Abilities - 27/09/2047 - / ネゲントロピー
どうも、スバルです。最近、私服としてとあるキャラのコスプレ衣装をゲットしました。そのキャラの服装は変じゃない格好ですので割と外で出歩いても知っている人からすればあ、あのキャラだ。ってなるくらいなものですかね。持っているものに加えて上着とネクタイ足しただけですし。ただ、私にはこのキャラの本領発揮……みたいなことは出来ません。あの華奢な体で100kgなんて持ち上げれませんよ。片手で二の腕を掴める私の貧弱な身体にはできません。……ってか、あのレールガンなんでビームになるの?
27/09/2047
海外での修学旅行を終えた私たちに待ち受けていたのは疲労だった。この一週間、割と濃いものであった。大きな収穫と言えばそうだが、賭けたものの大きさでよく考えると狂気じみた行動をしているようにしか思えない行動ばかりしていた。正直、アドレナリンがドバドバ状態でなければあんな作戦思いつかないだろう。
「本当にいいんだね?」
「えぇ。お願いするわ」
私は手術室の手術台に現在仰向けで横たわった状態だ。そして、今にも手術が始まるという状況であった。手術台の左手側に置かれたワゴンの上には私が賭けで勝ち取ったとも言える人工心臓がそこにあった。
「不完全とはいえ、動いている心臓を人工の心臓に変えるということは二度と自分の元の心臓に戻れなくなるんだよ?」
「十分承知の上よ。よろしくお願いするわ」
「そうか。なら執刀しよう」
そう言って私に麻酔が打たれた。毒耐性があるせいか、かなりの麻酔が打たれた気がする………。
おおよそ4時間が経過した。オペ室の前には親族として俺と校長が立ち会っていた。校長は心配そうな表情はしていないものの、心配を隠すかのように貧乏ゆすりや喫煙家ではないがニコチンが切れたヘビースモーカーかのようにベンチから座ったり立ったりしながら待っていた。俺はあまりにも心配だったのでオペ室のカメラをハッキングして自分自身のPCにも映るようにした。
「縫合完了。鉗子の遮断解除」
「了解。遮断解除。人工心肺、停止します」
どうやら人工心臓の取り付けが完了したようであった。性能的には問題ないはずであり、あとは接合部分さえ上手くいけば一生涯のものになるはずだ。鉗子の遮断が解除される。心臓が正常に起動しているのが分かる。血圧、脈拍、体温、呼吸などのバイタルには異常が見られない。どうやら成功したようだ。
「………オペはこれにて終了する。閉胸を……」
その声が聞こえた瞬間、室内に警報音が鳴り響いた。
「悪性高熱です!」
「すぐにダントロレンの投薬を!」
迅速な判断によってゆのに投薬がされる。だが、依然として室内にはサイレンが鳴り響いたままであった。確かあの薬は5~10分おきに投薬されるものであったはずだ。
「ダメです! 効きません!」
「諦めるな! 何としてでも患者の命を守れ! 薬物耐性があるのを忘れるな!」
「それ想定で投薬しました!」
「ならば、氷嚢と扇風機・冷却マットで冷やせ!」
大量の氷とカメラが拾うほどの大きな音で回転する扇風機でゆのの身体が冷やされ続ける。しかし、依然として38度を下回るどころかさらに体温が上がっていく。
「人工心臓、機能停止しました!」
「何だって!? すぐに人工心肺に切り替えろ!
マズイ状況になっている。原因は!? こんなことってありうるのか!?
