Flashback - 18/05/2047 - / 転換期 - 2047/05/18 - / Sanatorium - 18/05/2047 - √C『能力を発動して確認した』
私は彼女かどうか確認することにした。彼女ならばこの場にいる可能性も無くはない。早鐘のように心臓が脈打つ。落ち着け、落ち着くんだ。慎重に彼女に近づく。30秒という時間で私が確認して離脱するまでに必要な距離まではまだ遠い。私はゆっくり足音を立てないように近づく。残り5m。今だ、時間を停止する。右手で音を鳴らす。世界がモノクロになりゆっくり歩いて彼女の顔を確認する。やはりというかなんというか、やはり彼女は佐々木葵その人であった。無邪気な笑みを見せ、世界が停止しているがなんとも見られているかのように不気味に感じてしまう。
「そろそろ離脱しないと」
私は逃げるようにその場から離脱しようとする。
「な……んで……?」
私は転んだわけでもない。寝不足等の体調不良でもない。誰かに足を引っかけられたわけでもないのに倒れこむ。足元をみると壊死していた。
「ヒッッ!」
思わず声が出てしまう。切断されたとかならばまだいい。でも、壊死ということはそれすなわち……
「また逢えたね。お姉ちゃん?」
彼女は怪しく私に微笑む。あぁ……私は…………間違えた………。感染は拡大する。廊下から学校全体へ。学校から市、国、そして世界へ。一か月もしないうちに世界中が彼女の支配下に堕ちた。
私は『代行者』だから。この世界は切り捨てる。最後の人は私………いや、もう誰も居ない。
「『世界』の抑止力か。それとも『人類』という種か?」
誰も居ないと思ったが一人居た。まぁ、生き残るとしたらコイツだろう。
「その答えはどちらでもあるが今回は『人類』だ」
「そうか。今回の仕事は遂行不可能だな。アイツを殺そうが何の意味もない。アンタの能力でもこの惨状は修復不可能だ」
「そうだな。だから次は上手くやるさ」
当たり前の事実を並べるソイツを背に歩き出す。他の可能性を目指して歩み続ける。それが代行者の責務だから。
Bad end
ダメですよ。彼女相手ならば慎重にいくのは正解でありながら不正解でもあります。最善は疑わしきは行動せよです。