目の前で繰り広げられるなんて!
思いもよらなかった
目の前のマリブサーフのコリンズグラスに残された
ピンクフレイズのキス
花束を持ち去られた花瓶の中に残されるのは
涙の水ばかり
水揚げされた花束の
露わになった切り口から
溢れる蜜が差される
その相手は
もう私ではない
私は女だから
愛しい貴女を
男から奪い取る事はしない
やってはいけない
私は女だから
今宵 独り寝の枕を
涙で濡らそう
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