「バイタル不安定! 血流逆流しています!」
「何だって!? 送血管と脱血管を繋ぎ間違えたのか!?」
「正しく繋がれています! 遠心ポンプも使用し起動しています!」
「状況を確認しつつ、送血管と脱血管を入れ替えろ! あとは問題があるとしたら、彼女の能力の暴走の可能性は!?」
「能力は人外未知の未解明能力です! 人類の技術じゃあ楽に制御できません。それにそれを解明できる設備もここにはありません!」
「ならば問題のあるものをすべて出せ! 全て対処する!」
問題としてあるのは血流が逆流すること、発熱が収まらないこと、バイタルの不安定、能力の暴走により対処しても異常事態を再発及び増やしてしまうことだ。一時的に俺の能力で能力を無効化するにしても俺が直接触れなければならないし、手洗いによってきれいにしたとしても素手で触らなければならない以上は、雑菌を手術中の彼女の身体に入れてしまうというリスクを冒すことはできない。この状況下ではここで指を咥えてみていることしかできない自分に嫌気が差す。そして、2時間の時が過ぎオペ室から執刀医が出てきた。俺は途中から見るのが怖くなって見ていないので結果はわからない。
「結果はどうだったのですか?」
校長がそう尋ねる。執刀医の顔が暗い。嫌な予感がする。
「私どもが手を尽くしましたが……残念ながら五分前に亡くなられました」
「は?」
校長がそんな素っ頓狂な声を出すが俺には予知できていた。だが、受け入れがたいものだった。そこからの記憶ははっきり覚えていない。状況の説明や死亡手続きなどをしたという事実しか記憶にない。そして、俺の手には彼女が生前手渡してくれた拳銃が握られている。執刀医に対しての復讐心などは存在しない。彼らは見ていた限りあの場での最善を尽くしていたように見える。だから、俺もこの場での最善な手を打つ。何度も何度もやってきた手だ。銃口を俺のこめかみに当てる。倫理的にアウトな行為だが俺の能力の発動のトリガーはコレだから……。そうして、俺はその引き金を引いた。
「それで、心臓の移植をしようと思うのよね」
「人工の心臓の移植か。そんな重要なことオレ達に話していいのか?」
「いいのよ。それに海斗はもう知っていることだし……そうよね。海斗?」
どうやら、状況的に昨日の夕方の頃の会話のようだ。
「あぁ。だが、俺は別に今じゃあなくてもいいと思うんだ」
「そう?」
「あぁ。心臓移植ってのはリハビリがかなり必要になるし、なによりお前の能力が成長すればそんな心配いらないと思うんだがな」
「…………そうね。確かに早計だったかもしれないわ」
「………海斗、お前………」
信也が何か気づいたようだ。気づいたところで支障は無い。何せ回数制限があるものの俺の能力は死亡した場合、その可能性に至らなかった別の可能性を辿ることができる分岐点まで遡ることができるものだ。『IF』の能力者である俺以外は基本的に誰もこの事実を知ることができない以上、結果を確かめようがない。
「なんだ?」
「いや、なんか美味そうなの持っているな! お前!」
「は?」
俺の右手にはその辺で買ったアイスクリームが握られている。昨日こんなの買ったか? しかもチョコミント。残念ながら俺の舌は能力の代償で多少は機能しにくくなっているが美味しく食べられるようにできていない。
「食うか?」
「貰おう」
「チョコミントね。人によっては好みが分かれるものと聞くけどどんな味なのかわからないのよね」
「そういえば文化祭準備の時は誰もチョコミントなんて食べてなかったもんな」
TRPM8受容体の遺伝子や幼少期の経験によって美味しさが変化するという話だが……ゆのの場合はおそらく前者はほぼ血縁関係で考えたら俺と同じ結果だろう。
「ほら、食ってみるか?」
「それじゃあ、一口だけ……」
「ん、間接キス」
「んなっ!?」
さらりと気持ち悪い発言をするな。ゆのもジト目で睨みつけるように信也を見ている。正直、見た目で言ったら怖くは無い。
「…………私の口には合わない味ね」
「歯磨き粉みたいな味とは言わないよな?」
「まるで歯磨き……えっちょ!?」
珍しいゆのが先回りされていたようだ。やはりというか、同じ感想か。きのこたけのこ紛争のようにチョコミント好きには申し訳ないがそういう感想は誰しも抱く可能性がある。ただ、批判も強制も良くないのは言うまでもない。
「まぁ、口に合わないのならばオレが残り全て頂こう」
「えぇ、そうしてちょうだい」
お互いが傷つけあう結果にはならないと予想はしていた。その想定通りになってよかった。
「どうしたの海斗? 何か嬉しそうね」
「いや、何でもない」
「そう?」
まぁ、こういう何気ない日常がずっと続くようにするってのが俺の役目だ。だからこそ、後でゆのの能力の暴走の原因を考えなければならない。
二人と別れた後で俺はゆのの能力が暴走した原因について洗い出してみることにした。まず、考えられるのは意識が無かったという点。これは文化祭の時も上手く作用していたがあれは暴走していたとカウントするならば条件に当てはまる。あとは、やはり心臓を入れ替えたこと。校長が能力で治せなかったのは呪いみたいな因果的な何かが阻んでいたことが原因だったと言っていた。それであれば直接の原因はそれと見るのが妥当だが一体誰がそんなことをしたのかだ。
まずもって真っ先に疑うべき存在は組織の人間だろう。そして、同一存在が死亡した場合に何が起こるのか見当がついていない希にとってそれをすることによってのメリットが無いため除外する。武田信二に関しては……アイツは信也が言うほどの変態だからそんな死の因果を植え付けるよりも性的な呪いを植え付ける方が彼のスタンスに合っているし、そんな呪いを植え付けることは彼自身や彼の部下も含めてできない。佐々木葵だが、彼女ならやりかねない精神の持ち主で彼女自身にそうできる技術がある。だがそもそもとして彼女は加虐趣味があるだけで根っこの部分は人類愛だ。ましてや、彼女が自覚しているかはわからないがお気に入りのゆのにそんなことをするだろうか?
他に思いつくのは0だが彼の目的ははっきりしないもののゆのの手伝いは何度もしているし、そんな死の呪いを与える動機が無い。同様にみなみを含めたMI6も学校の人間もそうだ。そしてムハンマドだが、そもそも会う前からそんな状態だった以上は除外対象になる。信也や柚木なぎさ、そして九条に村雨を含めた俺たちもメリットが無いしそんなことをするとは信じ難い。校長を含めたゆのの親族はそもそもそういう人間じゃあないことは断言できる。
…………あれこれ考えた結果、最有力候補には葵しか残っていないが彼女はやらない気がする。
まずもって、病院の人たちもそうだったが能力に対しての知識が疎い。もしかしたら、知見が浅いだけでゆのや柚木なぎさも能力の特性を正確に理解できていないために暴走や出力が足りないと認識する可能性がある。
「行き詰まりか…………」
俺はふと思い立ってその電話番号に連絡を入れる。かける相手は忙しいだろうが、こういう相談は割としているから今更だろう。
「何かしら?」
「気になったことがあってな」
「……?」
「お前、心臓はどうなんだ?」
俺は本来であれば死んでいるはずなのに死んでいない人物、赤井ゆのの同一存在の希に確認を入れてみた。もし、完全な同一存在であるのならば心臓が悪い状態でなければおかしいがそれが起きずに彼女は二十代後半という本来の余命から約10年の時を過ごしていることになる。
「心臓……? あぁ、心臓ね。定期的に診てもらっているけど私という存在になってからは何も問題ないわよ。それこそ、”呪い”から解き放たれたかのようにね」
「そうか。ならいいんだ」
「そう? ところでなんでそんな………………」
俺はそう問い返されるが答えずに通話を切る。彼女に勘付かれるのはかなりマズイ。彼女はゆのと同じく勘がいいものの、過労でその思考する余裕がそこまで無いためこのくらいの情報であれば”ゆのと彼女が同一存在であってもお互いに影響を与えることはない”という事実に気づかれることはない。
「あとで、急用があったとメッセージ入れておくか……」
俺はそう呟きながら夕飯の支度に取りかかるのだった。
「また、世界線が変動した………………」
「それで? 何が変化した?」
都内某所の地下に設けられたこの場所に入ることができるのは限られた者だけである。この場所に居るのは最大人数の2人。いや、”2人”と呼ぶべきなのか疑問に思う連中だ。一人は小学生の女児の容姿をした人物。もう一人は20代後半の女性だ。
「そんなに焦らないでよ。それに、私の能力を忘れたの? 貴方がくれた『ゾンビ』だよ!? 他の世界線で起きたことの探知なんてできないんだからね?」
「悪かったって。それで? 結果は?」
「さっき言ったばっかなのに……結果は痕跡抹消されててわかんない! これは噂の『IF』の能力者に間違いないね」
「『IF』か…………」
「気になるの?」
女児もとい、葵は女性に問いかける。その女性はワイングラスに注がれたロマネコンティを回しながら考えるような仕草を見せる。
「そりゃあ、ね」
「まぁ、気持ちは分かるよ。”貴方由来の能力”じゃあないからでしょ?」
「…………」
「でも、今更じゃあない? それこそ、貴方が定義したLEVEL9の能力の半分はイレギュラーな能力じゃん。もはやそれがデフォルトでいいんじゃあないの?」
葵は相手のグラスの水位を1/5くらいであったのをボトルからなみなみに引き上げた。
「うぉっ!? 相変わらず人をおちょくるのが好きだな。きみは」
「”人”? 貴方、人の見た目しておきながら人じゃあないでしょ?」
「それはお互い様だって何度も言っているだろ?」
女性はなみなみに注がれていたワインを能力で無重力空間に漂う水の塊のように浮かせ、飲み干した。
「いい加減、その恰好やめたら? シスターの恰好なんて目立つよ?」
「いいんだよ。この方がもえるんでね」
「あっそ、じゃあね。存在自体のプリテンダー、ジョン=フィニアス」
「その名で呼ばないで欲しいな。それとプリテンダー呼び流行ってるの?」
「いいや、気に食わないヤツにプリテンダー呼びされたからその意趣返し」
「ふ~ん。興味が湧いてきたかも」
「絶対ダメ」
「珍しいな。君がそんなことを言うなんて」
葵はそんな言葉を言われるがサラリと受け流して退出した。彼女にとって、珍しいなどの言葉を言われる嬉しさよりも自分の玩具を取られてしまうという心配の方が強く一刻も離れたかった。
問題は、すべて氷山の一角のように露呈していない。私にはこの複雑怪奇な事象の全てを把握することができていないものの、核心に迫ってきているような気がしている。希が組織を立ち上げてまで成し遂げたかったこと。私と彼女が分離せざるをえなかった理由。なぎさが死亡してしまう因果の解脱の方法。悲惨な末路を辿った世界線の救済方法。それらの問題の解決や事象の把握を知らなければならない。
「海斗、貴方は何か知っている?」
私は通話で海斗に連絡を入れてみた。彼は夕食の片づけをしていたようで皿を洗う音と水の流れる音が聞こえてくる。
「急に何か知っているかってなぁ……確かに俺とゆのの経験した世界線については違いがあるがそれでどんな情報を入手したのかしてないのかを照らし合わせるにはかなり時間を有するぜ?」
「確かにそうかもしれないわね。でも、いつかはやらねばならないことよ。先延ばしにしていたのだから早めにね」
「……………そうだな。ならばまず、明らかにすべきことは一般的な能力についてだな」
「能力……人外未知の未解明能力ね。現状の私の知識としてはまず、”能力の核が左目に宿る”ことね。見た目では判別できないけど左目が負傷すると使えなくなるって話ね。あくまで噂としか聞いていなけど大真面目にアメリカの研究機関が研究したって話ね。その後、倫理的観点から能力者を無くすという目標で左目をわざと負傷させるということはしなくなったらしいわ」
私たちが生まれる数年前に規制されたという話だ。もし、少し早く生まれていた場合の想像はしたくない。
「あとは、能力の代償は個人によって違うことや私の片手剣に組織のアイフェの槍の素材であるダークマターが能力で生まれたものかつ能力には所有者のみにしか作用しないこと。そして出力・所謂、”LEVEL”と呼ばれるものが違うってことかしら」
「あ、それちょっと違う」
「違う?」
私は彼の言葉に疑問を呈す。どちらかが微妙にことなるのだろうか?
「出力というよりも正確に言えば”ポテンシャル”。その能力がどれだけ有用かどうかだ。多くのものは出力でLEVELが決まるんだが本来の基準は”能力の祖”にとって有用かどうかが重要になってくる。それでLEVEL9には順位付けがあるんだ。ただ、LEVEL9にはビルを一瞬で倒壊できる。もしくはその能力単体で半不老不死が実現するかどうかが鍵となる。あと、LEVEL8が国家を脅かすレベルだからそれ以上のものってのもあるがな」
「半不老不死? 不老不死とどう違うのかしら?」
「簡単な話だ。それは”自分の意志で体質を解除できる”ことだ。それがなければ普通に死ねない身体で宇宙空間を永遠に思える程の時間を彷徨う可能性があるしな」
「……確かにそれがあるだけで気休めにはなるかもしれないわね」
私の能力の場合はどちらが該当するのだろうか? 破壊力? それとも自己再生? あるいは両方?
「私が知りうるのはこの3つ程度かしら。海斗は他に知っていることや付け足しがあるかしら?」
「俺か。俺が知っていることは”能力の祖がもしかしたら俺達には該当しないかもしれない”ことと、”能力の本質”についてや”能力自体の特性”か?」
「………何その情報?」
「順番に説明するから………………まずは能力の祖についてだ。知っての通り能力の始まりの者、彼の出現によって能力が世界的に広がった。ここまではいいよな?」
「えぇ。ジョン=フィニアス。彼が一体どんな人物でどんな能力を持ち合わせていたのかは分からないけど彼が能力を世界中に広めたきっかけと第三次世界大戦の直接的なトリガーとなった人物ね」
「そう。彼から得た異能力。それが俺たちが一般的に呼称する”能力”だ。だが、蒼木先生曰く「君とゆのの能力は何か別な本質を感じる。それぞれ全く違う系統だけど少なくともゆのの方は希望が込められた能力だ」って言っていたな」
「希望………………」
一体、誰が私に能力を授け希望を託したのだろうか? だとすれば希も同じなのだろうか?
「能力の本質についてだが、先生曰く「明確な悪意を感じるね。我々、人類に対する侮蔑に近い何かが。ただ、何かしでかすにしても数十年の猶予はありそうだしそこまで考える必要はないんじゃあないか?」だってよ」
「人類に対しての悪意ね。復讐? いや、もっと違う何かかしら?」
「さぁ? そこまではわからないさ。少なくとも俺達の能力には関係ないとさ」
「私たちに関係なくてもねぇ」
「俺も気持ちは同じだ。だが、とりあえず目の前のことを優先しないとな。生命や誰かの人権を脅かすようなことは現状、起きていないみたいだしな」
人類に対しての猶予? それとも準備期間なのだろうか?
「あとはやはり能力自体の特性だな」
「特性はさっき話したのでは?」
「いや、また別な特性だ。能力の出力にはやはりというか発動者の思考が反映される。その過程が異なると能力自体の方向性も違うんだよ」
「具体的に言うと何になるのかしら?」
「そうだな…………。例えば、お前の『逆転』ならば概念を元に操る能力だ。だからその”逆にする”ことが反映できる事象に関しては干渉することができる能力であるがこの前、覚醒した柚木なぎさの能力、『座標指定』ならどうだろうか? それが反映できると思うか?」
座標を固定したり、移動するために座標を入れ替えたりする能力だから……。
「できないわね」
「だろ?」
「となると、操っている事象をカテゴリー化するならば……物理的実体の操作?」
「あ~……間違いではないな。だが、正確に言うならば数理的処理だな。だからざっくり言うならばお前の能力は文系の能力で柚木なぎさの能力が理系の能力だな」
…………私、文系じゃあなくて理系なんだけど?
「じゃあ、海斗は文系の能力に当てはまるのかしら?」
「……あ~まぁ、そう言ってもいいんだが。一応、両方に共通する能力なんだよ。例えるならば地理での等高線を沿ってやるアレみたいな感じ?」
「まぁ……なんとなく言いたいことは分かったわ。もしかしたら、全くそれに当てはまらないのもあるかもしれないわね。で、要するにこれらの能力の特性を知ることでより効率よく能力を引き出すことができるということね」
「あぁ。特性を知らないで能力を行使するのと知って行使するのだったら断然、知って行使するのが一番だからな」
「ざっとこんなものかしら?」
「そうだな。俺の話をまとめると、能力の起源が別な者が存在する。多くの能力には”悪意”が込められているとのこと。そして、能力には文系・理系・統合型があるってことだな」
現状分かっていることはこれで全部だろうか?
「あ、あと気になっていたことなのだけどいいかしら?」
「なんだ?」
「世界線に関して、もし”他世界のものと同じものが衝突した場合はどうなる”のかしら?」
「……難しいこと聞いてくるな」
現状、他の世界線を認知できる者。私の能力の特性上、確実に聞いておきたいものである。
「他世界と同じものが衝突した場合は”より強い方に上書きされる”が正解だ。言い換えるのならば弱肉強食と言えなくもないか?」
「強いの基準は何に決まるのかしら?」
「それに関しては一概に何かと聞かれてもだな……じゃあ、ここにあるペンと別のペンが衝突したとする。上書きされる対象はどっちだと思う?」
「……インクの少ない方?」
「それもありだが消耗度合いも同じとすると?」
「………………難しいわね。直観だけど世界線の強度? ってのがあるのならばそれかしら」
「そうだな。他の世界線を木の枝みたいに表現する人もいるがそれが基本的に適応される」
無機物の場合はそうだったけど有機物、もっと言えば生命体の場合はどうなのだろう?
「生命体の場合は……?」
「……………………さっきのと一緒だよ。ただ、かなり融通が利く場合もあって”意志”が強いものの情報が上書きできるとだけ言っておこう」
その言い方、まるで……………………実際にやったことがあるようだ。
「大体はわかったわ。ありがとう海斗」
「お安い御用だ」
「それと、”無茶”だけはしないようにね?」
「あぁ」
そうして海斗との通話を切った。
「…………あれ?」
振り返ってみても違和感がある。何か忘れているような………。そんな感覚が………。
「聞くの忘れた?」
思い出した。他の聞きたい内容は聞き出すことができたが組織についての情報や世界線の末路に関しての情報が一切聞けていなかった。私は溜め息を吐きながら寝る前の紅茶を作った。
海斗の能力の一部が判明しましたね。彼はもっとえげつない使い方をしているので常人であれば発狂しかねないですね。他の世界線の自分とは言え、ほぼ他人に自分自身の命を託すことや失敗した可能性の回避だけじゃあないですから。
出ましたね。ジョン=フィニアス。ヤツはこの物語ではそこまで重要ではないです。なんならもう出す気は無いです。ですが、少なくとも今ここで触れるべき時ではないです。
前章などで明かされなかったキャラの名前を書いておきました。気になる方は是非。
あと、物語で触れるべき話としてゆのの心臓ですが人工心臓に問題は無いです。心臓の手術の時の会話はすべて黒い鉗子のタイトルのドラマでの知識です。医療に詳しい方が読むとおかしな点があるかもしれません。
きのこたけのこ戦争でスパイしていたって投稿割と好きです。みなさんはどっちですか? ついでに、チョコミントも。
…………なめこ汁飲みたくなってきた。
⸺ おまけ・人物紹介 ⸺
赤井ゆの/バットエンド回収
きのこ派・チョコミント美味しくない派
高階海斗/人間上書き保存装置
たけのこ派・チョコミント美味しくない派
柚木なぎさ/?????
チョコミントも美味しければ全てOK
中村信也/チョコミン党
絶対にチョコミントを食べるシンヤクン
結城希/アンリミテッド・ワークス
現在17連勤・5徹目(組織の活動除く)
五十嵐清/元ヘビースモーカーの喫煙家
校長と先生は別にするように(二重敬称)
村雨切嗣/絵美の父・凄腕の医者
由来は切って嗣ぐこと(命名:医者の親)
佐々木葵/紀元前からのプリテンダー
邪魔しないで!
ジョン=フィニアス/能力の祖
データロスト
竹中昴/この物語の作者
たけのこは実物は実家の山で採れるので食べ飽きている




